レジ袋が有料化して以来、マルシェバッグなどを持ち歩くことが日常になりつつあります。アパレルのブランドからも多彩な色やデザインのエコバッグが販売され、折り畳みタイプのエコバッグを仕事やおでかけのバッグに常備しているという人も。 そうした中で、いま、あらためて注目されているのが、日本古来のエコバッグとも言える“風呂敷”。江戸時代に「風呂敷」と呼ばれるようになる以前から大事なものを包むために使われ、その後も荷物の持ち運びや敷物など、日常の中のさまざまな用途で使用されてきました。時代の変化とともに生活様式も変わり、一時は風呂敷文化が衰退しつつありましたが、再びそのポテンシャルの高さに注目が集まっています。 京都で昭和初期に風呂敷製造卸売業として創業した山田繊維株式会社は、今では数少なくなった、風呂敷専門メーカーです。日本伝統の風呂敷の美意識を、生きた文化として世代や国境を超えて伝えることを使命とし、商品開発や普及活動に取り組んでいます。その一環として運営するのが、風呂敷専門店「むす美」。商品販売のみならず、ワークショップを開くなど、風呂敷のある暮らしを提案しています。現代のライフスタイルの中でも色あせない、日本ならではの心づかいや暮らしの知恵、美意識が詰まった風呂敷の魅力を、あらためて見つめてみましょう。

オンラインショップのほか、グローバルな発信力のある東京・神宮前、京都・三条に実店舗を構えるむす美。伝統的な商品から現代的なデザインのものまで、素材やサイズも多彩に、500種類以上もの風呂敷を展開しています。それぞれ、使う人やシーンを思い、相応しい素材や染色方法、価格設定まで考えられたものばかり。絹や綿、ポリエステルといった素材、さらにはデザインによって染色方法を使い分ける必要もあり、こうしたことができるのも、山田繊維がファブレス型の風呂敷専門メーカーだからこそと言えるでしょう。 サイズは、布団を包むような大判から、贈答品などを包むのに適した一般的なもの、さらに袱紗などに使える小さなものまで展開。あらたまった場面で使用するなら、やはり正絹やちりめん織といった高級感のある素材がベストです。無地以外にも吉祥文様や四季折々のデザインもそろうので、季節の挨拶時に意識して使い分けるのも、粋な演出として相手に喜ばれるのではないでしょうか。 日常使いであれば、手入れがしやすい木綿やポリエステル、撥水加工のものなどがおすすめ。デザインのバリエーションも多彩で、大正レトロムードたっぷりな「モダンガール」シリーズやギフトラッピングにそのまま使える「ハレ包み」シリーズ、そのほか、国内外のアーティスト・ブランドとコラボしたものなど、和洋折衷！　お気に入りの色や柄を二枚、三枚とそろえてその日の気分や装いに合わせて選ぶのも、毎日が楽しくなりそうです。

風呂敷の魅力は、なんといっても多彩な活用方法です。包み方や結び方次第で、まさに七変化！　一度結べばほどけない「真結び」と端を留める「一つ結び」、基本となる2種類の結び方をマスターすれば、アレンジの幅がグッと広がります。一枚の布という特性から、箱や長いもの、スイカなどの丸いものや瓶など、どんな形状のものを包むことも可能。結び目にひと手間加えることで、華やかでエコなギフトラッピングに。柄や素材次第で仕上がりの雰囲気も異なるので、あれこれ試してみるのもいいですね。 また、結ぶ位置の工夫やハンドル用のリングなど小物を加えることで、ショルダーバッグやトートバッグに早変わり。風呂敷を畳んで一枚携帯しておけば、荷物が増えたときに大活躍間違いありません。もちろん、そのままショールとして身に纏っても、広げてテーブルクロスやレジャーシートとして使ってもいいでしょう。 むす美では、こうした風呂敷のさまざまな活用方法を動画で発信するほか、ワークショップでも結び方や包み方、活用方法をレクチャー。風呂敷の固定観念を覆す万能性に、目から鱗が落ちるかもしれません。しなやかに進化を遂げながら、サステナビリティと古き良き日本の心を包み込む風呂敷。2023年、むす美から風呂敷のある暮らしをスタートしてみませんか。