法人保険加入で大切なものを守る
個人保険と法人保険に、なぜこれほど認知度の差があるのでしょうか。大きな原因は、加入するきっかけやタイミングの有無にあると考えられます。個人保険の場合、結婚や出産など、自分以外に守るべきものができたタイミングで「もしも自分に何かあった時のために」と考えて加入する方が多く、イメージしやすいのです。
しかし、会社には結婚も出産もありませんから、加入の必要性を感じるタイミングがなかなかありません。そのことが認知度や加入率の差につながっているのです。とはいえ、守るべきものという観点で見た場合、もちろん会社にも守るべきものはありますよね。経営を存続させ、従業員とその家族を守ることは、会社が果たすべき大切な役割です。結婚・出産など、新しい家族ができたことが個人保険加入の契機になるのなら、会社設立自体が法人保険加入の契機になってもおかしくはないのです。
社員や家族に借金を残さないために
そこで、経営者の皆様が最初に考慮すべきは、社員や家族に借金だけは残さぬよう、借入金を相殺できるだけの保障を有しておくことでしょう。ただし借入金と同額の保障を用意していれば安心という訳ではありません。生命保険で会社に入ってきた金額は会社の収入となりますので、黒字企業は法人税の支払いが発生することとなります。法人税を支払って残った金額で借入金返済ができるよう、いわゆる納税準備資金まで考慮する必要があるのです。
次にすべきは、固定費と運転資金を補填できるような備えです。会社が稼働し続け、そこで労働する会社員がいれば、必ず一定の固定費と運転資金が必要になります。もし社長が急な事故や病気によって退陣を余儀なくされ、後継者に代替わりした場合、それまでと同じ売り上げをすぐに達成することは難しいでしょう。だからこそ、後継者が独り立ちするまでの期間、赤字が続いたとしてもどうにか経営を存続させられるだけの資金を保険によって用意しておく必要があるのです。
万が一に備えた早めの対応を
vol.2 法人保険の必要性
(2017.11.29)
著者プロフィール
八木 照浩 Yagi Akihiro
Ever Side 八木照浩保険代理店FP事務所 代表
経 歴
慶應義塾大学経済学部で国際金融論を専攻。卒業後は国内の生命保険会社で企業保険や個人保険の営業、法人リスクコンサルティングを行う。総合保険代理店に転職し、複数の生命保険会社の商品を手掛け、ノウハウを蓄積する。その後、培った知識と経験を活かすため独立を決意。生命保険に特化した総合保険代理店FP事務所Ever Sideを開業した。日本FP協会東京支部会員。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®(日本FP協会)、トータル・ライフ・コンサルタント(生保協会認定FP)、相続アドバイザー、コンプライアンス・オフィサー。
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