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コロナ禍を教訓に、経営者のリスク対策・BCP(業務継続計画)はどうあるべきか 最終回 企業におけるインフルエンザや新型コロナウイルス対策について

ノウハウ コロナ禍を教訓に、経営者のリスク対策・BCP(業務継続計画)はどうあるべきか 最終回 企業におけるインフルエンザや新型コロナウイルス対策について コロナ禍を教訓に、経営者のリスク対策・BCP(業務継続計画)はどうあるべきか 防災・危機管理アドバイザー、 医学博士

ノウハウ
経営者はコロナ禍から何を学び、今後どう生かすべきか。コロナ禍による企業への影響と、今後の対策について株式会社日本防災研究センター所属、防災・危機管理アドバイザーで医学博士でもある古本尚樹氏による寄稿記事。最終回は流行中のインフルエンザへの対策、また2類から5類へ移行したものの、変異株による感染が見られる新型コロナウイルスへの備えについて解説する。
 
 

人は常に感染症の脅威にさらされている

 
パンデミックとなった新型コロナウイルスは2023年5月に国内で、2類から5類へ移行され、とりあえず日常生活が戻ることになった。コロナ禍は企業活動や市民生活において、感染症の脅威が多方面に及ぶことを認識させたし、苦境に陥った方々は大勢いただろう。ただ、格下げになったといえ、変異株は現在も感染拡大中だ。実際、医療機関ではコロナ患者が増えたことで、仕事量が増加、キャパオーバーになっている医療機関も少なくない。
 
2023年11月1日時点のインフルエンザ流行レベルマップ©国立感染症研究所
2023年11月1日時点のインフルエンザ流行レベルマップ©国立感染症研究所
一方で、2023年から国内でインフルエンザが大流行し、年が明けた現在も罹患者が増加している。著者自身も3年前にインフルエンザにかかり、ひどい目にあった。39度を超える高熱が連日続き、投薬しても効かない状態だった。一般的な風邪と違うのが、この点だと思う。通常、解熱剤を処方されたら、それを服用することで夜間の発熱時など、急な発熱には効果があるはずだが、インフルエンザの場合はまったく効かなかった。薬の量を増やすことで、やっと効果が表れたのを覚えている。それ以来、インフルエンザワクチンを必ず接種することにしている。
 
インフルエンザは幼児や高齢者、免疫力の低下している方、持病がある方、妊娠中の女性などが罹患すると、肺炎などを併発し、重症化する可能性がある。また、子どもがかかると急性脳症など命に関わる合併症を起こすこともある。

 
感染経路は主に以下の3つに分かれる。
 
① 飛沫感染:感染者の咳やくしゃみ、会話によって飛び散るしぶき(飛沫)の中に含まれるウイルスを、他の人が口や鼻から吸い込むことで感染。
 
② 空気感染:インフルエンザウイルスの含まれた飛沫が乾燥して小さくなり、空気中に漂ったものを吸い込むことで感染。
 
③接触感染:インフルエンザウイルスが付いた感染者の手、ドアノブ、電車の吊り革などに他の人が触れ、さらにその手で目や口、鼻を触ることで感染する。
 
インフルエンザの型にはA、B、C、D、と4つがあって、人に影響が及ぶ主要なのものはAとBである。
 
A型:世界的な大流行を起こし、感染力が強く、強い症状が出る。ウイルスの形(抗原性)は毎年少しずつ変異して、人だけでなく鳥や豚にも感染することが特徴。
 
B型:比較的感染力が弱く、人から人にしか移らない。下痢やお腹の痛みを訴える人が多く、抗原変異が少ない。冬季になると流行するが、その背景には免疫力が低下することが挙げられる。
 
また、アジア圏、特に中国と韓国では、マイコプラズマ肺炎が流行しているという気になる情報もあった。おそらく日本でも合わせて流行すると予想する。このマイコプラズマ肺炎は、発熱、せき、喉の痛みなど風邪に似た症状を起こす細菌で飛沫感染する。一部は喉、気管支、肺の炎症を起こす。患者のほとんどは子どもや若者という特徴がある。だいたい4年に1度の周期で感染拡大を迎えるので、昨年2023年がその年に当たる。
 
