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 世を捨てた理由は色々詮索されていますが、政権交代により出世に影が差したこと、生まれつき超俗的性格 (生まれは神官の出) だったことも起因しているようです。また失恋、悲恋とかの色恋沙汰が原因で世を捨てたわけでもないようです。
 
(2) 兼好法師の女性観と世捨ての関係
 そのことは、70歳まで独身だった兼好の女性観を2つほど見るとなんとなく想像できます。
 
  (第八段)     女の色香の威力 ―世の人の心―
「世の人の心惑わすこと、色欲にはしかず。人の心は愚かなるものかな。匂いなど仮のものなるに、、、、以下略」
 
出世欲とか金銭欲なんて望みはあきらめ断ち切れたとして、身体が望む性欲まで断ち切れるのかと兼好は不安に思っていたことは確かなんでしょうが、失恋したという証拠にはなりませんね。
 
(第三十二段)月見る女の心配り ―九月二十日の頃―
「、、、わざとならぬ匂ひ、しめやかにうち薫りて、忍びたる気配、いとものあはれなり。、、中略 、、 しばし見いたるに妻戸を今少し押し開けて月見る気色なり。やがて掛けこもらしかば、口惜しからまし。後まで見る人ありとはいかでか知らむ。」
 
 この2つの女性に関する記述を見ると、失恋、悲恋とかの色恋沙汰が原因で世を捨てたんではなく、むしろ女性に関しては憶手ではなかったんでしょうか? だって、香の匂いのする、女性の家を物陰から覗いていたわけですから、何か変ですね。
 
 
 

3、鎌倉室町時代、昭和、平成の時代のリテラシー

 
 さていよいよ本題です。これほど高度に発展してしまった今の世の中、今まではITを使いこなせなくとも、別にどうってことなかったんでしょうが、ここへきてデジタルデバイド、つまり情報技術 (IT) を使いこなせる者と使いこなせない者との間に生じる、機会の格差、個人間の格差が顕著になってきたようです。使えこなせない人は、ものすごく遅れてしまっていることに気付かないまま取り残されているんじゃないでしょうか。
 iPhoneなんて、単なる電話だと馬鹿にしてそっぽ向いていましたが、4ヶ月ほど使い続けて、いまだに度肝を抜かされ続けています。
 さて話が横道に行く前に元に戻しましょう。
 
(1)鎌倉室町時代の男の必須科目
 さて徒然草の話です。東洋経済のかなり前の記事によると、21世紀を生き抜くビジネスマンに欠かせない3つのリテラシーは 「パソコン」 「英語」 そして 「会計」 である、とありました。
 私が育った時代は 「読み」 「書き」 「そろばん」 が必須科目でした。ですから小学生は、皆、そろばん塾に通っていたんですね。
 さて、鎌倉幕府から室町幕府に交替する時期、いわゆる南北朝の時代の必須科目は何だったのでしょうか?
 
第百二十二段) 男子の必修科目 ― 人の才能は ― 
 
  1. 文字が読めて漢籍に詳しい。古典の書物に精通して、聖人の教えを理解していることを第一とする。
  2. 文字を上手に書けること。名人になろうとしなくても、ぜひ習うべきだ。
  3. 医術を習うべし。己の身体を管理すること、人を助けること、主君に忠義を尽くし、親に孝行するのも、医学の知識がなくてはできないこと。
  4. 武・弓道と乗馬。これは六芸の中に入っている。ぜひ習うべきだ。
  5. 調理。味を上手に調理できる人は、大いなる才能だと考えていい。
  6. 手芸工作。
 
 鎌倉時代は、「読み」、「書き」、「医術」 それに 「乗馬」 に 「調理」、最後に 「手芸工作」 なんですね。 
 

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