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公益財団法人日本バスケットボール協会副会長、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグBリーグチェアマンの大河正明です。
 
前回は、国際試合の出場を無期限で禁じるという制裁についてご説明しました。この制裁の結果、責任を取って理事は全員辞任。川淵三郎会長のもと、新しい体制に移ったのです。今回は、当時直面した問題と講じた対策についてご説明します。
 
 

協会の立て直しとプロリーグの構築

 
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FIBAが改革の必要があると指摘した問題点は「2つに分裂しているリーグの統一」「協会の体制および組織の改革」「若手育成を含めた男女の代表強化体制の確立」の3点。どれも日本のバスケットボールの発展のためには欠かせない重大な問題です。特に、旧協会幹部が約10年かけても成し得なかった「2つに分裂しているリーグの統一」を短期間に行うのは容易ではありません。Bリーグという名前すらなかった新しいプロリーグも、初代チェアマンである川淵さんと弁護士を務める境田先生、それに私が加わって3人の理事で立ち上がりました。開幕は翌年の秋と決まっていたものの、リーグのルールも規約規定も決まっていない。売り上げの目処もなく、TV放映権の話も全くの白紙という、文字通りゼロからの出発でした。
 
また、当時専務理事・事務総長として関わることになった日本バスケットボール協会は、各都道府県の協会や中学、高校、大学の連盟、他日本国内におけるバスケットボールの活動の振興を行う統括団体です。当時は、都道府県協会や連盟に対してのガバナンスが機能していない状態だったため、協会の内部体制を立て直すと同時に、各種協会、連盟との信頼関係を構築していく必要がありました。組織として全員で同じ方向を向いて進んで行く必要があるにも関わらず、今まで明確な指示を出せるリーダーがいなかったということです。
 
 

組織に必要なのは意識を共有すること

 
どちらの組織も、ここまで短期的に既存の組織を破壊して再構築できたのは、川淵さんという確固たる個性と理念を持ったリーダーが先頭に立って「あるべき姿」を明確にしたからだと思っています。Bリーグの場合、収入源には、パートナー企業様からの協賛金や、テレビ、インターネットに対する放映権があります。しかし、リーグがどういうビジョンを持っていて、そのビジョンに対しどのような裏付けがあるのか明確に示せなければ、協賛していただくこともできません。それに、川淵さんも私も、1人で全ての業務を進めることはできません。バスケットボール界だけでなく一般の会社にも言えることですが、組織は志を持った人材を採用することと、やる気はあるものの仕事の進め方を迷っている職員に明確な指示を出すことが重要なんです。
 
 
大河正明の「バスケットボール界に学ぶ組織の建て直し方」
vol.3 組織として職員と方向性を共有する

 著者プロフィール  

大河正明 Okawa Masaaki

 経 歴  

1958年生まれ。58歳。京都大学法学部卒。三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。1995年、日本プロサッカーリーグに出向し、総務部長に。同行に戻った後はリテール営業部部長(特命)、町田支店長などを経て2010年に退行した。同年、日本プロサッカーリーグに入社し管理統括本部長、常務理事などを歴任。2015年にジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグチェアマン(理事長)、2016年には日本バスケットボール協会副会長に就任した。バスケットボール協議暦は1973年に全日本中学バスケットボール大会ベスト4、1975年に近畿高等学校バスケットボール選手権大会準優勝。

 Bリーグ公式サイト 

https://www.bleague.jp

 
 
(2017.3.31)
 
 
 
 

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