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巷に24時間営業のストアやサービスがあふれ、光がまったくない暗闇を経験することはもはや難しくなった現代。スイッチ一つで照明がともり、常に視覚を確保された中で、私たちは行動することができています。しかし、その視覚を完全に遮断されてしまったら、人は何をもって判断し、何を頼りに行動するのでしょうか?
今回紹介するのは、完全な暗闇の中で体感するワークショップスタイルのエンターテインメントコンテンツ 「Dialog in the Dark (ダイアログ・イン・ザ・ダーク)」 です。
1989年にドイツで生まれたこのプロジェクトは、哲学の博士号を持つDr.アンドレアス・ハイネッケが、ラジオ局の仕事で視覚障がい者のジャーナリストを部下に持った際の経験から始めました。ワークショップの参加者に与えられるのは暗闇のエキスパートであるアテンドと白杖のみ。ここで言うアテンドとは、Dialog in the Dark専属の視覚障がい者のことです。扉の向こうは、あらゆる光源を遮断した暗闇。「部屋」 という、一定のイメージを伴う言葉で表現するのを不自然に感じさせるような、暗闇の 「空間」 です。そこに溶け込んでしまえば、何一つ、自分の体さえ目で見て認識することは不可能。残された聴覚、触覚、嗅覚、味覚と、アテンドたちのサポート (声と、手を叩く音による誘導) を頼りに、めくるめく様々なシーンを体験していきます。
とは言っても、いったいどのようなものか想像もつかないはず。Dialog in the Darkには多くのワークショップメニューがありますが、その一例として、編集部スタッフが体験したメニューから抜粋してご紹介しましょう。