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コラム 一職業会計人の "軒昂奉仕" vol.9 収益の認識(その2) 一職業会計人の "軒昂奉仕" 公認会計士・税理士

コラム

9、松戸(千葉)から町屋(東京・荒川区)まで電車を乗り継いだら会計士は何を考えるか?

 
 これは収益の認識の問題というより、JRと東京メトロの売上の取り合い(配分)の問題です。
常磐線で松戸駅から綾瀬駅まで行くと160円かかります。
改札を出て再度、綾瀬から乗って町屋まで乗ると160円、合計では320円です。
ところが、松戸から町屋まで途中下車しないで直通で行くと370円で、50円高くなります。
同じケースで、松戸から中目黒に行く場合には、北千住で途中下車した場合には10円安くなります。長く乗ったほうが割引率が少ないのも解せません。
北千住と綾瀬間は、メトロ千代田線と、常磐線が一緒になっています(リンクの地図参照)。さてこの差額の50円や10円は東京メトロの負担なのか、JR東日本の負担なのかどっちなんでしょう? ずっと考え続けていますが答えは分かりません。
この答えを導き出すヒントは「北千住・綾瀬駅問題」 としてウィキペディアでも紹介されています。そして 「東京の地下鉄について」 の 「運賃計算について」 の項でも説明されています(リンク先のメトロ千代田線の西日暮里 北千住 綾瀬の項参照)。いづれにしても東京メトロとJR東日本がどのように売上を分けているのかは、興味のあるところですが、鉄道マニアでないのでこれ以上突っ込むのは止めましょう。
 
 

10、富山の薬売りを見て、会計士は何を考えるか?

 
 東京育ちの私には、富山の薬売りの実際は知りませんが、似たような薬の販売形態は今でも存在します。売り手は顧客に医薬品等を備え置き、顧客は医薬品等の消費を持って購入の意志を表示する契約形態があります。
この場合の、顧客による消費量(販売量)は、定期的な巡回時に確定して売上高を把握しています。
しかし巡回の時期と決算期が一致していれば問題ありませんが、巡回の時期が決算期の20日前だったとしたら、この20日分の消費量が、売上に計上されないことになります。
 
 
 何度も繰り返しますが、我が国の収益の認識における実現主義の考え方からすると、「財貨の移転の完了」 要件が満たされた時点、すなわち、顧客の消費量を客観的に確認できた時点で収益を認識すべきです。IAS18でも「物品の所有に伴う重要なリスク及び経済価値が買い手に移転」したことを求めていますので(第14項)、消費量の確認には、巡回による方法のほか、顧客から毎月末に信頼性のある消費量に関する報告書等を入手すべきでしょうね。
 
 
以上10項目、公認会計士としては、こういうことが気になってしまうのです。 
 
というより、複式簿記って凄いんです! 先日カラオケスナックで 「俺の借金なんぼや!」 という曲を耳にしました。ややこしい話も、簿記の力を借りれば、なんてことないんです。
 
来月は、その話をしましょう。
 
 
 
 

 プロフィール 

渡辺俊之 Toshiyuki Watanabe

公認会計士・税理士

 経 歴 

早稲田大学商学部卒業後、監査法人に勤務。昭和50年に独立開業し、渡辺公認会計士事務所を設立。昭和59年に「優和公認会計士共同事務所」を設立発起し、平成6年、理事長に就任(その後、優和会計人グループとして発展し、現在70人が所属)。平成16年には、優和公認会計士共同事務所の仲間と共に「税理士法人優和」(事業所は全国5ヶ所)を設立し、理事長に就任。会計・税務業界の指導者的存在として知られている。東証1部、2部上場会社の社外監査役や地方公共団体の包括外部監査人なども歴任し、幅広く活躍している。

 オフィシャルホームページ 

http://www.watanabe-cpa.com/

 

 

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