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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

ラグビーはまさに社会の縮図
圧倒的な個が牽引する最強組織論

 
 
共通の認識を持ち、問題点と改善点を共同で見いだせるチームは、確かに強いだろう。しかし、場合によっては想いが強すぎて意見が通じなかったり、コミュニケーションがとれなかったりすることもなくはない。その場合、大畑氏はどのように仲間と語り合うのか?
 
 

チームの潤滑油になるものとは?

 
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 単刀直入に言うと、相手よりも自分の実力が上だと認めさせる行動が必要でしょう。ぼくが小学校時代に経験したダッシュ競争で人に認められたように、自分が何か強いパワーを持っていなければ、相手が信用してくれるはずはありませんから。「実力があるこいつが言うんだ。だったら意見として聞き入れよう」。そう思ってもらうためには、自分の実力を高める以外にはないですよね。つまり、自分を磨けば、周囲もついてくるわけです。発言力って、つまりそういうことなんだと思いますよ。
 もっとも、相手からきついことを言われたり反発されたりするのは、自分に力がない証拠でもある。それをただ貶されているとか尊重されていないと感じて終わるのは寂しい。だから、ぼくは自分が犯した失敗は二度と繰り返さないようにしてきましたし、自分の糧にできるように、何ができていて何が足りなかったのかを徹底的に分析してきました。 
 そういう意味では、いろんな経験をしようとしなければ、チャレンジしていかなければ、何も始まりませんよね。チームメイトと一緒にいればいるほど耳の痛い意見はお互いに言いにくくなりますが、それではどちらも成長できっこない。やはり「個」を磨くべきなんです。
 
 
 
2011年1月9日、リーグ最終戦で右ひざ膝蓋腱を断裂し、引退を決意した大畑氏。現役を引退するということは、アスリートにとって大きな節目になる。「引退」という言葉の響きからは、「終焉」というニュアンスが感じられるが、大畑氏はそれを否定する。
 
 

引退は終焉ではない

 
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 引退は決して終わりではないんですよね。確かにラグビー選手としての現役時代は終わりましたが、アスリートである以上、現役引退は必ず誰もが通る道です。だからぼくは逆にスタートだと思っているくらいです。
 ケガをしたのは確かですが、実際に引退を決意したのはラグビーの中で現役の自分ができることをやり尽くしたと感じたから。これ以上プレイヤーを続けていても自分が表現できるものが少なくなってしまったというのが一番の理由なんです。でも、だからといって情報発信源であり表現元である大畑大介が終わったわけではない。となると、単純な話ですよね。「よし、次のステージを求めるために、次の目的地を探しに行こう」。そんな具合です。
 ぼくは絶対に過去にしがみつきたくない人間なんです。「大畑さんの現役時代のあのときはすごかったですね」 とか 「ぼくは現役時代こんなにすごかったんだよ」 とか、そんな会話しかできない人間にはなりたくない。反対に、「あの人はすごいなあ。ということは、昔、現役時代もかなりすごかったんじゃないかな」 と思われるように、今の一瞬のほうが魅力的に映るように生きたい。今を一生懸命に生きられなければ、先なんて見えないと思うんですよ。幸いにして、ぼくは引退するその時点まで、次のことを考えずラグビーに一生懸命打ち込むことができた。とてもありがたいことです。
 
 今後のことですか? これからどうしていくかは、今まさに考えているところですが、まだ具体的な答えは出ていません。だけど、何かの仕事やオファーがあるということは、世の中が大畑大介という人間に新しい可能性を期待してくれているからだと思います。だから自分を信じて、挑戦し続けますよ。
 
 
 

(インタビュー・文 新田哲嗣 / 写真 Nori)

 
  所属事務所  
株式会社スポーツカンパニー
http://sportscompany.co.jp
 
 

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