ちょっとした行動をねぎらう
私は最近、この“ねぎらい”の力に気付きました。私はブログを通じて自分の講演活動や移動中に感じたことなどを記事に投稿して発信しています。その中で、長距離移動中に天候の悪化で足止めを食ったことなど、苦労した話をおもしろおかしく紹介することがあります。あるとき、なんで自分がそういうことを発信しているのかと客観的に考えてみたら、読んでくれた方にねぎらってもらいたいなと思っていることが、一つの要因だと感じました。それで、自分が他人からのねぎらいを求めているのだとしたら、みんなもそうだろうと気付いたのです。
それで、ある企業研修で聞いてみました。「上司からねぎらいの言葉をもらったことがありますか。部下からねぎらいの気持ちを述べられたことがありますか」と。すると、どちらの立場でも「ほとんどない」と皆さん答えるんですね。じゃあ、「ねぎらいの言葉をもらったら、どう感じますか」と聞いたら、誰もが「嬉しい」と答える。つまり、ねぎらいの言葉はもらう側にとって、非常に価値が高いものなんですね。
ですから皆さん、ほんのちょっとしたことでも、身の回りの人に何かをしてもらうことがあったら、その事実に対してお礼や感謝の気持ちを一言返してあげるといいと思います。たったそれだけのことでも、お互いの関係って良好になるものですからね。
みんなに“根拠のない自信”をプレゼントする
例えば子どもの頃、両親はあなたが生きているということだけで愛でてくれたと思います。つまり、存在そのものを認めてくれていた。親から無償の愛情を受けた生い立ちがある人は、自分自身の存在を肯定して幼少期を過ごせたはずですから、根本のところで根拠のない自信を持って大人になります。
もちろん、大人になってからでも根拠のない自信は持てます。1人でもいいから、身近に自分の存在を肯定してくれる人がいればいいんです。ただ、自分自身がそれを他人に求めても、なかなかそうなるものではないですよね。ですから私は、私自身が誰かの“根拠のない自信の源”になろうと思いました。
では何をしているのかというと、根拠のない応援をするんです。「あなた、今年はきっとブレイクすると思いますよ」とか「今の頑張りを見ていると、君の3年後は想像するだけでも楽しみだな」とか。軽いことを言っているように思われるかもしれませんが、意外にも、根拠のない応援って他人の心に残るし、喜ばれるんです。だから私は、これをどんどん実践するようにしています。
仮に私が言ったのと同じようなことをたくさんの人に言われた方がいたとすれば、その人にとっては、それが本当の自信になっていくんです。ですから、根拠のない応援を発する人の輪を広げていけば、世の中は今よりも、必ず、明るく、良くなっていくと思います。
例えば、子どもが大人たちから自分を肯定するような言葉をたくさんもらえたら、どれだけ自信になるかを考えてみてください。根拠のない応援は、相手の害にはなりません。ほめる必要すらないんです。プラスのイメージと「なんとなくそんな気がする」、そういう言葉を伝えればいい。そうやって他人を認める言動を続けていると、逆に自分のことを認めてくれる存在が出てくるものです。ですから皆さん、私と一緒に、根拠のない応援を実践しましょう(笑)。
第24回 “ねぎらう”ことの大切さ
著者プロフィール
西村 貴好 Nishimura Takayoshi
一般社団法人日本ほめる達人協会 理事長
経 歴
1968年生まれ。大阪府出身の「泣く子もほめる!」ほめる達人。ホテルを経営する家の三代目として生まれ、経営術を学びつつ育つ。関西大学法学部卒業後、大手不動産に入社して最年少トップセールスを樹立。その後、家業のホテルを継いで経験を積み、2005年に覆面調査会社「C’s」を創業する。短所ではなく長所を指摘することが調査対象の企業成長に効果があると発見し、「ほめる」ことの重要性に気付く。数々の実績を上げる中で、2010年2月に「ほめ達!」検定を実施する、一般社団法人日本ほめる達人協会を設立し、理事長に就任。以降、検定を通じて「ほめ達!」の伝播に尽力している。著書に『繁盛店の「ほめる」仕組み』(同文舘出版)、『ほめる生き方』(マガジンハウス)、『心をひらく「ほめグセ」の魔法』(経済界)、『泣く子もほめる!「ほめ達」の魔法』(経済界)、『人に好かれる話し方41』(三笠書房)などがある。
日本ほめる達人協会オフィシャルサイト
西村貴好オフィシャルブログ
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