どんな状況でも企画を成立させるのが仕事

そんな状況になってきたら、僕もテンションが上がってきたんです。まるで、25年前にチームオクヤマのスタートとなった、浅野忠信主演の『地雷を踏んだらサヨウナラ』のときのように。あのときも「誰が出資してくれるんだ」という状況の中で、やるということだけは決めて製作を進めていて、その頃の感覚が蘇ってきたんですね。それで、昔からのお付き合いのあるところを一つひとつ丁寧に当たっていった。結果として、不幸中の幸いで、最終的には出資者が決まりました。すでに撮影中でしたけどね。
プロデューサーというのは、通常ならリスクが高いからやめようと思う企画でも、それを成立してみせるのが仕事だと思っています。どんな状況にあっても作品を生み出すのがプロフェッショナルのプロデューサー。そういう意味では、今作はやりがいのある仕事でしたね。
女優たちがつくり上げた女たちの映画

今作では、サヘル・ローズや若手の筒井茄奈子まで、すべてのキャストがこちらの意図を汲んでやってくれた。そこは理想的だったなと思います。それと内田監督が、エチュード方式という、あんまり演出を細かく指示しない手法で撮影をした。だから、監督自身の存在感は薄い(笑)。でもそのおかげもあって、本人たちはすごく伸び伸びと自分の想定する演じ方ができた。そういう意味でこの作品は、女優たちがつくり上げた女たちの映画と言えると思います。