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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW


 
プロフィール 1967年高知県生まれ。日本大学理工学部在籍中にレストランチェーンでアルバイトをしたことがきっかけでサービス業に興味を抱く。89年に大学を卒業してのち、日拓エンタープライズへ入社。ディスコの企画・運営に携わり、店舗経営のいろはを学ぶ。96年、エイアンドワイビューティサプライを設立し、都内にて日焼けサロンを展開、その勢いを元に飲食業に参入し、2001年に銀座で「VAMPIRE CAFE」をオープンさせた。以降も次々と独自の発想によるコンセプトレストランを打ち出し、2002年12月に株式会社ダイヤモンドダイニングに社名変更。2007年3月大証ヘラクレス上場。2008年1月「外食アワード2007」受賞。「業態ポートフォリオ」「マルチコンセプト戦略」を掲げて成長を続け、2010年10月に「100店舗100業態」を達成予定。グループ会社には株式会社サンプール、株式会社シークレットテーブル、株式会社ゴールデンマジックなどを擁し、「サードG」代表幹事として次代の若手経営者も育成している。
 
 
 

アイデアを形にする。発想を具現化し、価値あるモノを創り出す―― 口で言うのは簡単だが、実際にそれがビジネスに直結し、成功を収めている事例がどれだけあるだろうか? 特にそれが熾烈な生き残り競争をかけた外食業界であるならばなおさらだ。だが、消費動向が鈍っている今こそ思い切った施策を打っていく必要性が叫ばれているのもまた事実。
今回B-plusがお話を聞いたのは、外食産業で名をはせるダイヤモンドダイニングの松村厚久社長だ。ダイヤモンドダイニングといえば、真っ先に頭に浮かぶのが「1店舗1業態」を売りにしたコンセプトレストラン。つまり、新店舗を開拓していくごとに斬新なアイデアを打ち出すことを続けていかなくてはならない。それが実践できている秘訣は何なのか。最新の外食産業の動きとともに、風雲児の本音に迫った。

 
 

ムーブメントなきカオスの時代

 
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 今の飲食市場を一言でいえば、「混沌としている」 に尽きるでしょう。はっきり言って、何がいいのか、何をしてはいけないのかが見えない、暗中模索の時代に入っていると思います。今までは、もつ鍋ブームとかジンギスカンブームとか、年度によって代表するムーブメントがありました。でも、「今年、何が流行っているの?」 という大まかな問いへも答えが明確にならないほど、主役がいないんですよ。
 手法的には、“何円均一”  などというムーブメントはありますが、外食産業の砦である料理そのものの流行ではない。郷土料理をキーワードにした業態を打ったとして、それが目新しいかどうかというと難しい。たとえば “産地直送” なんて、あちこちで当たり前のようにうたえる時代ですからね。それだけ平準化が進んでしまって、どの店舗・会社も岐路に立たされていると言えるのではないでしょうか。つまり、自分たちにしかできないスペシャリティを見つけにくいというのが、混沌の原因になっていると分析しています。
 暴論かもしれませんが、私の持論としては、「おいしいものはどこにでもある」 んです。コンビニ弁当だって年々おいしさが追求されてきているし、デパ地下の惣菜だっておいしいものはいっぱいある。ただ食べるということだけに焦点を絞れば、わざわざ飲食店に出向いて外食する必要なんて、はっきり言ってない。では、何のために外食をするのか。そこに度肝を抜くようなサプライズ感を感じてもらうためではないでしょうか? 舌がとろけるような美味とか、珍しいサービスとか、とてつもないインテリアとか。そこにお客様がいらしたら 「わぁ!」「キャア!」「かわいい!」「すごい!」 という感想になるわけですよね。それがリピーターになっていただける第一歩の要素です。
 突き抜ける何かを持っていないと、ただの自己満足で終わってしまう。そうじゃないものが口コミに乗って話題になるわけでしょう? 私たちが大事にしなければいけないのは、そのようないい意味での違和感なんですよね。
 
 
 
 

 

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