外食産業に変異をもたらした
風雲児の価値創造テクニック
コンセプトレストランを語る際に注意しなくてはいけないのが、客の反応もさることながら、コンセプトそのものへの理解度だ。いくら店側が凝ったコンセプトを生み出しても、それが客に伝わらなければ意味がない。伝わるからこそ、客が楽しめ、リピート率も高まっていくのだ。そう考えると、そのアイデア、コンセプトを客に伝えるテクニックこそが、今までただの1店舗も閉鎖していないというダイヤモンドダイニングの強みになるのではないか。では、その “伝える” 秘訣とは?
まずは店名とロゴありき
立地を考える前に、店の名前とロゴをわかりやすく、覚えやすくするところからスタートしなくてはいけません。お客様は、まだその店の料理を食べていないし、ご自分の目でインテリアも見ていませんよね。つまり、どんなお客様でも、まずは店名から接されるわけです。だから弊社の場合、全店舗について、業態・店名とロゴの最終決定は私がやります。
よくあるマズイ例は、かっこいい店名をつけようとしすぎること。フランス料理店などで見られますが、とかく長い名前を付けたり、スタイリッシュな店名にすると、見栄えは良くても、覚えられないんですよ。それに引き替え、「ベルサイユの豚」 と聞いて忘れる人はいないでしょう。覚えてくれた瞬間に、私たちはまず一つ勝っている。
そして、来店していただいたお客様には、的確にコンセプトを伝えていく工夫をする。たとえば 「迷宮の国のアリス」「幻想の国のアリス」「絵本の国のアリス」 というようなファンタジー系の店なら、メニューブック一つとってもびっくり箱のような作りにしてみたり、飛び出す絵本のようにしてみたり、店の世界観を表現したものにする。他の店でも、スポーツ新聞を模したメニューブックや、レコード盤を使ったものもあります。メニューブックなどの細かいアイテムはコンセプトを伝えるうえで非常に大事なツールです。ここで世界観やコンセプトが伝わらなければ、せっかくのアイデアがお客様に届かないという悲劇を生んでしまいます。だからアイテムへのこだわりは強いですよ。
そして、お客様にリピーターになっていただくためには、継続の中に 「変化」 をつけることを忘れてはいけません。「変化」 もまた一つのアイデアの形です。「VAMPIRE CAFE」 のような特異な店舗が10年間も続くのはそこに理由があるんですよ。業態は継続しても、世の中の流れに応じてメニューや盛り付けなどはどんどん変えていく。オープンした2001年はデザイナーズレストランがブームだったから、白い皿にアーティスティックなソースの盛り付けが評価されましたが、それをだんだんとクラシカルでシンプルな盛り付けにしていったり。
大事なのは、アイデアに埋もれず、アイデアの向こう側にお客様の姿を見ることなんですよね。
そして、来店していただいたお客様には、的確にコンセプトを伝えていく工夫をする。たとえば 「迷宮の国のアリス」「幻想の国のアリス」「絵本の国のアリス」 というようなファンタジー系の店なら、メニューブック一つとってもびっくり箱のような作りにしてみたり、飛び出す絵本のようにしてみたり、店の世界観を表現したものにする。他の店でも、スポーツ新聞を模したメニューブックや、レコード盤を使ったものもあります。メニューブックなどの細かいアイテムはコンセプトを伝えるうえで非常に大事なツールです。ここで世界観やコンセプトが伝わらなければ、せっかくのアイデアがお客様に届かないという悲劇を生んでしまいます。だからアイテムへのこだわりは強いですよ。
そして、お客様にリピーターになっていただくためには、継続の中に 「変化」 をつけることを忘れてはいけません。「変化」 もまた一つのアイデアの形です。「VAMPIRE CAFE」 のような特異な店舗が10年間も続くのはそこに理由があるんですよ。業態は継続しても、世の中の流れに応じてメニューや盛り付けなどはどんどん変えていく。オープンした2001年はデザイナーズレストランがブームだったから、白い皿にアーティスティックなソースの盛り付けが評価されましたが、それをだんだんとクラシカルでシンプルな盛り付けにしていったり。
大事なのは、アイデアに埋もれず、アイデアの向こう側にお客様の姿を見ることなんですよね。
社員の発想や世の中の動きを店舗経営に素早く取り込もうと、ダイヤモンドダイニングでは内製化を進めている。人件費節約のために外注に出すことが多いデザインパッケージなども、すべて社内でまかなうという。
最も重要なのはスピード感とのバランス
デザインを内製するのは、あまりに業態が多すぎて外注では間に合わない事情もあるんですけどね(笑)。 なにせ1店舗1業態ですから、デザインを変えるたびに100種類考えなくてはいけない。外注するとコスト的にも大変です。
内製化の理由はそれだけじゃありません。やはりスピードを大事にしたいんです。デザイナーだけでなくカメラマン、広報や宣伝も同様です。最初に話したように、今の外食市場はとにかく混沌としているから、情報適応力と適応の早さが死活問題なんです。ブログやツイッターといった個人メディアも多く出てきて、紙媒体が主流の時代とは比べ物にならないほど情報の伝達が早い。だから様々な店舗がライバル店の真似をしやすくなるし、それが余計に混沌を加速させる要因にもなっている。しかも、早さが生まれるということは、マンネリ化も早くなる。必然的に、次の手を打つべきスパンも短くなる・・・。内製しないと対応しきれないわけです。
経営者としては、スピードが評価される状況は基本的に歓迎しています。10月下旬には 「100店舗100業態」 を達成できますから、これでまた業界を驚かせられるタイミングが早まった(笑)。 そこからさらに多業態のリーディングカンパニーとして加速するために、様々な業態を打ち出していくつもりです。海外にも出ます。M&Aも視野に入れていきます。時間は有限だから、できるだけ速いスピードで走り続けたいですね。弊社の目標は1000億円企業になることです。今の速度ならば、そう遠い先の話でもないでしょう。
内製化の理由はそれだけじゃありません。やはりスピードを大事にしたいんです。デザイナーだけでなくカメラマン、広報や宣伝も同様です。最初に話したように、今の外食市場はとにかく混沌としているから、情報適応力と適応の早さが死活問題なんです。ブログやツイッターといった個人メディアも多く出てきて、紙媒体が主流の時代とは比べ物にならないほど情報の伝達が早い。だから様々な店舗がライバル店の真似をしやすくなるし、それが余計に混沌を加速させる要因にもなっている。しかも、早さが生まれるということは、マンネリ化も早くなる。必然的に、次の手を打つべきスパンも短くなる・・・。内製しないと対応しきれないわけです。
(インタビュー・文 新田哲嗣 / 写真 田中正清)
会社概要
株式会社 ダイヤモンドダイニング
所在地
東京都港区東新橋1-1-21 今朝ビル 4F
オフィシャルサイト
本文紹介店舗
VAMPIRE CAFE/迷宮の国のアリス/幻想の国のアリス/絵本の国のアリス/ベルサイユの豚/三丁目の勇太