――ボストンの街で上原さんの評判を聞いてきましたよ。みんな 「KOJI」 の名前を挙げてたたえていました。
上原 嬉しいことやね。ファンが認めてくれるのはホンマ嬉しいことです。1年間頑張った証ですからね。大事なのは、変わらずやることやね。それが一番。1年で終わりではなくて、また来年以降も続けなあかんことやからね。
――メジャーのファンは暖かい反面、厳しい。以前にコラムでそう書いてましたものね。
上原 だから落ちないようにしなきゃいけないですけど、落ちてしまったとしてもそれをいかに最小限で食い止めるか。そこが大事ですね。
――これからがむしろ本当の正念場ですか?
上原 そうなりますね。今年を基準に見られると、つらいね。今年は自分で言うのも何だけど、ホンマできすぎやし、怖い部分があるから。10月4日(日本時間5日早朝)からは地区シリーズが始まります。強いチームしか残ってないから、気を引き締めていかないとね。
地区優勝が決まっても、上原投手のシーズンは終わらない。ワールドシリーズに向けて、さらに上のレベルの戦いが待っている。休みが取れたのは1日だけ。強行スケジュールで知られるメジャーリーグの過密日程は、まだまだ続く。巨人時代も含めると4チームを経験し、38歳という年齢からは大ベテランに数えられてもおかしくない上原投手は、対戦相手のイチロー選手(ヤンキース)や古巣であるオリオールズの監督や選手たちのところにも、試合前には自分から積極的に挨拶に行く。こういった行動からも野球に対する姿勢がうかがえる。そしてその経験からくる言葉は、この連載でも多くのビジネスパーソンを刺激してきた。また一つ、新たな高みに到達した上原投手にとって、今、野球とはどんな存在なのだろうか?
15年ぶんの思い、その重さ
――優勝する前に、一度チームの流れが止まりかけたことがありましたよね。でも、そこからレッドソックスも上原さんも這い上がりました。チームの流れのいい時と悪い時の差って何だったんですか?
上原 たとえば9月18日のボルチモア戦(第2戦)。3回でノーアウト満塁、でもそこで点が取れなかった。やっぱりぼくはそこが一つの流れの分岐点だったと思うんです。その前日の第1戦も、チャンスを迎えた時にペドロイアがゲッツーになって、リズムが崩れた。たぶん、攻撃と投げる側のリズムが微妙にずれ始めると、どんどんどんどんずれる方向に行ってしまうんですよね。どこかで歯止めをかけないといけないんやけど、それがどこかっていうポイントはわかりにくい。
――特に第2戦は投手陣が好調だっただけに・・・。
上原 0点に抑えれば負けることはないじゃないですか。でも、こっちも0やと勝てることもない。互いに点取りゲームなんで、点を取ってもらわないとね。