プロフィール 1975年11月11日生まれ。小学3年生時に大阪ラグビースクールに入団してラグビーを始める。その後、東海大学付属仰星高等学校、京都産業大学に進学し、大学在学中にラグビー日本代表に選出。1996年のアジア選手権を経てトライゲッターとして活躍、注目を浴び始める。神戸製鋼へ入社した1998年からは10年以上も日本代表の先発メンバーとして定着し、神戸製鋼コベルコスティーラーズでも中心選手として活躍。日本ラグビー界になくてはならないスタープレイヤーとしての地位を確立した。2002年7月6日、ワールドカップアジア最終予選・台湾戦でテストマッチ日本新記録の8トライを記録。2006年5月14日のグルジア戦では3トライを挙げてテストマッチ通算65トライの世界記録を達成した。2010~11シーズンのトップリーグ開幕を前に引退を表明。2011年1月9日、リーグ最終戦の豊田自動織機戦を最後として、トライ記録を69まで伸ばして選手生活に区切りをつけた。現在はNHK-BS1「スポーツドミンゴ」にてキャスターを務める他、各種媒体へのインタビューなど、今後の活動フィールドを模索している。
‥はじめに‥
今回のインタビューがスタートしたのは、3月11日の13時40分頃。まさに東北地方太平洋沖地震が発生するわずか1時間前のことだった。語り手は元ラグビー日本代表選手の大畑大介氏。この記事を進めている最中も、メディアを通じて凄惨な様子が繰り返されている。その中で、はっきりと確信したことがある。未曽有の国難を目の当たりにして、誰もが強い日本でありたいと願っている。強い団結力をもって、この危機に立ち向かいたいと願っている。だからこそ、このインタビューが少しでも多くの人々のモチベーションにつながってほしい・・・。偶然か必然か、今回のテーマは 「強いチームを作るためのチームワーク論」 だ。「世界が目を見張るようなチームワークを発揮して、共に復興へ向かおう」―― B-Plusは、この願いをこめて4月号をお届けする。
サッカーや野球といったメジャー競技に比べればマイナーとされるスポーツ――ラグビー。しかし、一度は 「大畑大介」 の名前を耳にしたことがある人は多いのではないか。大学時代からラグビー日本代表に名を連ね、ジャパンラグビートップリーグの神戸製鋼コベルコスティーラーズでも中心選手として活躍し続けた大畑氏。25年もの間、日本のラグビーシーンを牽引しつづけ、69トライという通算テストマッチトライ記録を誇る。まさに世界が注目した平成JAPANを代表するラガーマンと言えるだろう。その彼が、現役時代にどのようなことを考えてプレーしてきたか、また強いチームワークとはどういったものなのか。大畑氏は、語りはじめる。
ラグビーのおもしろさ
ラグビーというのは、おもしろいスポーツだと思いますね。皆さんご存じのとおり、とにかくプレーが激しいですから、球技と格闘技が混ざり合ったスポーツと言えるわけです。しかもルールの特性上、前に進んでゴールを目指すのに、ボールは前に投げちゃいけない。後ろに運んで、仲間に託すしかないわけです。つまり、前を走る人間は、自分が体を張って守り抜いたボールを後方の仲間に預ける、いわば自己犠牲のスポーツですよね。それに、団体球技の中でもフィールドにいる人数が一番多いスポーツですから、もうチームワークの極みというか、団体競技の極みというか。ぼくはまさに 「ラグビーは社会の縮図」 だと思っているんです。だってそうでしょう? 自分が大事にしているもの・・・・・・それがボールならば、そのボールを預ける仲間に信用や尊敬がないと預けられません。
ラグビーを形容するとき、いろんな言い方ができますけど、「人の温かみがわかるスポーツ」 というふうにぼくは思っているんです。練習も、個人練習もしっかりやりますが、チームとしての練習が非常に多く、また重きを置かれますから、まさに苦楽を共にした仲間と絆でつながっていかないと成立しないんですよね。一人だけヒーローになるのではなく、チームのメンバーがそれぞれチームメンバーを大事にしていかないと、結果は出てこない。
ラグビーを形容するとき、いろんな言い方ができますけど、「人の温かみがわかるスポーツ」 というふうにぼくは思っているんです。練習も、個人練習もしっかりやりますが、チームとしての練習が非常に多く、また重きを置かれますから、まさに苦楽を共にした仲間と絆でつながっていかないと成立しないんですよね。一人だけヒーローになるのではなく、チームのメンバーがそれぞれチームメンバーを大事にしていかないと、結果は出てこない。