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日本相撲協会とコーポレートガバナンス問題

 

 日本相撲協会の4期8年ぶりの理事選挙で、大方の予想に反し貴乃花親方が理事に当選しましたね。そして大島親方 (元大関・旭国) が落選してしまいました。そして 朝青龍の暴行問題に端を発した引退劇、これもある意味では想定外の出来事でした。この二つの結果の意味するところは何でしょう?
 そしてもう一つ、世間一般ではあまり騒がれませんでしたが、日本公認会計士協会では5期15年ぶりの理事選挙が行われました。
 相撲協会の場合は定員10人に対して11人立候補、日本公認会計士協会の場合は、定員39名に対して40人立候補。
 理事の人数を一人増やせばいいのに!なんてトンチンカンなコメントを付していた人がいましたが、選挙をやることの意義を考えてみたいですね。
 そして朝青龍はなぜ引退に追い込まれ、なぜ相撲協会は彼の意思を意外にも早々と、受ける決意をせざるを得なかったのでしょうか?
 日本相撲協会の理事会のメンバーには社外役員が二人います。世論の風という味方を背中に受け、理事会の中での彼らの発言は重みを増していたはずです。そのことは当時の新聞報道にも現れていました。私は、直感として 「相撲協会にもコーポレート・ガバナンスが効いたな?」 とこの報道で感じました。

  「コーポレート・ガバナンス、って何?」と思われる方が多いはずです。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』で調べてみてください。どうでしたか?余計にわからなくなりますよね。
 私も公認会計士の立場から、ある上場会社の社外監査役を務めており、「ガバナンスって何?」 と、常に自問自答している者として、これらの出来事は無関心でいられません。
 そこで今回は 「ガバナンス」 を考えるにあたって、私なりの卑近な例からアプローチしてみたいと思います。

 

1. 日本相撲協会のコーポレート・ガバナンス

 日本相撲撲協会は財団法人になっています。運営は理事会によってなされており、社外理事も2名いますが、部屋制度というある意味で旧態依然とした風習を引きずっているようで、各相撲部屋中心の組織体となっており、全体を統括するはずの財団法人そのものは、各部屋の連絡協議会的色彩が強そうです。この辺は鮎滝渉さんのブログ「鮎滝渉ルーム」の図解がわかりやすいですね。
 朝青龍引退問題報道に接して、社外理事の役割をも含めてコーポレートガバナンスが働いてきていると思わせる部分があるものの、暴行事件や傷害事件が多発する現在の相撲部屋の一般的イメージからは、まだまだという気がします。

 

2. 日本公認会計士協会のコーポレート・ガバナンス

 ガバナンス推進の総本山ですし、自らの姿勢を糺す意味でも、ガバナンス改革は進んでいます。あちこちで報道された粉飾事件や、巨大監査法人の崩壊等、この数年間の我が公認会計士業界を走った激震は、信用失墜の部分が多かったものの、世間からの 「監査法人」 「公認会計士」 の知名度を上げさせ、変な意味で世の中の注目を浴びてさえいます。であるが故に、協会執行部のガバナンス強化策にも身が引き締まります。
 しかし、15年間も東京で理事選挙が行われなかった実態は、何だったんでしょうか?
 私自身、15年前の理事選挙で協会活動に入り込み、今や引退の身ですが、その実態がある程度わかるが故に、今回の選挙で 「公認会計士協会の貴乃花になります!!」 といって飛び出てきて、やはり大方の予想を裏切り当選を果たした若者がいたことは、その部分においては評価したいですね。コーポレート・ガバナンス強化の視点から良い事と考えましょう。

 

渡辺俊之 軒昂奉仕 徒然泣き!人生 

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