プロフィール 1962年神奈川県生まれ。都内の眼鏡専門店に就職、ロンドン店を含め7年間勤務の後、当時日本では珍しかった英国ブランドによるメガネのコンセプトショップを、店長として立ち上げる。95年、ともにメガネ業界で活躍していた同世代4名の仲間と「フォーナインズ」を設立、独自ブランドのメガネ販売を開始した。翌96年に法人化し、(有)フォーナインズ(現・(株)フォーナインズ)を設立。主に営業部門の責任者として活躍する。2008年9月代表取締役就任。全国に直営店5店舗と500以上の取扱店を展開。従業員数100名(2009年7月1日現在)。社名とブランド名の「999.9(フォーナインズ)」は純金の最高純度を表す品質表示に由来する。社是は「謙虚、地道、正直」。
――所ジョージ、山田五郎、奥田民生といった“こだわり派”の芸能人をはじめ、全国に幅広いファンをもつメガネブランド「フォーナインズ」。日本人による、日本人のための、純国産ブランドである。「フォーナインズ」が男女年齢を問わず多くの人々に支持されているのは、その洗練されたデザイン性はもちろん、掛け心地のよさ、耐久性など、優れた機能性の裏づけがあってこそ。日本人の顔を研究しつくした「フォーナインズ」は、いま最も注目され、成長著しいメガネブランドといえるだろう。
今をさかのぼる14年前の1995年。メガネ業界で活躍していた4人が集まって自然発生的に生まれたという「フォーナインズ」について、その誕生から現在、そして未来について、代表取締役の飯村祐一氏にお話をうかがった。
「自分たちが納得できるメガネを世に出したい!」
その思いが創業の原点
――メガネづくりにあたって、トレンドはかなり意識されているのですか?
最近では「フォーナインズのメガネって、カッコいいですよね」というところから話がスタートすることが多いのですが、メガネの機能性をとことん追求していけば、自然とカッコいいものになるはずなんです。
「カッコよさ」は、作り手が目指すものではなくてお客様の評価。ですから、お客様にそう言っていただけるのはとても嬉しいこと。でも、僕たちは「カッコいいメガネができました」じゃなくて、あくまでも「いいメガネができました」というスタンスで製品を世の中に出していきたい。それは「フォーナインズ」が続いていく限り変わらないと思います。だからといって時代性を無視しているわけではありません。おしゃれでカッコいいものを身につける喜びも、メガネを気持ちよく使っていただくための「機能」のひとつですから。
――「いいメガネ」の定義とはどんなものでしょう?
「フォーナインズ」のブランドのコンセプトには4つの柱があって、「掛けやすい、壊れにくい、調整しやすい、(価格が)高すぎない」です。そして、自分たちが作って世に出して満足できるもの、納得できるものであることですね。もともと僕らは「いいメガネをつくりたい。自分たちが納得できて、カッコよくて、かけやすいメガネが欲しい」というところからスタートしているので、コンセプトも自然にそういう方向でまとまりました。
――「フォーナインズ」創業に至るまでの経緯について教えてください。 飯村さんは創業前に何年くらいメガネ業界にいらしたのですか?
都内の販売店に7年勤めました。個人店だったのですが、ロンドンに支店を出すことになりまして、そこによく手伝いに行っていて。そのうち成城に支店を出すことになって、当時好きだったイギリスのブランドを日本に紹介するワンブランドのお店を、店長としてやらせてもらいました。
――その当時ワンブランドのコンセプトショップを開くというのは画期的だったのですよね。
20年前、昭和から平成に入るころですからね。今考えてもありえないことで、これが見事にうまくいかなかった(笑)。でも、その店を通じて創業メンバーと知り合うことになったわけです。全員メガネ業界で働いていて、30歳前後。当時、世間はバブルの真っただ中だったんですけど、なぜかみんなあまりうまくいっていなくて、バブル景気の真逆のポジションにいましたね。「景気って一体、どこにあるのよ?」って感じで(笑)。自分たちがやりたいことと世の中が、ズレていたんでしょうね。
コンセプトショップもごく一部の人の支持は得たんですけれど、メガネはできるだけ目立たないのがいい時代。10人中7、8人がフチなしメガネをかけていたぐらいでした。
――創業メンバーというのは、飯村さんと、櫻井さん、武川さん、三瓶さんの4人ですね。
そうです。「こんなのが出せたらすごいな」「こんなお店ができたら面白いよね」と、メガネの話ばっかりしていました。だから、誰が音頭をとって創業したというよりも、そういう話のなかで自然発生的に生まれたのが「フォーナインズ」なんです。自分たちが作りたいものが作れて、売れる店があったらいいなと。