人間の身体は、寒さや外気の乾燥、体内水分量の低下(夏場と違い積極的に水分を取らないこと、また暖房器具による乾燥が原因)などにより、冬場は免疫力が低下しやすい。また、温度と湿度がウイルスにとって最適な環境となる。ウイルスは一般的に温度と湿度が低いと長く生存できる。温度16℃以下、湿度40%以下だと特にウイルスが蔓延しやすいとされる。
 
 

感染症の情報に敏感になるべき

 
コロナ禍が終わったような風潮がある中で、実際にはそうでもなく、さらにはインフルエンザのような他の感染症拡大が危惧される中、企業ではこの感染症対策にどのように臨むべきか。
 
 
仮にインフルエンザウイルスに感染した従業員が働き続けると、感染拡大し、企業内で流行を引き起こす。無理に出社し組織内に感染が広がると、人手不足で事業の継続が難しくなることもある。企業としてまず重要なのは、コロナ禍でもそうだったが、感染拡大が予想される情報に敏感になることである。そのため、自治体等からの注意喚起には留意すべきだ。
 
 

従業員が安心して療養できる環境づくりが
安全な組織運営を担保する

 
そのうえで、コロナ禍のようにマスクや除菌対策を徹底すること。また、ワクチン接種に企業が経済的支援をするところも多くなっているが、こうしたワクチン接種の推奨を促すことも重要だろう。ただし、この金銭補助は主に常勤社員のみがカバーされているケースが多いので、非常勤職員やアルバイト従業員等への支援が促進されることが、より望ましい。働き方においては、いわゆるリモートワークができる職種は、これの活用も有効である。
 
BCP(業務継続計画)に、インフルエンザに関する対応をも盛り込むべきである。その際、意外と用意されていない項目がある。それは、職員が罹患した際の休業に関することである。治療など理由で会社等へ出社しない場合に休暇(有給休暇等含め)なのか、それとは別に疾病休暇になるのか、さらに休暇期間中の給与はどうなるのか、について明記されていない、あるいはグレーにしている企業が多い。しかし、この点に関しては、明確にしておくべきだと思われる。
 
罹患者が安心して療養できるかどうかに関わることだし、経済的な側面を配慮しておくことが結果として、しっかりとした療養につながり、組織運営への安全を担保することにつながる(感染拡大を防ぐなど)。こうした取り組みの多くはコロナに関するものと共通する。
 
  参考文献
https://sangyoui.m3career.com/service/blog/02019/
 
コロナ禍を教訓に、経営者のリスク対策・BCP(業務継続計画)はどうあるべきか
最終回 企業におけるインフルエンザや新型コロナウイルス対策について
(2024.1.24)

 プロフィール  

古本 尚樹 Furumoto Naoki

株式会社日本防災研究センター
危機管理アドバイザー、医学博士、阪神・淡路大震災記念人と防災未来センターリサーチフェロー

 学 歴  

・北海道大学教育学部教育学科教育計画専攻卒業
・北海道大学大学院教育学研究科教育福祉専攻修士課程修了
・北海道大学大学院医学研究科社会医学専攻地域家庭医療学講座プライマリ・ケア医学分野(医療システム学)博士課程修了(博士【医学】)
・東京大学大学院医学系研究科外科学専攻救急医学分野医学博士課程中退

 職 歴  

・浜松医科大学医学部医学科地域医療学講座特任助教(2008~2010)
・東京大学医学部附属病院救急部特任研究員(2012~2013)
・公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター研究部 主任研究員(2013~2016)
・熊本大学大学院自然科学研究科附属減災型社会システム 実践研究教育センター特任准教授(2016~2017)
・公益財団法人 地震予知総合研究振興会東濃地震科学研究所主任研究員(2018~2020)
・(現職)株式会社日本防災研究センター(2023~)

専門分野:防災、BCP(業務継続計画)、被災者、避難行動、災害医療、新型コロナ等感染症対策、地域医療
※キーワード:防災や災害対応、被災者の健康、災害医療、地域医療

 

 個人ホームページ 

https://naokino.jimdofree.com/

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