さりげなく飾られる季節の花や盆栽に、
細やかな心配りを感じる
◆ 経験と技が織りなす旬の味わい
一流の技と心遣い、きさくなご主人。ただ素直に “味わうひととき” を愉しめる鮨店――それが 「銀座 くろ寿」。
銀座駅から徒歩約3分。木製の 「鮨」 の字の看板を目印に階段を登ると、そこはシンプルでいて上質な空間。店内はカウンターの8席のみ。ぬくもりある無垢木のカウンターに、壁には、さりげなく飾られた季節の花。白い漆喰が清々しい空間によく映え、心地よい空気が流れる。
銀座の有名鮨店で修業を積んだご主人は、約1年半前に 「くろ寿」 を開店した。ここでは、丁寧でいてさりげない仕事が丹念に活かされた鮨を堪能できる。
ネタは、季節と天候によって美味しい産地を見極め、確かな経験で毎朝仕入れ。シャリは、自家精米の有機栽培コシヒカリを手間暇かけて仕込み。
まぶしいほどの白が店の清潔感を表現
特注の南部鉄の 『羽釜(はがま)』 で炊いた米は、粒の一つ一つが立ち、中はふっくら。仕上げは、最も美味しいタイミングでお出ししたいと、ネタに特製の “煮切り醤油” をサッと一塗りするスタイルだ。
ネタ、シャリ、職人の技、そして道具に至るまで “鮨” の伝統を大切に、その時季の自然の旨味を最大限に引き出した、一期一会の美味を楽しめる。
カウンター8席のみの空間ながら、開放感を感じ
る伸びやかな雰囲気。寿司下駄や箸置きなど
白く温かみのある食器は、陶芸家・岡晋吾氏の
作品
◆味を彩る軽妙なトーク
夜は、その日おススメのネタで握る鮨と料理を、お客様の望みを聞きながらバランスよく提供する 『おまかせ』(12000円~)で。和食店での経験も生かした魚の塩焼き、特製の塩納豆など、鮨にあわせた料理も評判だ。ランチタイムには、「多くの皆さんに気軽に美味しいお鮨を食べていただきたい」と、『旬のにぎり寿司』(八貫)がお品書きに並ぶ。食前酒、サラダ、汁物、茶碗蒸し、香の物、デザート付きで2830円と、驚くほどリーズナブルに楽しめる。
お酒のお供にぴったりの名物 『塩納豆』
銀座という立地からの敷居の高いイメージをくつがえす、時にジョークも交える気さくなご主人の軽妙なトークも、「くろ寿」 の魅力のひとつ。カウンター席ならではの、ゲストとのコミュニケーションも、絶妙な合いの手でサポートされてしまう。カウンター越しに、職人の技に魅せられ、会話を楽しみ、シーンにあわせて活用できそうだ。
店主の黒須法明さん。気軽に好みを伝えら
れる親しみやすい雰囲気がうれしい
◆お客様の満足が何よりの喜び
ご主人の黒須法明さんは 「何よりお客様に満足して帰って頂けるように、ただそれだけです」 と話す。その想いを大切に、一人一人、お客様の好みや状況に合わせて、握り方やシャリの大きさ、メニューの構成、お声がけなども変えていくという。リピーターや女性一人で訪れるお客さんが多いのも納得の心遣いは、熟練の技があってこそだ。
「自分が仕事をしていて楽しいと思えること。それは、お客様に満足していただけることに尽きる。お店でのひとときを心から楽しんで、心地よくすごしていただきたい」
銀座6丁目交詢ビルディングの裏通り。この看板を目印に。
すべてに手を抜かない、お客様に対する真摯な姿勢があってこその、さりげない仕事ぶりと、心配り。こだわりをこだわりと感じさせず当たり前として提供する。そんな 「技あり!」 の味わいに、もてなしの心が彩りを加える。
江戸前のおもてなしの心が、ここにある。
銀座 くろ寿
東京都中央区銀座6-7-6 西六ビル2F
TEL 03-3571-4196
定休日:日曜・祝日
営業時間:ランチ11:30 ~ 14:00 (L.O.13:45)、ディナー18:00 ~ 22:30 (L.O.22:00)