自分自身が本心を言えているか
以前、自己開示が上手な人は、魅力があるというお話をしましたよね。自分の失敗体験などを客観的視点でとらえ、それを人におもしろおかしくネタとして話してくれたほうが、愚痴っぽく話を聞かされるよりは楽しめますよね。これと同じように、他人の本心を知りたいのであれば、まずは自分自身のことを隠さずに開示することが大事だと思います。
この連載で何度か繰り返しているように、ほめる行為は人をコントロールするためのものではありません。他人に変化をもたらしたいがためにほめるのではなく、自分自身のために、他人をほめるんです。それが「ほめ達!」です。
よくほめられる人と、そうでない人の違い
例えばあなたが、「どうしてAさんと自分の間には能力的に差がないはずなのに、Aさんばかりがほめられるんだろう」。そう感じることがあったら、Aさんに対して妬みの心が生じているかもしれないので、注意が必要です。他人と自分を比べてしまう人は、一度その考えを客観的に見て、相手と自分のどこに差があるのかを冷静に観察してみてはいかがでしょうか。そうすると、その人がほめられようとして何かをしているのではないことがわかってくると思います。下段者は上段者の実力を見抜くことができないという言葉があります。どうして見抜けないのかというと、自分にはない上段者の優れた点を、冷静な目で観察できていないからです。
自分の心に余裕がないと、周りの人のいいところが見えないものです。つまり、他人をほめられない人は、今の自分が「心に余裕がないんですよ」と伝えているようなものなんですね。ですから、まずはどんなに小さいことでもいいから、他人の光る部分を見つけてみてください。それは、その人のためではなく、その行為そのものが、自分自身の心を整えるためのものなのです。
ほめるのは他人のためではない
ほめるのが難しいという人は、他人がうまくやったことを探して、それをほめようという意識が強すぎるのかもしれないですね。ただ、それは「うまくできた」「結果が出た」という一定の評価基準に照らしたジャッジが入っているという見方もできます。確たる評価基準に照らしたほめるも必要なのですが、どうしても機会が限られて、ほめることが、どんどん難しくなってしまいます。そうならないためにはどうすればいいか、自身のジャッジが入らないほめはあるのか。もちろんあります。“ねぎらう”ことです。このお話はまた次回しますので、楽しみにしていてください。
第23回 他人の本音を知ろうとするよりも
著者プロフィール
西村 貴好 Nishimura Takayoshi
一般社団法人日本ほめる達人協会 理事長
経 歴
1968年生まれ。大阪府出身の「泣く子もほめる!」ほめる達人。ホテルを経営する家の三代目として生まれ、経営術を学びつつ育つ。関西大学法学部卒業後、大手不動産に入社して最年少トップセールスを樹立。その後、家業のホテルを継いで経験を積み、2005年に覆面調査会社「C’s」を創業する。短所ではなく長所を指摘することが調査対象の企業成長に効果があると発見し、「ほめる」ことの重要性に気付く。数々の実績を上げる中で、2010年2月に「ほめ達!」検定を実施する、一般社団法人日本ほめる達人協会を設立し、理事長に就任。以降、検定を通じて「ほめ達!」の伝播に尽力している。著書に『繁盛店の「ほめる」仕組み』(同文舘出版)、『ほめる生き方』(マガジンハウス)、『心をひらく「ほめグセ」の魔法』(経済界)、『泣く子もほめる!「ほめ達」の魔法』(経済界)、『人に好かれる話し方41』(三笠書房)などがある。
日本ほめる達人協会オフィシャルサイト
西村貴好オフィシャルブログ
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