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卒業式、成人式、結婚式・・・今や特別な時にしか着ないイメージがついてしまった日本の伝統衣装であるキモノ。しかし、日本の風土や作法に合わせて発展したキモノは、着る人の美しさを自然と引き出してくれる衣服なのです。そんなキモノを普段着にする人は少なくなってしまいましたが、2008年、キモノと同じように「着る人の美しさを引き出す服」が京都で開発されました。その名は、レディースデニムブランド「京都デニム」。その質の高さが話題となって、ロンドンをはじめとする世界各国に「きものデニム」と賞賛されています。
「京都デニム」を開発したのは、江戸中期より続くキモノ製造業の老舗。この家系に育った桑山豊章(くわやまとよあき)氏が、プロデュース兼デザイナーとなって立ち上げました。
デニムに施すのは、桜や流水など和をイメージした色柄。もちろんプリントではなく、キモノの染色加工と同じ技術で手染めしています。その染色技術は、生地のつややストレッチ性などを損なわないよう、職人とともに6年もの歳月をかけて研究。デニムの縫製も、国産デニムのメッカ・岡山県内にて、これもまた職人の手仕事で行われています。人の動きに基づいた独自の立体裁断で、はきやすさ・動きやすさを実現しました。
また、ステッチやボタンといったさりげない細部も驚くほどに追求。製作には手間も時間もかかりますが、色、柄、形、すべて揃うことで、着る人の美しさが引き出せるのです。
まず、商品を見て感じることは色彩のカラフルさ。ブルー、ピンク、グリーンなど、鮮やかかつ上品な色彩のデニムは類をみません。そしてほぼすべてが1点もの。よく似た柄でも手染めならではの味が出て、同じものはありません。その柄を裏地に染めてロールアップして楽しむという趣向の1本もあります。
デニムの種類はスキニー、ストレート、ブーツカット、ボーイズデニムなどと多彩。さらに、2009年の夏には数量限定生産でメンズデニムも発売しました。京都の伝統工芸である組紐を取り入れたり、手裏剣のモチーフをあしらったりと京都デニムならではの一本に仕上がっています。
「いつか京都デニムを京都の産業にしたい」。そんな桑山氏の強い想いが表れ、こだわり尽くした京都デニムは、眺めているだけでは物足りなく、はいてみたいと思わせる魅力があります。次はどんなデニムが商品化されるのか。今後の京都デニムからも目が離せません。
10月は 京都絞り工芸館 をPick Up