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繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.73 「2024年問題」への対応も含め、4回目のビジネスモデル改革を断行中!

ビジネス 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.73 「2024年問題」への対応も含め、4回目のビジネスモデル改革を断行中! 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート 商業経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役副社長

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こんにちは、佐藤勝人です。いやー、11月ですね。11月になったらすぐ年末ですよ。早いよね。信じらんないよ(笑)。でも、月が替わるのを「早い早い」と言っているぶんにはいいけど、世の中の変化を「そう変わるんだ~。へえ〜」と眺めているだけだとビジネスの世界では命取りだ。だから、我がサトーカメラも、時流に合わせた「第4次ビジネスモデル改革」に本格的に乗り出しました。今回はその話です。
 
 

1回目で「戦略」の重要性を知り
2回目で「事業目的」の重要性を知った

 
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野球は失敗の競技。失点してもサヨナラ以外は終わりではない。
私も4回目の改革に挑みます(写真は巨人軍の宮崎秋季キャンプ)
第1回目の改革は1990年代前半。兄と私の嫁と3人で、それまで何の変哲もない実家の家業だった写真店を、父親の出資を元手に量販型のカメラ専門店に切り替えた。我々がラッキーだったのはちょうどカメラがオートフォーカス方式に切り替わるタイミングで、老舗の競合他社は手動ピント方式にこだわる中でいち早くオートフォーカスに全振りしたところ、一般ユーザーのニーズにがっちり合い、売り上げが順調に伸びていった。
 
でも、このとき躍進できたのは品揃えが当たったことだけが理由じゃない。お客さんに積極的に自店に足を運んでもらえるビジネスモデルを構築し、実践していたんだよね。何をしたかというと、カメラをお買い上げいただいたお客さんには「1年間フイルム無料券」を発行し、サトカメで写真現像すると最高品質のフィルムが1年間撮った本数分だけ何本でも無料でもらえるようにした。すると「サトカメで薦めてくれたカメラは写りがいい、写真の仕上がりもいいし、1年間のフイルム代も浮くし親切だ」と評判になった。カメラは量販型で安く売りつつ、後々の写真現像で何度でも足を運んでもらうというビジネスモデルが大当たりしたわけだ。
 
このときに学んだのは、「新しいフォーマットに集中する」という発想と、「形だけ真似てもコケる」ということだった。後のポイントについては、うちの躍進を見て競合他社も「1年間フイルム無料券」を発行し始めたけど、形だけしか見ていないから、サトカメ式はコストがかかり過ぎるということで低品質のフイルムを付けたんだよね。すると当然写りが悪い、写真の仕上がりが悪い。「あそこで薦めてくれたカメラは写りが悪い、写真の仕上がりも悪い」となり、お客さんが離れる。――要は本末転倒で、お客さんに1年間かけて何度でも足を運んでもらえる最高の策だったはずがかえってお客を遠ざけた。競合他社のその失敗を見て私は、「戦略って怖いなぁ。本質を見間違えると逆効果になるんだなぁ」と肝に銘じた。
 
2回目の改革は2000年代前半。カメラがフイルムからデジタルに替わるときだ。このときも私は「新しいフォーマットに集中する」の発想で、店に置くカメラをデジタルに全振りした。フイルムカメラをお探しのお客さんには取り寄せで対応したけど、陳列する商品はデジタルで統一したのだ。
 
この頃にはうちも大所帯になっていたから、社内のスタッフからも、お客さんからも猛反対にあった。「フイルムじゃないとカメラじゃない!」「フイルムの良さを残すのが業界の使命だ!」「いい気になるな!」と。そういう人たちにどうわかってもらうかと考えた末、私は『地域の人々の想い出をキレイに一生残すために』という企業理念を打ち出して事業目的と事業価値を定義し、明確にした。それにより「デジタルかフイルムかは目的に対する手段に過ぎず、どちらでも構わない」ということを理解させた。1回目のビジネスモデル改革で「戦略」の重要性を学んだとすれば、2回目の改革で学んだのは「事業目的」の重要性だった。
 
 

4回目の改革を始めてからわかった
人材“効”果×能“率”化=より“効率”的な新個店経営へと

 
そして3回目は2010年代前半だったけど、今振り返ると3回目の改革は人材効果――教育して人材を最大限に使うこと――に偏り過ぎだったかもしれないなあと反省している。というのは、私はもともと戦略的経営が得意で、誰でも簡単に売れるよう、欲しいというお客さんに店に来てもらう策を練るのが好きなタイプなのに、メディアの記事でたまたま「サトーカメラの2時間接客」が注目され人材効果がメッチャメチャ評価されたものだから、ついそっちに行ってしまったんだよね。
 
