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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 
追い詰められたことをきっかけに、本気になってロックンロールに取り組むことにしたというダイアモンド☆ユカイさん。大学も中退し、とにかく音楽活動に打ち込むことで、結果もついてきたと語ってくれた。
 

大事なのは目標に向かって行動すること

 
『信念の魔術』には、自分が本気になってやろうと思うと必ず協力者が現れると書いてありました。実際に、その通りになったんですよ。当時は、弾き語りのできるスペースがある喫茶店がよくありました。そういった喫茶店でアルバイトとして、聞き心地の良いフォークソングなどの弾き語りをしていたんです。ただ、歌っているうちにだんだんとロックが歌いたくなるんです。そうして思いっきりロックンロールを歌うと、お客さんに「うるせえ!」と怒られて、ケンカする(笑)。そんなマンガみたいなことを真剣にやっていくうちにバンドメンバーと出会いました。
 
そこからは早かったですね。1年後にはRED WARRIORSのデビューが決まったんです。大事なのは本気になることと、行動すること。本気でやるぞと思っているだけでは協力者は現れません。とにかく行動してみたことで結果がついてきたのだと思います。
 
ただ、俺たちがデビューした当時は歌謡曲の全盛期でした。ロックンロールを歌っているのはチンピラだというようなイメージもあったと思います。当時、小室哲哉さんのつくる、TMネットワークやBOØWYなんかのいわゆる“ニューウェイブ”も流行りだしてはいたけど、俺たちの好きなロックとは全然違いました。お金を稼ぐためには、日本の流行に沿った曲をつくったほうが良いのか悩みもしましたね。でも、バンドメンバーと話して「俺たちの好きな音楽をやろうぜ」と決めたんです。
 
そうしたら、ライヴに来てくれた人が8人しかいなかった(笑)。でも、そのライヴは未だに最高に盛り上がったライヴとして心に残っています。全員、本当に好きなことを思いっきり披露できて、お客さんも楽しんでくれていました。歌っている最中に、ローリングストーンズがやっていた、イギリスのハイド・パークという10万人ほど観客がいるライヴ会場で自分が歌っている幻想が見えたほどです。それだけの盛り上がりがあったんですよ。
 
そうして好きなことに対して真剣に取り組んでいたら、デビューの翌年には日本武道館でのライヴが実現できるほどになりました。ロックンロールは時代遅れだと言われていたのに、いつの間にか世界中で人気のジャンルになっていたんです。ガンズ アンド ローゼスが人気を博し、エアロ・スミスが復活したことも大きな要因だったでしょうね。それまで時代を逆行しながらロックを歌っていたはずなのに、気が付けば時代の最先端にいたんです。ずっと取り組み続ければ、流れが変わることもあるんだなと思いましたね。
 
 
ロックミュージシャンとしてのみならず、バラエティ番組などでも活躍しているダイアモンド☆ユカイさん。しかし、「最初は自信がなかった」という。
 

自分で選んだ道を楽しみながら進む

 
人気があったバンドは解散して、ソロでロックを続けていたときにバラエティ番組に出演するお話をいただきました。それまでロックしかやってこなかったのに、いきなりテレビに出てあなたおもしろい人ねなんて言われて不安になりましたね。自分のやってきたことは真逆のことだったから、自信はありませんでした。これも縁ですね。目の前に来た今を一所懸命にやろうと思うようになったんです。俺はロックに関しては絶対の自信を持っている。音楽以外のジャンルに挑戦できたのは、ロックを通じて養った自己肯定感があったからです。子どもが生まれて、責任感も生まれました。ロック以外のことに自信は持てないので常に不安はありますが、今は子どものことを考えると「やらなくちゃ!」という気持ちになれるんです。
 
挑戦は、縁があったからこそできるものです。不安になっても、せっかくいただいた縁なのだから逃げずに向かって行くべきだと思っています。それによって、今まで見えていなかった道を見つけることもありますよ。俺は今、息子の通う小学校のPTA会長を務めています。それも縁ですよね。素晴らしい先生方やPTA会員の方々と一緒に、できることは全力でやろうと取り組んでいます。
 
ロックンロールも、それ以外の仕事も、PTAも自分で決めて挑戦してきたからこそ楽しめていると思っています。誰かに敷いてもらったレールを歩んでいると、問題にぶつかったときに、その人のせいにしてしまうでしょう。「ここに石が落ちていてつまずいちゃったんだけど!」というように。でも、俺は自分で決めた道を歩んでいるから、藪だらけで道なんかないかもしれません。でも、かき分けて進んでいく。振り返るとそれが道になっていくんです。だから、どれだけ険しい道でも楽しみながら進めるんです。