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スポーツ 上原浩治のTrust Pitch! vol.21 今シーズンを振り返って 上原浩治のTrust Pitch! ボストン・レッドソックス投手
スポーツ こんにちは、上原浩治です。
何はともあれ、今年のシーズンが終了しました。応援してくださった皆さん、ありがとうございました。正直言えば、プレーオフに行けなかったのは、すごく残念です。昨年は10月いっぱいまでプレーしていたわけですから、やはり短く感じますよね。昨年、とてもいい思いをしてきたから、一番上と一番下を見たって感じです。
シーズンが終わって、いろいろ考えました。4月にちょっと心配な時もありましたが、早い段階で自分にストップをかけられたので、一年、ケガをすることなく続けられた。それはとてもよかったと思います。
気持ちが不安になると、崩れてしまう可能性もあるので、投げながら、だんだんと不安を取り除いていきました。年齢を重ねるにつれて、いい感じで一年間投げられるようにはなってきているのも間違いないんですけどね。
あとは、ただひたすら悔しさばかりかな。昨年の10月の一ヶ月というのは、とにかくもうメチャクチャにしんどかったんですよ。あのしんどさを今年味わえないのは、決して楽ができてよかったってことじゃない。悔しくてたまりません。
だからこの気持ちを成長にぶつけないとね。常に向上心がないと成長できないし、課題だらけ。シーズンの後半に外野がいろいろ騒いだりもしてイラッとしたこともあったけど、そんなこと気にしている場合じゃない。まあ、これも経験です。
経験といえば、ぼくのアメリカ生活も気付けば6年目。ボストンも2年目を終えました。いい経験は昨年全部したし、今年はスタートからクローザーだったので、夜に寝られないことも多かった。正直言って、最初からクローザーはしんどかった。睡眠薬や胃薬が手放せない時期もありましたから。
昨年は6月下旬に中継ぎからクローザーになったけど、今年はシーズンスタートからで、何が違うって、最初からクローザーをやるのと、途中からやるのではプレッシャーは全然違う。この経験をさせてもらえたのは大きかったですね。
常に100%の実力を出すというのは難しいことです。野手だって、打てるときもあれば打てないときもあり、ピッチャーだって抑えられるときもあれば、打たれるときもある。持ちつ持たれつの関係ですしね。それが噛み合えば勝てる、噛み合わなければ負ける。ただそれだけだと思いますし、今年は噛み合わなかった。
何を言ったところで自分のプレーは自分の責任。「実力を発揮したいけど、できない」と言ったところで始まらない。
過去は返ってこないから、あまり振り返るのは好きじゃないんだけど、反省はちゃんとします。「こうしたらよかった」と思うことがあれば、それは次に活かそうと思うし、課題にすべきこと。
ぼくの場合、昨日いいピッチングをしたからといってビデオを見たりすることはまったくないんです。それよりも身体のメンテナンスのほうが大事ですよ。身体がしっかり準備できていないと試合に出られないわけですから、課題に挑むことすらできない。体調が一番大事な部分です。
課題を克服するために、ぼくの場合は体調をしっかり維持することと、練習するしかないですね。それを実践でぶつける。その繰り返しです。
「練習」を別の言葉に置き換えると、「反復」かな。たとえば、学生さんだったら受験勉強にせよ普段の勉強にせよ、結局、何回も何回も読んだり書いたりすることによって覚えていくわけでしょう。そういうことと同じなんですよ。ぼくらのようなアスリートなら、何回も何回も練習して身体に覚えさせるしかない。これはビジネスマンの皆さんも同じかもしれませんね。
これが実はキツいことなんですよね。同じことを繰り返すって、本当に難しい。どうしても楽なほうに逃げてしまいますからね。でも、そこがブレなければ、結果は必ずついてくる。逃げても勝利は手繰り寄せられないのはどの世界も同じだと思うんです。
知っている人も多いと思いますが、シーズン後半、自分で監督に直訴して一度クローザーを離れました。成績が出ていませんでしたから、「ここで1からやり直したい」とお願いしました。監督もおそらく「ウエハラは、今ここで調整させるべきだ」と考えていたのでしょう。
とはいえ、調整して帰ってきてもピンチの時に登板することになると、やっぱりドキドキする(笑)。こうしたドキドキをマウンドの上でなくしたいと思ってはいるけど、こればっかりは慣れないな(笑)。
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