当時は東日本大震災の直後で、社会全体が「人に寄り添う」「人を大切にする経営」という、人材にフォーカスする雰囲気でもあった。その中でも気付かされたことは、私たちは「課題解決提案型」でマーケットをつくってきたということだった。その目立つところが人材効果だったということだ。
 
その人材効果を活かすために個店経営へと大きく舵を切ったのが2010年代前半からだ。個店経営は現場の即断力と機動力が問われる。つまり、現場の店長に権限を持たせてある程度自律させなきゃいけない。――でも、長く続けるとその中で事業目的から逸脱した人が多少なりとも出てくる。経営者は市場とユーザーの変化をとらえて事業目的を果たすため進化し続けているけど、単なる個店経営では、会社の戦略性よりも自店の売上と店での自分の存在感を守るほうが優先になってしまうという短所が随所で見えてきた。
 
これに気付き始めたのが2017年頃からだった。最近ではコロナ禍でリアル店舗が打撃を受け、リアルとネットの融合でいかに新たなビジネスモデルをつくるかに向けて本格的に動き出した。でも、「ECにリアル店舗の売り上げが奪われる」と勘違いした人たちは動かない、というか動けない。
 
今となっては、「それが経営者との差だったのか?」という気持ちだ。いくら業績やマネジメントに責任を持たせて経営者的に動いてもらっても、経営戦略の視点はまた別なのだ。そのことがよくわかったから、今回の第4次ビジネスモデル改革では、人材効果に偏り過ぎた部分を反省し、能率化不足の部分をシステム化すると同時に、事業目的を再定義しルールを見直しながら、より効率的な“新個店経営”へとみんなで改革して行こうと決めました。
 
 

2024年秋から人件費が1.2倍に!
生産性を上げる準備をしていますか?

 
この決断は何も私の独りよがりじゃなく、企業として社会の変化に対応しただけということでもある。2024年10月――と具体的な日付を聞けばピンと来る人もいるだろう。そう、いわゆる「中小企業の2024年問題」だ。
 
一昨年できた「年金制度改正法」の影響で、2024年の10月からは従業員が51人以上の企業はパートさんにも社会保険を付けることが義務になる。今はまだ「101人以上」だから私の支援先でも免れている会社は多いけど、再来年の秋からはそうもいかなくなる。
 
単純に言って、これは要するに人件費が1.1~1.2倍に上がるということだ。私がこの問題を出すと「今いる従業員を50人まで減らす」という対策を言ってくる経営者がいる。それに対し私は「それもアリだけどその考えはダメだよ」と答える。なぜか。
 
考えてみてごらん。同じ時給で社会保険がある会社とない会社。普通の人はある会社を選ぶよ。わざわざ社会保険がない働き口に来る人は、普通の判断ができない人か曰く付きの人かになりかねない。それに、社会保険がなかったらどっちにしたって時給をそのぶん上げないと人は来ない。時給は仮にそのままで社会保険を付けるか、時給を上げて社会保険を付けないか、どちらかだ。
 
だからどうやっても再来年からは人件費が1.2倍に跳ね上がる。それでも地域のお客さんのために事業を続けようと思ったら生産性を上げるしかない。それには今までの人材効果に偏り過ぎた個店経営では無理なんだ。
 
まさか4回目も自分が陣頭指揮を執るとは思わなかったけど、しょうがない。それもすべては私の不徳と致すところ。だからまずは、息子の勇士に社内のDX化とEC事業のテコ入れをとことん進めさせながら、2年計画で生産性を2倍にすべく、みんなで協力し合って進めて行きます。まだまだ楽はできなさそうです(笑)。そんなわけで、これからも応援、ヨロシク!
 
 
 
■日本商工会議所が高評価した佐藤勝人12作目の著書
「地域密着店がリアル×ネットで“全国繁盛店"になる方法」 (同文館出版)
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■11月21日22日
富山勝人塾
事務局 滑川ショッピングセンター
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■11月24日25日
PIO勝人塾
事務局 郡上商業開発
 
■11月29日
新潟勝人塾
事務局 おぐま式POP塾
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■11月30日
岐阜勝人塾
事務局 メイクオーヴァ
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繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート
vol.73 「2024年問題」への対応も含め、4回目のビジネスモデル改革を断行中!
(2022.11.16)

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ代表取締役副社長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長

 経 歴  

栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。

 オフィシャルサイト 

https://jspl.co.jp/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 YouTube公式チャンネル 

https://www.youtube.com/channel/UCIQ9ZqkdLveVDy9I91cDSZA (サトーカメラch)

https://www.youtube.com/channel/UC4IpsvZJ6UlNcTRHPgjellw (佐藤勝人)

 
 
 

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