法人でも医療保険に加入できる
世間では「医療保険は個人で入るもの」という認識が一般的です。実際に、医療保険市場の加入者のほとんどが個人です。しかし、医療保険は法人でも加入できます。実は、あまり知られていない加入方法があるのです。節税のために保険を検討したことがある経営者の方は多数いらっしゃるでしょう。しかし、法人の医療保険を利用するお話を聞いたことのある方は限られると思います。中小企業の経営者様が知っておくと必ず役に立つ情報なので、ぜひご注目ください!
法人での加入方法
個人で医療保険に加入する場合は、年末調整や確定申告で介護医療保険料控除という枠を使い所得を控除できますが、年間8万円以上の保険料支払で最大4万円の所得控除しかできません。保険料の全額を経費にするのと年間4万円の所得控除では、節税効果は比較するまでもありませんよね。
法人で加入する際の注意点
そして、個人の治療費に充てる場合は、社会通念上認められる範囲で行わなければなりません。個人で医療保険に加入している際に受け取る給付金は非課税なので、法人と個人で加入する医療保険の大きな相違は、この点にあると言えるでしょう。
保険の名義を個人に変更する
終身の医療保険を短期(仮に10年とします)で払い込みを終えたとします。法人の経費として保険料を払い続ければ、10年後には払い込みを終えた保障が終身まである医療保険が手元に残ります。この時点では、この保険は法人のものです。
しかし、仮にご勇退をされる時などに退職金と一緒にこの保険の名義を法人から個人に変更してしまえば、個人のものとなります。すると給付金も個人で、なおかつ非課税で受け取れるのです。しかも保険料の払い込みは終えているため、実質個人で保険料を負担しないまま、終身の医療保険を持つことができます(※1)。
この方法は法人を持たない会社員はもちろん、上場企業などでは検討できない、まさに中小企業経営者だけが実践できる加入法です。これを機にぜひ一度、加入をご検討してみてはいかがでしょうか(※2)。
※1 保険の名義変更をする場合、保険の価値は解約返戻金相当額で判断します。解約返戻金が10万円の医療保険を法人から個人に名義変更する場合、個人が10万円で法人から買い取る処理が必要です。
※2 記事は2018年1月時点の税法上に基づく見解です。今後税法が改正し、上記の方法が認められなくなる可能性もありますのでご注意ください。
vol.4 経営者必見! 法人で活用する医療保険
(2018.3.28)
著者プロフィール
八木 照浩 Yagi Akihiro
Ever Side 八木照浩保険代理店FP事務所 代表
経 歴
慶應義塾大学経済学部で国際金融論を専攻。卒業後は国内の生命保険会社で企業保険や個人保険の営業、法人リスクコンサルティングを行う。総合保険代理店に転職し、複数の生命保険会社の商品を手掛け、ノウハウを蓄積する。その後、培った知識と経験を活かすため独立を決意。生命保険に特化した総合保険代理店FP事務所Ever Sideを開業した。日本FP協会東京支部会員。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®(日本FP協会)、トータル・ライフ・コンサルタント(生保協会認定FP)、相続アドバイザー、コンプライアンス・オフィサー。
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