「小商圏商法」と「大商圏商法」の一体化を
現在進行形で発信するつもりである点が評価された
確かに、いくら不況不況と言われても、まさかオイルショックの時の不況克服法を今参考にしても仕方がないわけでね（笑）。また、バブル崩壊の影響をどう乗り越えたかに学ぼうとしても、うまく乗り切ったところは結局何をやったかといえば、都市部のリアル店舗は富裕層相手の高効率・高単価商売に走ったし、大手は激安販売とネット通販で購買力の下がった消費者をごそっと囲い込んだだけだったわけで。いずれも地方の一般の商業者が真似られる手法ではなかった。
「じゃあ、どうすればいいの！？」という時に、みんなどっちかしか考えないんだよ。小商圏商法と大商圏商法を融合させて一体化するという発想がない。
メインはあくまでリアルでいい。まだ国内物販におけるEC化率は15％にも達していないんだから。85％はリアルなんだから。けど、昔は特殊なITスキルがないと使えなかったネット通販が誰でも使えるものになったんだから、小商圏で地域に根差した商売をやりつつ大商圏も取り入れればいいじゃない。リアル店舗の王道のやり方をネットという大商圏でのやり方とどう融合させるかに、トライしてみたらいいじゃない。
で、連載が実際に始まってもう一つ思ったのは、今現在やっていることを書いているところも高評価のポイントなんだろうな、ということ。うまく行くかどうかは私だってわからないよ、そりゃ。途中なんだから。でも、それこそダルビッシュ選手がWBCで若手投手陣に教えながら自分も教わっていたように、現役の人が独自の理論と技術がありつつもなお新しいことを研究し、しかもそれをリアルタイムで発信するところがいいんだろう。
ダルビッシュ選手のYouTubeチャンネルをまだ見たことがなければ一度見てみるといいよ。引退したロートルが昔取った杵柄で知識も何もブラッシュアップせず話しているのと訳が違うから。あれを見たら、過去の栄光で地上波に呼ばれていまだに走り込み至上主義を訴えている重鎮が情けなくなるよ、ホント。
過去の投球理論と山本由伸投手の摺り足投法
重鎮とか権威とかになればなるほど･･･
これはB-plusのほうの編集部の人が話していたことだけど、オリックスバファローズの山本由伸投手が今シーズンから、ステップするほうの足を上げない投げ方に変えたんだよね。左足をほとんど上げず、ほぼ摺り足で前に出て行くフォームに変えた。そうしたら、「軸足にきちっと体重を載せてステップする足は腰の高さぐらいまで上げてから投げるのが理想だ」と言っていた元プロ野球選手の評論家が、山本投手の試みは過去の投球理論を根底からくつがえす試みであるにもかかわらず、「右足で立った時点で体重は軸足に乗っているから問題ない」みたいなことをアッサリ言ったんだって。
彼（編集部の人）が言うには、「せめて総括しないの！？」と思ったらしい。「自分が教わってきたことと真逆。けど実際いい球が投げられるのはどうやってるのか聞いてみたい、とか言うならともかく、今まで自分が言ってきたことを脇において『問題ない』ってどういうことよ！」と。
もちろん、違う評論家が言っていた別々のことを同じ評論家の反応と勘違いしている可能性はある。だとしたらその評論家にとっては濡れ衣だ（笑）。
けど、あながち編集部の人の話を否定できないのは、重鎮とか権威とかになればなるほど、自分の説が間違っていたかもしれない時に素直にそれを認められないことは事実だからだ。
政治だってそうじゃないか。保守政党がいまだに紙の手書きで、車も停められない公民館や体育館にわざわざ来させて投票させるのは、それも元タレントを連れてきて立候補させるのは、そのほうが有権者がシラケて投票に来なくなるからでしょう。今のままじゃ経済も何も良くならないことはわかっているのに自分たちは変わりたくないから、わざと投票率が低くなるような選挙にするわけでしょう。そのほうが組織票で勝てるから。
謙虚に学んでアップデートを！
そうすればまだまだ勝てる！
それに対し若い世代は生まれた時にはバブルが弾けて日本は衰退期だった。衰退期しか知らないこれからのお客さんに、「俺の頃はこうだった」「俺はこのやり方で商売を発展させてきた」と過去の手法を持ち出しても通じるはずがない。そうとわかれば、お客さんのことも経営のやり方も若い世代から謙虚に学んで自分の知識と感性をアップデートして、再スタートを切るつもりで頑張ればそれでいいんですよ、そうすればまだまだ勝てますよ。
――ということを、『会議所ニュース』では話していくつもりです。同じ枠を複数の著者で順に使うから次に私が出るのは5月21日発行号です。商工会議所職員の皆さんだけでなく、加盟企業の社長さんたちにも、そうでない社長さんたちにもぜひ「佐藤勝人の地域一番店商法」を読んでいただいて、ご自身のご商売を見直すきっかけにしてもらえたら嬉しいです。
事務局 郡上商業開発
■新潟勝人塾 5月17日
事務局 おぐま式P O P塾
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vol.78 誰もやっていないことに挑戦し、現在進行形で発信する試み
（2023.4.19）
著者プロフィール
佐藤 勝人 Katsuhito Sato
サトーカメラ代表取締役副社長／日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント／想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント／作新学院大学客員教授／宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師／商業経営者育成「勝人塾」塾長
経 歴
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の３倍以上に押し上げ圧倒的１位を獲得（総務省調べ）。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜１兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」（同文館出版）がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
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