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世界各地で古くから愛されている飲み物、レモネード。しかしその中身や認識は地域によって異なる部分があり、それぞれの場所で独自の発展を遂げてきた飲み物とも言えます。日本ではレモン果汁にはちみつや砂糖、シロップなどで甘みを加え冷水で割った飲み物のことをレモネードと指し、アメリカでは、認識は日本と同じですが、子どもたちがレモネードを屋台で販売し、お金の使い方を学びながらおこづかい稼ぎもできる「レモネードスタンド」という文化が定着していて、集めたお金を小児がん治療のために寄付するという社会貢献活動としても広がっているそうです。当連載Vol.3では、そんな歴史のあるレモネードを主軸とし、旬の食材やフルーツを使ったオリジナルのレモネードを展開するキッチンカー、「ねこにレモン」をご紹介いたします。
 
 

レモネードを主軸に壁を乗り越え続けた

 
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ねこにレモン1号車
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2021年に購入した2号車
店主の冨沢蕉鳳(とみざわ しょうぶ)さんは料理が好きで、アルバイト時代に調理師免許を取得したことをきっかけにキッチンカーを開業したと言います。準備を進めて行く中で、料理した商品を提供したいと思ってスタートしたものの、手に入れたキッチンカーが軽バンタイプでキャパシティ的に料理をするのが困難だということに気付き、最初はかき氷とレモネードの2種類で始めたそうです。その後、キッチンカーでドリンクの専門店を運営している人が周りにいなかったことや、レモネードに独自のアレンジを加えたらおもしろそうだと思い、レモネードを主軸にしました。その結果、商材が被りイベントに出店できないということがなく、競合が他にいなかったこともあり、徐々に軌道に乗せることができたと言います。
 
とはいえ、苦労や大変なことも多くあるのがキッチンカー事業です。ちょうどコロナ禍に開業し、当時は緊急事態宣言が発令され外にまったく人がいない状況でした。もちろんイベントなどもなく、出店しても売ることができず、なおかつキッチンカーが今よりもマイナーなイメージだったことで、立ち寄ってもらえないのが当たり前だったそうです。そして、販売しているものがレモネードということもあり、そもそもレモネードとは何なのかを広めていくのも大変で、毎日何かしら壁に当たり、乗り越える――。そんな繰り返しの日々で、開業してから1年目はまさに自転車操業だったと言います。
 
 

レモネードだけで15種類以上!
イベント「夜のキッチンカー市」の主催も

 
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人気のレモネードスカッシュ(右)&蒼いレモネードスカッシュ(左)
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4つのサイズ展開(左からR、L、Q、K)
開業から2年目を迎えた時には、テイクアウト需要が高まりキッチンカーが急増しブームとなりました。そんな中、変わらずレモネードを専門に販売していた冨沢さん。フードの需要が多くドリンクはまだまだ厳しかったものの、外観には大きくわかりやすいタペストリーを掲げ、レモネード専門店ということが一目で認識できるようにするなど、さまざまな工夫を重ねたことで徐々にリピートしてくれる人が増えていきました。
 
「ねこにレモン」では、季節によって外国産と国産のレモンを使い分けていて、外国産に関しては防腐剤などの関係で黄色い皮の部分をすべて手作業で剥いています。はちみつや砂糖などもいろいろな種類を試し、一番おいしいと思った組み合わせを使用。シロップも手づくりです。また、ベーシックなレモネードの他、ライムやアールグレイ、緑茶などに加え、赤しそや梅、桃、桜、甘酒といった時期や季節に合わせたオリジナルレモネードも展開していて、レモネードだけで15種類以上ものメニューがあります。冷水割りと炭酸割りを選ぶことができ、ホットにできるものもあるので、夏は炭酸割りでレモネードスカッシュに、冬はホットレモネードで温まるなど、その時々の状況に合わせた楽しみ方もできるため、お気に入りのレモネードが見つかるはずです。
 
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持ち帰り用ドリンクパック
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ホットレモネード
 
また、冨沢さんは2021年より、キッチンカーを運営しながら「夜のキッチンカー市」というイベントも主催しています。企画しようと思ったきっかけは、コロナ禍で飲食店が時短営業となり、夕食難民が増えているのを感じたからだそうです。キッチンカーは気軽にテイクアウトでき、外の営業のため感染リスクも低い。そう考え、企画に賛同してくれるメンバーを集めました。外食ができず、リフレッシュの機会が激減した当時、「キッチンカー×テイクアウト」というイベントは、多くの人に喜んでもらえる企画となりました。その後も年に1〜2回開催し、今では20台ほどのキッチンカーが集まる、足利市のイベントのひとつとして認知されるようになってきたそうです。
 
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イベント「夜のキッチンカー市」の様子
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SNSを積極的に活用し、情報を発信

 
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Instagramにて出店スケジュールや商品の情報を発信
キッチンカーはファーストインプレッションが重要で、商品の魅力はもちろん、どんな人がどんな思いで売っているのかもわかると、居心地の良さにつながると言います。そのため、「ねこにレモン」ではSNSにも力を入れていて、出店スケジュールやイベント・商品の情報の他、自身の思いや人柄を積極的に発信し、出店時には丁寧に接客を行っています。その結果、リピーターとなった方がまた新しい人を呼び、数珠つなぎのように広がっていきました。
 
うまくいかない時にはその理由を徹底的に追求し、芯をぶらさずに対策を講じ続けた冨沢さん。1年以内に廃業するキッチンカーの割合が約30%という中、今年2024年で開業5年目を迎えることができたのは、レモネードにこだわっていることはもちろん、冨沢さんの人柄やキッチンカー事業に対する熱意が、訪れる人や同業者にしっかりと伝わっているからなのだと思います。古くから世界各地で愛され、老若男女問わず楽しめるレモネード。ぜひ、他にないレモネードを求めて、「ねこにレモン」を利用してみてはいかがでしょうか。
 
 
ねこにレモン
https://www.instagram.com/neko_ni_lemon
夜のキッチンカー市
https://www.instagram.com/yoruno_kitchen_car
ねこにレモン 公式アプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.couponapp2.chain.tac22082
 
個性豊かなキッチンカー
Vol.3 他にないレモネードを求めて――ねこにレモン
(2024.8.21)

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