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イノベーションは、一人の単純な「気づき」から生まれる。<5の2>

 
 さて、グローバル・マクロ的な社会の仕組みから一転して、地球環境問題におけるアメリカの世界観のブレをピンポイントで説明する。
 1997年12月に世界の先進諸国が京都に集まり、地球温暖化に歯止めをかけようとCo2削減を申し合わせた際、アメリカは「自国の国益に沿わない」として京都議定書に署名しなかった。それだけでなく、化石燃料を大量消費する政策を国策として取り続けた。
 世界中の自動車メーカーがダウンサイジングと軽量化と省エネを推し進め、トヨタがハイブリッド車を開発し、マツダが水素で走る車を研究し、ベンツはガソリン車より燃費が良くCo2排出量も少ないディーゼルエンジンの改良に力を入れているという時に、アメリカは相変わらず、温暖化防止対策と正反対の「アメ車」と揶揄される車を造り続けていたのである。それがクライスラーやGMの破綻に繋がったといえるし、アメリカが地球環境悪化問題の主犯とされても仕方のない具体的な根拠の一つである。
 大量生産・大量消費。それがアメリカの大好きな「モノ」の経済を支える物質文明であり、それがアメリカンドリームの象徴であり、彼らは世界の富を自国に集中させるため、軍事力にモノを言わせて「世界の警察」を名乗っている。細かい理論を省いて結果を見ればそういうことになる。その発想は、仮想敵を作り、その敵を退治するために「世界の警察」を名乗ることで、軍需産業を盛んにして経済の活性化を図り、生活と暮らしの豊かさを維持するということである。
 
 この矛盾に最も迷惑と実害を被るのがアメリカ国民であるが、“アメリカの手による世界平和”を謳う国是の前には、誰も逆らうことはない。それがアメリカという国の在り方であり、国策である。
 国策は国益に直結する。アメリカ流“国富論”は、ドルを世界の基軸通貨にし、それにより自国を中心に世界経済の秩序をコントロールし、そこで発生する富を確保しようとするものである。軍事力と、宇宙開発における先行者利益がそのベースになる。
 軍事産業や石油メジャーをはじめ、様々な国策企業の資本家や利権団体が、私利私欲のために政治を利用してきた。自動車産業もその一つだ。GMの破綻は、国によって保護・擁護されてきた産業が、まさにそれゆえ最大の被害者・犠牲者となった例なわけで、笑うに笑えない話である。
 
 「コト」の時代、「コト」の社会に突入した今は、自然回帰とITをコンバージェンスさせることがグローバル化の真骨頂だと、私は、考えている。そこには、21世紀にふさわしい、未来型の新しい産業が生まれるようになる。それが、地球環境保全に関係する産業であったり、ITの機能と利便性を駆使した新しいサービス業であったりするだろう。

 
 

 執筆者プ ロフィール 

橋本英夫 Hashimoto Hideo

株式会社 ハッピー 代表取締役

 経 歴 

1949年、兵庫県生まれ。高校卒業後、大型プラントで使用するバルブや弁のメーカーに技術者として就職。蒸気の流体制御機器の設計に 携わる。75年にECCハシモトを設立、浄水再生装置の製造を始める。79年石油系溶剤浄油再生装置を開発し、(株)京都産業を設立。「 ハッピークリーニング」の名称でクリーニング店の経営にも乗り出す。その後、2002年に(株)ハッピーを設立し、従来のクリーニングの 常識を覆す『ケア・メンテ』という新業態を創造して普及に尽力している。2005年、一般消費者に対する啓蒙活動団体としてNPO法人日 本洗濯ソムリエ協会を設立。2006年に、従来の洗浄理論を覆す世界初の「無重力バランス洗浄方法」を発明し、方法論特許・装置特許を取 得。シルエットや風合いを保ったままの「水洗い」を実現し、地球環境に優しく人体に悪影響を及ぼさない画期的な洗浄方法として、世界から も注目を集めている。

 オフィシ ャルホームページ 

http://www.kyoto-happy.co.jp/

 

 

 

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