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繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.72 経営者のプライベートが問題にされた2件をめぐり、世論と逆の見方をしてみる話

ビジネス 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.72 経営者のプライベートが問題にされた2件をめぐり、世論と逆の見方をしてみる話 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート 商業経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役副社長

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皆さんこんにちは、佐藤勝人です。いやー、怖いねえSNSは。この連載を読んでくれてる人は経営者も多いだろうけど、SNSには気を付けないとだね。どこでどう撮られて拡散されるかわかったもんじゃない。今回の件で「うちは普通の中小企業だから」なんて思っていられる時代じゃないことがよくわかった。何の話かというと・・・。
 
 

船橋屋の社長が交通事故で辞任
世間はバッシングの嵐だけど・・・

 
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個別支援が終わって支援先の社長と外に出た
素敵な夕焼けに明るい未来が映っていた
くず餅の老舗「船橋屋」の社長が、自分の運転していた車で事故を起こしてしまい、社長が相手方に詰め寄る様子がドライブレコーダーに撮られていて、その動画がTwitterで拡散されて炎上、辞任にいたった話だ。報道によれば事故そのものは9月初旬の出来事で、どこの社長かというのも割とすぐ知られていたが、暴露系YouTuberが自分のチャンネルでネタにするまではそれほどの騒ぎにはなっていなかったらしい。そりゃそうさ。だって別に芸能人でもタレントでも何でもない、いち一般人の、普通によくある――と言っては駄目だけど――交通事故だもの。
 
・・・と思っちゃうと駄目なんだろうね、これからは。いやー、難しいなぁ。
 
この件に関しては世間は「社長が悪い!」の一辺倒だろうけど、あえて私がフォローするとしたら、一瞬カッとなっただけだと思うよ。だって、事故の瞬間は自分の過失だとは思ってないわけで、場合によっては命に関わる大事故になっていたかもしれないんだから、そりゃぁ、その瞬間はカッとなるし逆上するよ。ドアを蹴っちゃったりは確かにやり過ぎだったけども・・・。
 
私自身はあの社長とは面識があって、10年以上前になるけど東京法人会連合会の講演会で私が登壇したとき、講演後に名刺交換に来てくれて雑談もしたんだよね。普通に礼儀正しくて、経営者としての手腕は立派で社内改革も断行されて、すごいなぁ、と思って尊敬していた。まぁ、今回は一時の感情にやられて足下を掬われちゃったけどね・・・。
 
 

示談が成立しているのに動画が出た!?
今後は条項にSNSの扱いが必須

 
――で、あえて私がこの件に言及する理由は、私は相手方の心情もわかるからだ。本来なら、示談が成立して事故の処理としては終わっているわけだから、いくらドライブレコーダーの録画があっても外に出すべきじゃないんだよ。少なくともあんまり褒められる行為じゃない。出すというのは。
 
でも・・・、まぁ・・・、出しちゃうよね(笑)。示談の過程でテレビ出演歴もある有名店の社長だって知るわけだし、法的にはともかく心情的には片付かない部分もあっただろうから。まして向こうは高級外車だから(笑)。あれが別に有名でも何でもない、その意味でまったく普通の社長さんで、乗ってた車がカローラだったりしたら、出さなかったかもしれないよ。社長も辞任せずに済んだかもしれないよ。
 
暴露系YouTuberがどんな経緯でネタ元の動画を入手したかは知りません。被害者が個人的に投稿したSNSを見つけて連絡を入れて提供してもらったのか、被害者がその暴露系YouTuberに自分から持ち込んだのか。仮に持ち込んでたとして、これほど騒がれるとは思ってなかったかもしれないしね。
 
――そこまで想像してあげたうえで、もし仮に、被害者が「これYouTuberに持ち込んだらいくらかになるかも・・・」と考えたとしても、無理からぬことだと思う。普通の人の心理ってそうだよ。小遣いになると思ったら持ち込んじゃうよ。それが大衆だよ。
 
だから、この件を総括するならば、「ちょっと有名な中小企業の社長が一時の激情に駆られた瞬間と、普通の人の普通の心理と行いが、たまたま最悪のパターンで噛み合ってしまった」ということだと思う。こういう不幸な顛末を生まないために法律とか示談手続きとかがあるわけで、その意味では、これからは示談の内容にも、「双方納得して解決したうえは本件は今後SNS等にも出さないこと」という条項を設けるべきだろう。
 
片や激情、片や出来心――。両方とも人間なら普通に持つ感情だ。私が相手方の心情もわかるというのはそういう意味だ。
 
 

