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スポーツ 上原浩治のTrust Pitch! vol.22 一年の闘い、その土台をつくる時期 上原浩治のTrust Pitch! ボストン・レッドソックス投手
スポーツ こんにちは。上原浩治です。
2015年が始まりましたが、皆さんはどんなスタートを切りましたか? 僕は昨年11月に帰省し、今は日本にいます。オフの楽しみといえば、やはり人に会うことですね。そして食べること。この2つは欠かせません。現役である以上、練習第一は当然ですが、野球選手に限らず、いろんな人に会って刺激を受けるのは、やはりいいものです。そう言えば、帰国してからまだ鍋系を食べてないから、そろそろ鍋が食べたいなぁ(笑)。
東日本大震災の被害を風化させないために、帰国の際には被災地で毎年野球教室を開いています。今年で3回目になりますが、今回は巨人の高橋由伸選手に一緒に参加してもらいました。
一人でやるよりもやはり二人のほうがたくさんの子どもたちと触れ合えますし、「ジャイアンツの由伸選手が来てくれた」と喜んでくれたのを見ると、改めて彼の存在感は大きいんだなと実感しました。子どもたちが笑顔になってくれることが嬉しいし、「野球って楽しいな」と思ってくれたらそれも嬉しいこと。子どもたちをコーチしていて、そう感じずにはいられませんでした。そんな趣旨に賛同して時間を割いてくれた由伸には感謝ですね。
由伸は、今年から巨人の選手兼コーチになるということで、2つのことを同時にやらなくてはいけない。これはすごく難しいことですよね。選手として自分のことだけを考えるのではなく、指導者として周囲の面倒を見なくてはいけないわけですから。選手の立場で後輩を指導することと、コーチとして指導することは役割がまるで違います。
同じことを教えても、それができる選手とできない選手が間違いなくいる。だから、みんなに対して「平等に」という思いを持っていても仕方がない。それよりも、個人個人にあった指導法を見つけ出してくれる人が一番いいコーチだと思っています。
もちろん人のことばかりでなく、今はまず、自分のことをしっかり考えなければいけません。皆さんご存じの通り、今回レッドソックスとは2年契約をしてもらいました。契約を持ってきてくれた球団や代理人にはとても感謝しています。いい契約をしてもらったからには「やらなアカン」と気持ちを奮い立たせています。
球団が僕のことをどういうふうに評価してくれたかは、実は自分ではわからないことなんですよ。でも2年契約を提示してくれたことで、信頼を持ってくれているのは感じます。会社に所属してビジネスをしたり、会社を経営したりしている僕と同年代の39歳や40歳の方々は、ちょうど脂がのっているいい時期ですよね。でも野球選手の場合は、その年齢は引退間近の年齢です。そんな中で複数年契約をいただけたことは、選手冥利に尽きますよ。
やはり会社から必要とされているのがわかったら、やりがいを感じるものです。契約というのは必要だからこそしてくれるものですから。もちろん契約内容にもよりますし、チームによっては納得いかない評価の時もありましたが、そんな時は、無理に自分を納得させるというより、まずは球団と自分の評価内容の違いから、「自分には何が足りないのだろうか」と考えるようにしてきましたね。その上で、自分がやるべきことを一年間しっかりやっていく。それだけです。
そういう気持ちでやっていることを、きっちりと球団が見てくれていて評価をしてくれると、やっぱり嬉しいですよね。チームでも会社でも同じだと思うんですが、組織が一つにまとまるには、マネジメントする立場にある人が全体を見渡し、常に状況を把握しておく必要があるはず。でもそのためには、そこに所属する個々のスタッフの状態をしっかりと知っておかないとダメですよね。だから、スタッフ一人ひとりとコミュニケーションを取ることがすごく大事だと思います。各人の現状を知っているからこそ、彼らを組織の中でどう活かすのかを判断できるわけですからね。
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