自費出版で4万部売った1冊目
でも実は、途中から版元が増刷を渋り出したんだよね。なぜって、増刷分は自費出版じゃないから。それにハードカバーで製本コストも高かったし、ビジネス書は2000部とか3000部ずつしか増刷しないから、文芸書で大ベストセラーを狙いたい出版社からすれば面倒だったんだろう。私はそれを感じ取ったから、1冊目をベースにリニューアルした企画を同文舘出版のビジネス書出版会議に持ち込んで、おかげさまで出してもらえることになり、2冊目で商業出版の著者としてデビューしました。それ以来、同文舘出版とは、著者としても当然ですが、新規の著者候補と出版社との間に入る出版会議ファシリテーターとしても、すごくいいお付き合いをさせていただいています。
中小の出版社による内容重視の本づくり
お付き合いが始まって今年でもう15年かな。同文舘出版を見ていて思うのは、とにかく誠実なんだよ。忙しい中でも企画書をちゃんと見てくれて、「これは!」と思う企画は著者と一緒になって磨き上げて、内容重視の本づくりを続けている。大手は有名人を著者に立ててその時々の注目のテーマで一山当てて、次でまた一山当てて、また次に行って、という流行追い型の本の出し方をするんだけど、同文舘出版みたいな中小の版元はあえて有名人の著者を狙わず、純粋にビジネス書としての役割を全うする実践的な内容の本づくりを追求する。そうすると、世間的には無名で裏方でも、そのテーマ関連の現場で実績を上げている人のほうが、かえってリアルでおもしろい話を持っているんだよね。同文舘出版はそういう実践的な人たちに光を当てている。だからおもしろいんだよね。
私が同文舘出版の出版会議ファシリテーターを買って出る理由もそこなんです。おまけが付いてるからなんです。だって、出版会議に参加すると、その道のプロたちの企画書が、居ながらにして自分の目の前に並ぶんだよ。わかりにくい箇所があって「これってどういうことなの?」と突っ込めば、その業界のプロ中のプロが、臨場感たっぷりに、現場の生の声で説明してくれるんだよ。こんな生きた勉強ができる場所は滅多にない。メチャおいしい。
幸いにこれからも出版会議ファシリテーターとして呼んでいただけるみたいだから、お声がかかる限りは末永く続けていきたいです。皆さんも、本が出したくなったらぜひ同文舘出版主催のビジネス書出版会議に企画書を持ち込んでください。きっと知らない世界が拓けますよ。言っとくけど、こんなチャンスはそうそうないんですよ。
販路もテーマもまだ限られる中国で私が本を出す理由
何が大変だったかって、中国の出版事情はおわかりのように特殊なんですよ、やっぱり。そもそも日本ほど街のあちこちに書店がない。日本みたいに本を出したい人と出版社が意気投合すれば好きな本が出せるわけでもない。実質上の検閲があるから下手なことは書けないし、特に私みたいな外国人の著者は厳しく見られるから、万全を期する必要がある。
それより何より、日本語で話す時のニュアンスを中国語で伝わるようにするのに苦労しました。私が普段話しているような歯に衣着せぬ感じを生きた中国語にするのがどれだけ難しいか(笑)。もちろん、最終的には完全に伝えるのは不可能なんだけど、できるだけのことはしたつもりです。だから、ぜひ、たくさんの中国の方々に買って読んでもらいたいと思っています。
出版社は学研です。中青学研という中国法人があって、そこは子ども向けの本やカメラ関係の雑誌を出していたんだけど、数年前から中国もビジネス書ブームになっていて、会社的にもビジネス書をやりたかったそうなんだよね。私も私で、サトカメスタイルの本を中国で出したいと思っていた。それで現地の電通に相談したら学研の社長を紹介してくれて、会って話したらお互い意気投合して、企画が通ったわけです。
ただ、学研は今回の本に関して申し訳ない気持ちがあるらしい。本来であれば、カメラ・写真販売以外のことも盛り込んで一般の人も読める本にしたら13億人市場を狙えるんだが、学研としてもビジネス書の流通販路がまだまだ少ない。しかも、初めてなのでテーマをカメラ販売店向けに絞ったこともあり、基本の販路もその関連に限られる。そこが出版社として著者に申し訳ないんだって。
でも、最初はそれでいいんだよ。まずは中国全土のカメラ販売店関連の「優良店」と呼ばれている店の経営層にこの本を読んでもらい、彼らの変化を見て他の店の意識が変われば、中国全体のカメラ販売店の底上げができるだろう。それで「サトカメスタイル」というブランドが信用を得れば、その次は販路を広げて、カメラや写真以外の業界のテーマも盛り込めるだろう。私は一山当てて印税で儲けるために本を出すんじゃないんだ。中国の写真文化を変えるために本を出すんだ。大陸全土で“地域の人々の想い出をキレイに一生残すために”を実現するための、今回の本は種まきなんだ。
しかも、畑の土の具合に関しては、少しは手応えを感じている。まだまだ理想には程遠いけどね。というのも、7月に宇都宮で恒例の社内研修「サトカメエキサイティング」をやったんだけど、なんと、キヤノン中国から商圏人口3億人の華南地区の支社長が、わざわざ中国から参加してくれたんだよ! それも私たちに黙って、自発的に!
支社長に感想を聞いたら「グローバル企業よりもグローバル企業だ」「私たちグローバル企業が実はサトーカメラに学んでいるんだ」って。「絶対に中国で定期的に佐藤勝人経営セミナーをやる!」とも言ってくれた。嬉しいよね~。もしかしてその時には、例えば今度出る本を取り上げて、本では削ぎ落さざるを得なかった生のニュアンスをその場の言葉で伝えられるかもしれない。そうしたら本の効果も倍増! 彼らの成長も早まると思う。ああ、早く本が出ないかな。今から楽しみな今日この頃です。
-2017年9月の勝人塾-
経営者の悩みを即解決! 少人数制・公開コンサルティング形式の経営者のための勉強会「勝人塾」。9月は下記日程で行います!
9月の勝人塾
9月14日和歌山勝人塾
9月20日PIO勝人塾
9月25日新潟勝人塾
9月26日とちぎ勝人塾
9月27日同文館出版主催・宇都宮ビジネス書出版会議
詳細はこちら
第11回「佐藤勝人と行く アメリカ商業視察セミナー」申込受付中! 詳しくは下記をご覧ください。
http://www.satocame.com/seminar_usa2017.html
vol.10 節目の10冊目でビジネス書を出すことについて考えた
著者プロフィール
佐藤 勝人 Katsuhito Sato
サトーカメラ代表取締役副社長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長
経 歴
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
オフィシャルサイト
オフィシャルフェイスブック
https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts
サトーカメラオフィシャルサイト
YouTube公式チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCIQ9ZqkdLveVDy9I91cDSZA (サトーカメラch)
https://www.youtube.com/channel/UC4IpsvZJ6UlNcTRHPgjellw (佐藤勝人)