プロフィール 1978年、神奈川県川崎市出身。高校を卒業後、夢の一つであった寿司職人をめざし、「築地すし好」に入社。地道な職人修業を経て、店舗経営を学ぶため「牛角」などフランチャイズチェーンを展開するレインズインターナショナルに転職。立地開発業務に従事し、さらに別会社で業態開発、加盟開発業務、業務委託店舗の営業開発など外食ビジネスについて総合的に学んだ。2004年に店舗流通ネット株式会社に入社。2005年からは取締役として株式会社ワイズフードシステムの経営に参画。その後、株式会社まいど代表取締役を経て28歳のときに株式会社エムグラントフードサービスを設立。念願のホームグラウンドを得た。以降、郊外ロードサイドでの居抜き出店を中心に飲食店を展開。著書に『「ロードサイドのハイエナ」流 コスト1/5のムダ0経営術』(ワニブックスPLUS新書)がある。
多くの企業家の中でも大々的に成功をおさめられる人はどんな人物だろうか。経営思想、経営手段、人心掌握・・・・・・さまざまな要素が高度に絡み合ってその人物を形成していることは間違いない。だが、何をもって成功者と呼ばれるかを問われると、「チャンスをモノにする」という先見性と実行力が不可欠と言えるだろう。
今回ご登場いただくのは、通称 “ロードサイドのハイエナ” こと、株式会社エムグラントフードサービス代表取締役の井戸実氏だ。エムグラントフードサービスといえば、「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」などの圧倒的出店力で知られる飲食業界の雄。全般的に苦戦が続く外食業界にあって、チャンスを手元に引き寄せ、着実にモノにしていく井戸氏の手腕に注目が集まっている。ラフな服装に少年のような笑顔、そして金髪・・・・・・ハイエナというよりは若々しいライオンに見える井戸氏に、B-plusは尋ねてみた。経営者にとってチャンスとは、成功をつかむ要素とは、何か――?
今回ご登場いただくのは、通称 “ロードサイドのハイエナ” こと、株式会社エムグラントフードサービス代表取締役の井戸実氏だ。エムグラントフードサービスといえば、「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」などの圧倒的出店力で知られる飲食業界の雄。全般的に苦戦が続く外食業界にあって、チャンスを手元に引き寄せ、着実にモノにしていく井戸氏の手腕に注目が集まっている。ラフな服装に少年のような笑顔、そして金髪・・・・・・ハイエナというよりは若々しいライオンに見える井戸氏に、B-plusは尋ねてみた。経営者にとってチャンスとは、成功をつかむ要素とは、何か――?
チャンスは風船のように浮かんでいる
チャンスというのは、人それぞれのとらえ方があると思います。私の場合は、例えると風船みたいにそのあたりにふわふわ浮かんでいるイメージですかね。で、手を伸ばしてヒョイとつかんでしまう。ただ、浮かんでいるチャンスが誰にでも見えているかというとそうじゃない。ある条件を満たす人じゃないと見えないと思うんです。その条件とは、「つかむ意思が明確にある」ということ。「つかもうかな? やめとこうかな? どうしようかな?」 と迷いがある状態では、そもそもチャンスは見えてこないと思うんですよ、かっこいいことを言わせていただくと。
飲食業界を中心に多くの社長たちと交流がありますのでいろいろ見てみると、チャンスをつかめる人は、やはり頭一つ飛び出ていると感じます。外食業界で言えば、「自分資本で自分の店を継続させている人」 と言えば具体的でしょうか。
そもそも、飲食業の就業人口から割り算すると、自分資本で飲食店のオーナーになれる確率は0.1%以下なんですよ。その店を10年継続できるのはさらに絞られてその1%、100店舗に1件という割合です。つまり自己資本でお店を開いて継続できるのは0.001%という奇跡的な数字になってしまう。この極限的な可能性を切り開けるというのは、チャンスをつかんでいるんです。明らかに迷いがある状態で0.001%に入れるはずがありませんからね。
私は社内向けにも、この考えをベースに声をかけています。まずは店ないし会社を10年しっかり続けて、2016年で売上1000億に挑戦してみよう、と。なぜ1000億かというと、設立10年でそこまで到達できている人は、外食業界ではまだいないはずなんです。私は 「前例がない」 とか 「誰も到達したことがない」 というのが好きだから、「じゃあ、俺がやっちゃおうか!」 というノリもある(笑)。
もちろん、考え方によっては、1000億達成なんて別にやらなくてもいいわけです。間もなく銀行借り入れの返済が終わりますから、仮に今の売上をキープしつつ来年の新規出店をいっさい控えれば、それだけで無借金経営に転換します。つぶれる心配もありません。でも、つぶれなくて安定した経営ができることと事業に未来があることとは別の話です。未来が生まれて広がらなければ、社員たちが目指すポジションはなくなるし、目標がなくなって飽きが来てしまう。すると企業は腐っていきます。停滞は安泰から起こりますからね。
ですから、私たちが本当にチャンスをつかみ続けないといけないのはこれからなんですよね。そう肝に銘じています。
飲食業界を中心に多くの社長たちと交流がありますのでいろいろ見てみると、チャンスをつかめる人は、やはり頭一つ飛び出ていると感じます。外食業界で言えば、「自分資本で自分の店を継続させている人」 と言えば具体的でしょうか。
そもそも、飲食業の就業人口から割り算すると、自分資本で飲食店のオーナーになれる確率は0.1%以下なんですよ。その店を10年継続できるのはさらに絞られてその1%、100店舗に1件という割合です。つまり自己資本でお店を開いて継続できるのは0.001%という奇跡的な数字になってしまう。この極限的な可能性を切り開けるというのは、チャンスをつかんでいるんです。明らかに迷いがある状態で0.001%に入れるはずがありませんからね。
私は社内向けにも、この考えをベースに声をかけています。まずは店ないし会社を10年しっかり続けて、2016年で売上1000億に挑戦してみよう、と。なぜ1000億かというと、設立10年でそこまで到達できている人は、外食業界ではまだいないはずなんです。私は 「前例がない」 とか 「誰も到達したことがない」 というのが好きだから、「じゃあ、俺がやっちゃおうか!」 というノリもある(笑)。
もちろん、考え方によっては、1000億達成なんて別にやらなくてもいいわけです。間もなく銀行借り入れの返済が終わりますから、仮に今の売上をキープしつつ来年の新規出店をいっさい控えれば、それだけで無借金経営に転換します。つぶれる心配もありません。でも、つぶれなくて安定した経営ができることと事業に未来があることとは別の話です。未来が生まれて広がらなければ、社員たちが目指すポジションはなくなるし、目標がなくなって飽きが来てしまう。すると企業は腐っていきます。停滞は安泰から起こりますからね。
ですから、私たちが本当にチャンスをつかみ続けないといけないのはこれからなんですよね。そう肝に銘じています。