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取材を通して企業のユニークかつ充実度の高い社内制度をご紹介する、本連載。第2回目は、社内業務を活性化させる「サイボウズ Office」「Garoon」などのグループウェアで、国内シェア№1を誇る、サイボウズ株式会社さんにお邪魔しました。自由なワークスタイルで、社員がのびのびと働いていることでも度々注目を集めるサイボウズさん。社内制度を整備したことで、一時期に比べて離職率が大幅に低下したといいます。今回は、その成果の秘密に迫りました。
 
 

自由なワークスタイルで離職率を4%に!

 
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働く場所や時間の度合によって、9種類から働き方を選べる
“社員が働きやすい企業”として話題になることも多いサイボウズさん。社内制度を整えたことで、離職率を改善されたそうですね。どんな経緯で制度を整えていったのか、人事部の恩田志保さん、教えてください!
 
「もともとサイボウズは、今ほど働きやすいとは言えない会社でした。特に2005年には離職率が28%にまで上昇。でもその後、当社で初のケースとして子どもを出産してから仕事に復帰した人が出てきて『短時間勤務制度をつくってほしい』という声が上がりました。さらに新卒採用も始めたことで、人事制度を大きく見直したんです」。
 
サイボウズさんにも、離職率が高い時期があったんですね! それでどんなふうに改革を?
 
「中でも特に変えたのは、ワークスタイル。『選択型人事制度』を設けて、社員がライフスタイルに合わせて働き方を選べるようにしたんです。選択肢は、オフィスで働く割合や勤務時間の量によって9種類から選択可能にしました。一番多いのは9時から18時のフルタイムで働いて残業もする層ですが、私のように9時から16時で働く人や、定時まで働いて残業はしない、という人もいます。また中には、子どもを保育園に預けて在宅で勤務している人や、奥さんの海外転勤に同行して現地で1年間仕事をした人、夏の間だけ実家に帰って働いた人もいるんですよ。そうやって時間や場所に縛られず働けるうえに、選択制なので上司や周囲に自分の働き方をしっかり明言できるのも良い点ですね」。
 
在宅勤務という言葉はよく聞くものの、まさか海外や実家での仕事もOKとは・・・。これは想像していたよりも、働き方が自由です! 
 
「あとはウルトラワークといって、フルタイムの人でも用事がある時は、その日だけ家やカフェなど別の場所で仕事をすることも可能です。当社がこれだけ自由な働き方を認めるのは、それだけ社員一人ひとりに自立心や責任感を求めているから。他にも、最長6年まで育児・介護休暇が取得できる制度もあって、今では出産を機に退職する社員は1人もいません。こうした取り組みの成果として、2005年には28%あった離職率が2012年には4%にまで下がり、『サイボウズで働きたい!』と言ってくださる方も増えました」。
 
 

「100人いれば100通り」の考え方で制度を整備

 
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オフィスもミーティングスペースが多数あるなど、快適な環境だ
4%にまで下がるなんて、すごい成果です! これだけワークスタイルが自由だと、社員さんは働きやすいでしょうけれど、会社にとっては実際に導入するのは大変なのでは・・・。サイボウズさんの場合は、どんな考えのもとに実行されたのでしょうか?
 
「サイボウズでは、『100人いれば100通り』という考え方を持っています。つまり、社員の多様性に合わせて、それだけ多くの人事制度があっていい、という考え方です。新しい制度をつくる際に特長的なのは、社内制度を根本から見直すのではなく、その都度少しずつ付け加えていること。これならベースを見直すより、比較的簡単に社員の声を反映することができます。例えば過去には、『地元で仕事をしたい』という社員の声を取り入れて大阪開発部をつくったり、福岡営業所をつくったりしました。実は今も、『子どもと遊びたいから、休みを街中が空いている月曜にしたい』というある社員の声を反映できないか、人事部で検討中なんです」。
 
1人の声を受け止めるだけでなく、さらには副業も許可しているほど懐が深いサイボウズさん。具体的には、どういうことなのでしょうか?
 
「申請を求める場合もありますが、当社では会社の資産を棄損しない限り、副業は原則自由です。代表的な例では、週4日当社で働いて、もう1日は他社で、残りは農業に従事している社員がいます。農業とITは一見関係が無いようでいて、最近では作物をつくるのに最適な水分量や温度をデータで管理する農家さんが増えており、実は当社でも製品受注をいただいているんです。そういう面で、副業をしているからこその、彼のノウハウが活きています」。
 
 

社員がイキイキと働くために必要な要素とは?

 
お聞きしていると、本当に一人ひとりに合せた柔軟な考え方で制度を整えていらっしゃるんですね。最後に働きやすい環境をつくるための秘訣をぜひ、教えてください!
 
「会社として働き方を変えるには、3つの要素が必要になります。まず1つ目はいつでもどこでも効率的な業務をするために情報共有クラウドや遠隔会議、セキュリティなどのツールを備えること、2つ目は柔軟に制度を整えること、そして3つ目は働き方を変えられるだけの風土にすること。当社の場合は、特に多様性を受け入れる風土があるからこそ、上手く制度が運用できています。社員が悩みや要望を持った時に、人事部など周囲にきちんと相談できる、そんな環境をつくることが、大切なんだと思います」。
 
 
社員一人ひとりを尊重し、悩みや要望に耳を傾けることで、働き方や社内環境を日々進化させているサイボウズさん。社員の離職に悩んだり、社内環境を少しでも良くしたいと考えたりされている方は、サイボウズさんを参考に「社員が意見を言いやすい風土をつくる」、「制度は少しずつつけ足しながら整える」、をさっそく実践してみてはいかがでしょうか?
 
 
▼取材協力
サイボウズ株式会社
http://cybozu.co.jp
 
                                                         (2016.7.8)

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