大衆とマスコミのタッグで
一経営者の功績が全否定される
だって、あそこは中古車販売業界では見本的な会社で、業界では尊敬の眼差しで見られてたんだよ。町場の自動車修理整備業から始まって、中古車販売を始めて、一代で300店舗、従業員6000名まで大きくして、中古自動車販売の国内シェア圧倒的№1の企業になった。中古車販売でチェーンストアって、難しくてなかなかできなかったんだから。ビッグモーターの前社長の功績ってすごいんだから本当に。
今問題になってるのは、従業員ベースか店舗数ベースか売上高ベースか知らないけど、全体の2%にあたる部分でズルをやっていたという、その部分でしょ。そりゃあれだけ大きくなったら1%や2%ぐらいのズレは生じるもの、やり過ぎちゃう人というか店というかは出てくるって。それすらもなくしようと思ったら、全従業員の一挙手一投足をセンサーカメラで記録するみたいなことをする時代になるんだね。
あの手の悪さというかズルというかは中古車販売業界では常識の範囲内なの。かつては常識だった、とまで言ったら語弊を生むけど。「ビッグモーター」ってくくりじゃなく「中古車販売業界」っていうくくりでパーセンテージを出せば、昔は2%どころじゃない、10%以上が似たようなことやってたの。
で、そこまで減ったのは何でかって言ったら、ビッグモーターが圧倒的シェアをとって業界内のそういう店を退場させ、業界を浄化していった部分もある。その手腕をこの前までみんな、メディアも販売情報誌も同業者たちも、素晴らしいって言ってたんだよ。
それが、ズルが発覚した途端にコロッと手のひら返しだからね。怖いわ~。
「トップの指示で全社的に」はありえない
経営者ならみんなわかるはず
で、グルだったかどうかについても、保険会社ってのは販売量のある企業にはああいう感じでベッタリなのよ。どこの販売業の世界でも同じなの。昔はメーカーセールスが土日祝に店頭販売の応援に入ってね、自社の製品を売る。店は助かるわけよ、忙しい時に手伝ってくれるわけだから。それを保険業界もやっていただけ。
店は助かって恩に感じるから、担当者の人情として、店頭応援に来てくれるメーカーの製品は多めに仕入れるようになる。それって部署内の人情の部分なのよ。それを利益誘導と言えば今の時代はそうなっちゃうけどね。
トップの指示で会社ぐるみでやってたとかそんなんでもないの。わかりやすく言えば、忙しい時に手伝ってくれたら晩御飯ぐらいご馳走したくなるし、お酒が入ればみんな冗談も口に出るんだよ。「今月売り上げ足りないからさぁ」とか、「ちょっと利益厳しそうなんだよな~」みたいな話がね。
もちろん駄目だよ。言うほうも駄目だし、聞いたほうもやっちゃ駄目なのが大前提なんだけど、けど、やろうと思えばできちゃう業界だから、何%かは実際やっちゃう人がいるんだよ現場には。そこをゼロにしようったってそこまでガッチリとは管理しようがなかったわけでね。
またマスコミも悪いな~と思うのは、トップの指示でやってたっていう筋書きに持っていこうとしてるよね。そのほうが話がシンプルになって大衆にウケるからね。
でも、経営者ならみんなわかることだけど、トップが不正を指示するなんてあり得ないから。じゃなきゃあんな大きな会社つくれないって。そんな程度の経営者が一代でビッグモーターほどの会社をつくれると思うのは経営を舐めすぎ! そんな甘い世界じゃありません。
リスクゼロ社会は100%管理してもらう社会
むしろそれを大衆は求めているのか?
――で、私は今回のメディアの叩き方を見て、「あれっ、もしかして実際そのつもりなのかも」と思った。「100%監視し管理する社会に、したいですよね、していきましょうね、していきますよ」というメッセージに思えたんだ。
それを先行してやった国が中国だ。町中にそれこそ5m間隔で監視カメラを設置し、信号無視はもちろん、個人の行動が全部監視され、記録される。違反行動があれば街角の大画面モニターで「この人はこういうことをやりましたよ」と通行人に映像でさらす。もちろん、当局は個人まで特定している。
始めた頃は市民はみんなブーブー言っていたが、交通違反が減って街の治安が良くなって「クリーンで安全な社会」がいったん現れたら、「こっちのほうがいいね」とみんな言い出した。監視されていることを気にしなくなった。
だって、そのほうが楽だから。危険を想定しなくていい。リスクを考えなくていい。人を疑わなくていい。100%管理してもらえれば自分で物事を考えて判断しなくて良くなる。こんな楽なことはない。
今回の件でマスメディアがあれだけビッグモーターの不正を叩くのも、もしかして、大衆を扇動して日本を監視社会に持って行こうとして国ぐるみで動いてるんじゃないの? だって、それくらいに思わないと、あれほどの手のひら返しは腑に落ちないもの。
「早く来い来い監視社会。マイナンバーカードよこんにちは♪」ってか。笑っちゃうね。まったく。
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担当/佐藤夏美 contact@jspl.co.jp
vol.82 ビッグモーターの件は何が怖いか
(2023.8.23)
著者プロフィール
佐藤 勝人 Katsuhito Sato
サトーカメラ代表取締役副社長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長
経 歴
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
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