8月8日はリユースの日
ここ数年、リユース市場(中古品市場)が伸びています。リユース経済新聞(旧リサイクル通信)の昨年秋の推計によれば、2022年の市場規模は前年比7.4%増の2.9兆円。調査を始めた2009年から一貫して拡大していて、2025年度は3兆2500億円、2030年度にはなんと4兆円まで膨らむと見込まれています。2009年が1兆1270億円でしたから、ざっと3.55倍になる計算です*1。
ちなみに、2022年の2.9兆円の販売経路別内訳は、フリマサイトでの個人売買が1兆2485億円で43%を占めトップ。次が業者による店舗販売で約37%の1兆643億円、次いで業者によるネット販売が5385億円で約19%という順です。
個人売買(CtoC)と業者(BtoC)の比率は43:55。記事によると、CtoCは前回調査まで毎年二桁成長を続けていましたが、今回は一気に6.8%まで伸び率が下がっています。
いっぽうサプライサイドでは、冒頭の古物商許可業者たちが軒並み増収増益を続けている他、アパレルの三陽商会や自転車のあさひなど、これまでは新品販売だけだったメーカーの間でも買取り・再販ビジネスを始める動きが見られます。
それらを考えると、リユース市場におけるBtoCの割合はこれからもっと増えそうです。
既存の中古品売買のジレンマ
ただ、それだと在庫は資産(棚卸資産)の扱いになることから、節税面で不利です(売上総利益が大きくなる)。そのために、業者は在庫保有のデメリットと再販利益予測とを突き合わせ、バランスしないようであれば、これから価値が上がりそうな品物でも買取りを見合わせる必要がありました。
このやり方を続ける限り、買取り側が利益を狙う方法は、保有コスト(倉庫代や店頭陳列に伴う機会費用)は動かせない以上、「いかに安く買うか(仕入れるか)」しかありません。
実際に、買取り専門店のフランチャイズ業態では、加盟者は顧客が持ち込んだ商品をできるだけ安く買い叩くよう指導されるとも言われます。それが嫌で閉店を選ぶ加盟者も多いようです。
これからのリユース市場はBtoCが引っ張っていくことを思うと、この現状は変わるべきでしょう。
「できるだけ安く買い叩く」から
「できるだけ高く売ってあげる」へ
委託販売では、品物の所有権は売り主(元の持ち主)が保持したまま、買取り業者に品物を預けて販売を委託します。業者は品物を査定して適正価格を決めた後、店舗やネット通販、オークション、フリマサイトなど複数の販売経路から最も高値で売れる販路を見つけ、売却します。
この手法の良いところは、所有権そのものは移転していないので業者の在庫が棚卸資産にならず、節税面で有利なこと。そして、もっと大事なポイントは、売却額に委託手数料のパーセンテージを乗じた額が業者の利益になるため、利益の狙い方が「できるだけ安く買い叩く」から「できるだけ高く売ってあげる」へとシフトすることです。
これにより、業者側は胸を張って楽しくビジネスができるようになります。売り主の側でも「どうせ二束三文にしかならない」という決めつけが薄れる結果、即廃棄処分される品物が減ります。物に再び価値が宿るわけです。たとえ前ほどの値は付かなくとも。
積読、コレクション、断捨離おつ。
また、不用品の退蔵発生割合を見ると、ブランド品の退蔵は15%の世帯でしか生じないのに対し、ブランド品除く衣服・服飾品は28%の世帯で発生しています。書籍にいたっては全世帯の4割です。
読書界隈では“積読”という便利な概念があり、「これは退蔵とは違うのだ。いつかきっと読む本なのだ」と言い聞かせて自分を慰めることもできますが、他の人の手に渡ってその人の人生を益するほうが、書籍本来の在り方には適うかもしれません。
ファッション好きの人にとっても、「今は着なくなったけど事情が変われば――トレンドが変われば、好みが変われば、体形が戻ればetc・・・――また着るから」と衣装ケースに仕舞いこんでいる服は、同様に便利な“コレクション”という概念で時々引っ張り出しては眺める・・・のもいいでしょうが、当の服にとっては、新しい持ち主の体を飾って日の目を浴びるほうが、幸せかもしれません。
折しも世は占星術で言う「風の時代」。2023年3月に始まった移行期間が今年11月20日に終わり、そこから本格的に「風の時代」に入ります。そしてXデーを迎えるのは来年夏。2025年7月です。
それまでに、断捨離おつ♪
*2 リユース市場における消費者の価値観と企業行動(『ファイナンス』2021年12月号)
(ライター 横須賀次郎)
(2024.8.7)
(2024.8.7)