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◆待望の拡充! 国際線が1.5倍に!

 
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 通称が定着しているため意外に知る人が少ないのだが、羽田空港の「本名」は東京国際空港と言う。3月30日から、この羽田空港の発着枠が大幅に拡充される。発着回数は年間41万回から44万回に増加。このうち国内線こそ35万回から35万7000回への「微増」にとどまるものの、国際線は従来の6万回から9万回へと1.5倍にもふくらむ。一時は完全に失われ、名ばかりになっていた「国際空港」の機能が、一気に充実するのだ。
 
 これにより、利便性も大幅にアップする。これまで羽田空港における国際線の昼間発着枠(6時~23時)は韓国、香港などの近距離路線のみだったが、拡充後はここに欧米路線や東南アジア路線などが新たに加わる。遠隔地からの旅行者が、より便利に利用できるようになるのだ。
 国内でも新たな発着枠の割当をめぐって「5枠のJALに比べ11枠もらえたANAへの傾斜が強い」など、様々なニュースが飛び交っており、あらためて「羽田増枠」が持つ意味の大きさがうかがえる。
 
 こういった盛り上がりを受けて、鉄道路線からも熱い視線が集まる。2月4日には、JR東日本の冨田哲郎社長が「東京駅と羽田を直結させる新路線の整備を検討している」と発表した。もし実現されれば、北関東などから東京駅にくる電車をそのまま羽田まで走らせることも可能になるなど、羽田空港の利便性は一気に高まる。その他にも、羽田-成田をリニアモーターカーで結ぶ案や、都営浅草線の一部をバイパス線で結ぶ案なども再浮上しており、拡充を機に「羽田を日本の玄関に!」という意識が高まっている。この機運をビジネスチャンスとして生かす手立てを考えてみたい。
 
 

◆紆余曲折を経た「東京国際空港」

 
 これからどうなるか、を考える前にここで一度、そもそも羽田空港はこれまで、どのような存在として扱われてきたのか、簡単に検証してみよう。
 羽田空港が開港したのは古く、1931年(昭和6年)のことである。開港当時は「東京飛行場」と呼ばれたが、戦後になって「東京国際空港」と改称。増便や航空機の大型化に対応するため、何度も拡幅工事が行われてきたものの、発着枠の限界に達したため、新たに成田空港がつくられた。1978年にこの成田空港が完成すると、国際線はほとんど全て成田に移行されたため、羽田はその本名に反して、国内空港に転じた。
 
 ただその後も拡張工事は続けられ、2010年には本格的な国際便の定期便が再度就航することになる。国土交通省航空局が2013年に発表した「航空局関係予算決定概要」の中には、大型の国際線旅客機の24時間発着を可能にさせる、C滑走路の延伸が盛り込まれているなど、「再国際化」に対する強い野心ものぞく。
 
 そういった羽田空港の姿勢を受け、国内航空会社で成田から羽田へと路線を移行する動きも出てきた。ANAでは今回の拡充を機に、成田発のロンドン便を休止して、羽田にシフトする。官民一体となって「都心に近く、便利な羽田を日本の玄関口にして、より多くの旅客を海外から呼び込もう」とする動きが加速しているのである。
 
 
 

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