完全に私生活の事柄で社長が辞任!?
社長にもダイバーシティを認めては・・・

 
今回はもう一つ、世間の注目を浴びた社長の辞任劇があった。キャンプ用品の人気ブランド「スノーピーク」の女性社長が、既婚男性との交際・妊娠をきっかけに自ら辞任した件だ。これも報道の情報しか知らないが、私が思ったのは、この人は別に社長でも何でもなかったんでしょ、ということ。この点で船橋屋の社長とは全然違う。
 
辞任した女性社長は創業家の3代目で、まだ34歳の若さだ。一昨年の2020年に社長に就任したばかり。それで2年経ったらあっさり自分から辞任を申し出るということは、最初からそこまで社長業をやりたいんじゃなかったんだと思う。本人は「クリエイティブな経営を目指す」という意味の意気込みを語ったこともあったようだが、事業部長とかに留めておけば良かったんだよ、お父さんのほうで。
 
お父さんはいち金物メーカーだった家業をキャンプ用品のブランドに刷新して大成功に導いた人で、優秀な経営者ではあると思う。でも、創業家が気を付けなくちゃいけないのはまさにそういうときで、多分だけど、社内にイエスマンしかいなくなっちゃったんじゃないかな。身内はその点、「お父さん、あれ違うと思う」とか、「こうしたほうがいいって」とか、ズケズケ意見してくれる。――すると勘違いしちゃうんだよね。「この子の斬新さで会社を変えてもらおう!」みたいなふうにね。
 
報道によれば今回の件は別にメディアが掘り出したネタじゃなく、会社が自分でリリースを出したそうじゃないか。新しい社長にはお父さんが復帰する形になるだろうけど、メディアが突っついたわけでもないのに完全プライベートの問題で社長を代わるのは、どうなんだろう。社長ってそんな軽いもんだったかね。
 
軽いのは上場企業だからか。要は株主も含めて周囲が安定を求めているのかな。ということは、裏では相当戦ってたんだと思うよ。それに照らしたら娘さんのクリエイティブ路線は危なっかしくて見ていられなかったのさ。
 
これがもし欧米だったら、経営者は会社の業績を伸ばせるかどうかが問われるだけで、よっぽど法に触れることをしない限りプライベートはどうでもいいんだよね。実際Amazonの社長だってテスラの社長だって、不倫が報じられても普通に社長を続けているじゃないか。日本もそれでいいと思うけどなぁ。
 
だから見方によっては、彼女には「日本の上場企業の社長」という箱は小さすぎたのかもしれないね。その軋轢が半分自ら引き寄せる形での辞任につながったんだろう。――でもさ、職場のダイバーシティと一緒で社長にもダイバーシティを認めてあげたらいいのにね。
 
今回はたまたま企業経営者の“業績に関係ない”辞任が続いて、世間の見方が一方的な「あるべき論」だったのが気になったので、一言触れさせてもらいました。参考にされてください。
 
 
 
■10月19・20日「2日間コース」
サトカメ体験・視察&研修ツアー
主催 サトーカメラ法人営業課
https://fb.me/e/27GtjftPA
 
■11月2日
次の10年を勝ち抜くための超実践編セミナー
事務局 延岡商工会議所
 
■11月7日・8日「2日間コース」
第5回satocameMG栃木研修
事務局 サトーカメラ法人営業課
https://www.facebook.com/events/462813482539660
 
■11月9日
佐藤勝人と宮内亨のコンサルタント養成講座 
事務局 日本販売促進研究所
 
■11月21日・22日「2日間コース」
富山勝人塾 事務局 滑川ショッピングセンター
https://onl.sc/CPPEFkH
 
■11月24日・25日「2日間コース」
P I O勝人塾 事務局 郡上商業開発
 
■11月29日
新潟勝人塾 事務局 おぐま式P O P塾
https://www.facebook.com/ngt.katsuhitojuku
 
■11月30日
岐阜勝人塾
https://onl.tw/gCntpG9
 
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繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート
vol.72 経営者のプライベートが問題にされた2件をめぐり、世論と逆の見方をしてみる話
(2022.10.19)

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ代表取締役副社長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長

 経 歴  

栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。

 オフィシャルサイト 

https://jspl.co.jp/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 YouTube公式チャンネル 

https://www.youtube.com/channel/UCIQ9ZqkdLveVDy9I91cDSZA (サトーカメラch)

https://www.youtube.com/channel/UC4IpsvZJ6UlNcTRHPgjellw (佐藤勝人)

 
 
 

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