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スポーツ 上原浩治のTrust Pitch! vol.22 一年の闘い、その土台をつくる時期 上原浩治のTrust Pitch! ボストン・レッドソックス投手

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vol.22 一年の闘い、その土台をつくる時期

 

常に基本を繰り返す

 
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 僕が野球をするにあたって大事にしていることは基本です。僕らにとっての基本はキャッチボール。会社の仕事だって、基本となるものが必ずありますよね。それができているか、できていないかが、応用力にも響いてくるんですよ。毎年、シーズンが終わって自主練に入る時も、シーズンに入ってからも、基本は必ず見直すようにしています。
 
 基本ってね、実はみんな、あまりやりたがらないんですよ。地味ですからね。でも地味なトレーニング、地味な仕事の中にこそ、すごく大事なものが詰まっていると思うんです。僕たちの場合、キャッチボールができていないと、いい結果が出ない。これは誰がプレーするにしても変わらない法則のようなものでしょう。
 ビジネスにおいても大事なプレゼンなど、今までの成果を発表する場のようなものが必ずあると思います。基礎を重ねた末そういう舞台に臨み、何かを感じることによって、さらに実力が伸びていく。もしそこで壁に当たってしまったら、上司に相談するなりすればいいわけで。
 
 僕はよく、「メンタルが強い」と言われるのですが、自分では強いとは思っていないんです。そこまでの準備をしてきたかとか、妥協せずにトレーニング、練習をしてきたかとか、そういうことが最も大事だと思っています。地道な積み重ねを怠らなければ、いざという時にきちんと結果にも出てきます。
 
 野球でも仕事でも一年を通して走り続けることは容易なことではありません。野球の世界は毎試合がテストのようなものですが、最近のビジネスシーンもシビアになってきているでしょうから、365日が闘いの連続だと思うんです。ですから、まずは一日一日を無事に終えられるようにして、その積み重ねとして一年間戦える身体とモチベーションをつくらなくてはいけないでしょうね。
 
 成績がいいか悪いかはわからないけど、結果は必ず出る。ただその結果に、自分がどう満足するかにはこだわっていきたいですね、僕は。本当に一生懸命やってきて、結果が出ないことだってもちろんある。でも「やってきた」という満足感は間違いなく感じられるはず。何もやらずに結果が出る人もいるかもしれないけど、それは長続きしないと思うし、一生懸命やってきた人が、いつかどこかで逆転すると思います。
 
 いずれにしてもこのオフに感じているのは、正直、ここまで自分がやれるとは思ってなかったなということ。でも、それは自分がきちんと積み重ねてきたものが実を結んできている結果だとも受け止めています。シーズン中にももちろんトレーニングはしますが、この時期はまとまった時間が確保できるから、メニューもキツくしている。そうした準備をしておくことが、一年を通して戦い続ける土台になるんです。あとは体調管理にも十分気を付けています。開幕は3ヶ月後とはいえ、常に体調は整えておかないとダメです。
 
 今回、チームはいい補強をしていると思いますし、来季はいいシーズンになる予感がしています。その中に自分もしっかりと入っておかないとね。今は、焦らずじっくりとトレーニングして土台をつくっていきます。みなさんも、お正月ボケは早く元に戻して、充実した“開幕”にしてくださいね。

 執筆者プロフィール 

上原浩治 Koji Uehara

ボルチモア・オリオールズ投手

 経 歴 

大阪府出身(出生は鹿児島県)。東海大学付属仰星高校から大阪体育大学に進学し、大学3年時に日本代表に選出。1997年に出場したインターコンチネンタルカップ決勝では、当時国際大会151連勝中だったキューバから先発勝利をあげ、注目された。ドラフトで読売ジャイアンツに1位指名(逆指名)を受け、1999年に入団。ルーキーイヤーに20勝投手となり、最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の4冠を獲得し、新人王と沢村賞も受賞。翌2000年は肉離れのため登録抹消となるなど、ケガに苦しむシーズンを送るも、2002年に再び17勝をあげ、優秀選手賞を受賞。2004年にはアテネオリンピック野球日本代表に選出され、銅メダル獲得に貢献。2006年のワールド・ベースボール・クラシックでも日本代表のエースとしてチームを優勝に導いた。2009年にボルチモア・オリオールズに入団。ベテラン投手の一人としてチームを牽引している。

 
 
 
 

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