口頭で、短く伝える
ただ、叱るのって難しいですよね。感情的になって怒るのとは違いますから。叱るときの注意点は、まず、叱ることが悪いことではないので、そう決めたのなら、きちんと叱って、その後に相手をフォローしてあげることが大切だと思います。
フォローとは何かというと、なぜ叱ったのかという理由を伝えることです。仮に何度も同じことで叱られてしまう人は、なぜ指摘をされるのか、その理由を理解していないケースが多い。ですから、なぜそうしなくてはいけないのかとか、なぜそれが駄目なことなのかという、理由をきちんと理解してもらえるよう説明することが大切なのです。相手にも言い分があるでしょうから、それも聞いたうえで伝えてあげましょう。そうやって接することで、相手も「自分が期待されているからこそ、叱ってくれているのだ」と気付いてくれるかもしれません。
期待されるのを嫌う若者
例えば、新たに職場に入ってきた新入社員、あるいは中途採用した社員を迎え入れるときには、その人材に対して受け入れる側の人間たちは期待をしますよね。でも、本人は入社したばかりで、自分には何ができるかどうかわからず、自信がなかったとします。それは、新卒の社員でも、転職してきた人でも同じです。そういう人たちをスムーズに受け入れる際に大事なこととは何だと思いますか?
心の居場所をつくっておく
そうやって、その場にいることで自分が役立っているという実感を得てもらえるように働きかけるんです。そうした小さなことの積み重ねによって、その人は、その職場において疎外感なく心の居場所を持てるようになるでしょう。要するに、その職場に慣れている人間のほうから、関心を持って接してあげることが大事なんですね。
経験のないことを始めるときに、何にも教えていないのに、最初からできる人はいません。できないのが当たり前です。ですから、小さなことでもいいから、できていることを言葉に出してほめる。そうやって自分が何かの役割を果たしていることを実感させてあげればいいんですね。
心の居場所は誰にでも必要なものです。特に新しくチームに加わる人に対しては、ぜひともつくってあげてください。
第25回 心の居場所をつくってあげよう
著者プロフィール
西村 貴好 Nishimura Takayoshi
一般社団法人日本ほめる達人協会 理事長
経 歴
1968年生まれ。大阪府出身の「泣く子もほめる!」ほめる達人。ホテルを経営する家の三代目として生まれ、経営術を学びつつ育つ。関西大学法学部卒業後、大手不動産に入社して最年少トップセールスを樹立。その後、家業のホテルを継いで経験を積み、2005年に覆面調査会社「C’s」を創業する。短所ではなく長所を指摘することが調査対象の企業成長に効果があると発見し、「ほめる」ことの重要性に気付く。数々の実績を上げる中で、2010年2月に「ほめ達!」検定を実施する、一般社団法人日本ほめる達人協会を設立し、理事長に就任。以降、検定を通じて「ほめ達!」の伝播に尽力している。著書に『繁盛店の「ほめる」仕組み』(同文舘出版)、『ほめる生き方』(マガジンハウス)、『心をひらく「ほめグセ」の魔法』(経済界)、『泣く子もほめる!「ほめ達」の魔法』(経済界)、『人に好かれる話し方41』(三笠書房)などがある。
日本ほめる達人協会オフィシャルサイト
西村貴好オフィシャルブログ
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