7、遊園地の年間入場料を見て、会計士は何を考えるのか?
一般人なら、年間切符を売った段階で一括売上計上するのだろうと、考えるのでしょうね? しかし切符を買った段階ではまだ一度も東京ディズニーランドの施設は利用してないのです。切符を売った段階では前受金ですね。
年間利用回数が決まっていれば、答えは簡単です。利用した都度、前受金から売上に振り替えていけばいいでしょう。
この場合の厳密な売上計上方法は、顧客の対象期間における総入場回数を合理的に見積もってその回数を基礎に売上の計上をすることになります。入場回数の合理的な見積もりは困難を伴いますが、過去数年間の実績等から恣意性を排除した数字が求められるでしょう。合理的に見積もることができない場合は、対象期間にわたって平均的、継続的に利用していると仮定して毎月均等に売上を上げていくことも認めてくれるでしょう。(IAS18・付録第25項)
なお、東京ディズニーランドがどのような売上計上をしているかは、公表されている決算書からだけでは判断できません。最近の決算書の中には、流動負債の部・その他に、45、877百万円が記載されてますが、ひょっとするとこの一部が前受金なのかもしれません。
8、業界紙の購読料を一年分一括前払いしたら、会計士は何を考えるか?
それとは別に、読者からすると気になることもあります。年間購読の場合、だいたい定期発行とは別に 「特大号」 もしくは 「特集号」 と称して定期発行以外に臨時発行があります。そしてボリュームもいつもより多くなります。この場合の売上の認識は、どうすればいいのでしょう。定期購読契約期間の増大号についても通常号と同一の単価として対価を受領することが、契約上買い手と合意されていることを根拠として、定額で収益を認識することは必ずしも間違いではありません。しかし、定期購読期間中の増大号及び通常号の販売単価をそれぞれ合理的に測定できる場合には、各号の相対的な販売価格に基づいて、収益を測定すべきではないでしょうか?(IAS・18、付録第7項参照)
同じことはテレビのコマーシャルにも言えます。契約期間におけるTVコマーシャルの放映回数は期間を通じて均等ではありませんね。また放映確認書を決算手続き中に適時に入手できない場合もあり得ます。この場合収益を契約期間にわたって定額(月割) で行ってしまってもいいものでしょうか?本来は、放映回数に基づいて認識すべきでしょう。
映画フィルムの放映権をTV局に売っている会社があります。契約期間最終日までに放映されなかった場合でも、契約金額の返却義務はないという契約内容を根拠として、契約期間開始時に売上計上していますが、やはり放映日の属する月もしくは放映をしなかったことが確認できる契約期間終了時点に売上計上すべきと考えます。収益認識要件の一つと考えられる 「財貨の移転又は役務の提供の完了」 は、放映日をもって確定すると考えるからです。