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主演をはじめとするキャスティングが順調に進む一方で、コロナ禍の影響で出資予定だった会社が出資を取りやめてしまうなど、企画が中止になってしまいそうな雰囲気もあったという。
 
 

どんな状況でも企画を成立させるのが仕事

 
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コロナ禍で被っている被害は、各業界それぞれあると思います。お金の話で言うと、映画への出資なんて、会社としては真っ先に取りやめる対象になるわけですよ。それでも、クランクインの日にちは決まっているし、タイムリミットがある中で、準備はどんどん進んでいく。その中で、「うちは出資をやめました」という会社が出てきたから代わりを探さなきゃいけない。ただ、女優はそろっている。もし女優が決まっていなかったら、製作を中止していたかもしれません。
 
そんな状況になってきたら、僕もテンションが上がってきたんです。まるで、25年前にチームオクヤマのスタートとなった、浅野忠信主演の『地雷を踏んだらサヨウナラ』のときのように。あのときも「誰が出資してくれるんだ」という状況の中で、やるということだけは決めて製作を進めていて、その頃の感覚が蘇ってきたんですね。それで、昔からのお付き合いのあるところを一つひとつ丁寧に当たっていった。結果として、不幸中の幸いで、最終的には出資者が決まりました。すでに撮影中でしたけどね。
 
プロデューサーというのは、通常ならリスクが高いからやめようと思う企画でも、それを成立してみせるのが仕事だと思っています。どんな状況にあっても作品を生み出すのがプロフェッショナルのプロデューサー。そういう意味では、今作はやりがいのある仕事でしたね。
 
 
奥山氏は今作を「女たちの映画だ」という。女優たちにはどのような演技を求めたのか。
 

女優たちがつくり上げた女たちの映画

 
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喜怒哀楽の表現の中で、観た人の胸に届く力のある演技をしてもらいたい。僕はそれを期待していると女優さんたちに言いました。「海外の良質な作品は、言葉がわからなくても、泣く、わめく、ケンカをしている姿を見るだけで、その感情のテンションに引きずり込まれるでしょ」と。そうした生々しさが一番、人の心に届くんです。どんなヘビーな問題をテーマにしても、人間のナマの感情をそこに存在させて、鑑賞する人たちに感情移入してもらう。
 
今作では、サヘル・ローズや若手の筒井茄奈子まで、すべてのキャストがこちらの意図を汲んでやってくれた。そこは理想的だったなと思います。それと内田監督が、エチュード方式という、あんまり演出を細かく指示しない手法で撮影をした。だから、監督自身の存在感は薄い(笑)。でもそのおかげもあって、本人たちはすごく伸び伸びと自分の想定する演じ方ができた。そういう意味でこの作品は、女優たちがつくり上げた女たちの映画と言えると思います。
 
 
 
 

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