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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

製品同様、視界良好な組織作りで
目指すは「100年ブランドの構築」

――その後、バブル崩壊後の95年に「フォーナインズ」はブランド販売を開始。翌96年に法人化、98年に銀座に初の直営店を出店されますね。当時、メーカー直販のメガネ店というのはあったのですか?
 
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国内ブランドではなかったです。メガネ店は子どもから高齢の方まで、あらゆる年齢層がお客様です。だから、実際問題、ワンブランドでそれだけの商品構成をもっているところはほとんどなくて対応できなかった。商品構成上、メーカー直販店というのはタブーというより、実際ムリだという空気がありました。でも「フォーナインズ」には、情報発信の場としてのお店が必要だったんです。お客様に直接自分たちの声を聞いてもらいたい、ブランドのことを知ってほしい、という意味で直営店を開きました。
「銀座に店を出す」というのは商売人にとってひとつの夢。いいものが集まる場所で、目が肥えた人たちに自分たちが作ったものを評価して欲しいという思いもありました。
 
――反響はいかがでしたか? マスコミの取材も相当あったのでは?
 
全然ないですよ(笑)。店には友達から届いたお祝いの花ばかりがあふれていて、花屋と間違えられたくらい。でも、だからやりやすかった。あまり注目されていない創業初期の段階で、(直営店を)何気なく、すーっと開店してしまったのがよかったんだと思います。他からのバッシングの類にも遭わず、今の店の2F、14坪でスタートしました。
 
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直営店第一号となる、フォーナインズ銀座店

――「エンドユーザーの声を聞く」という本来の目的は果たせましたか?
 
果たせました。聞きすぎるくらい、聞きました(笑)。一人ひとりのお客様と対面しながら、こちらからもお客様に伝えたいことを伝える、ということを地道に繰り返していくうちに、認知度が少しずつ上がってきて、「フォーナインズ」のメガネが受け入れられるようになってきた。それに、お店があることで取材が受けやすくなったり、スタイリストさんが来やすくなったり、広報活動にとっても大きなプラスでした。
 
 

新人に伝わった「メガネと真摯(しんし)に向き合う先輩の姿」

 ――「フォーナインズ」は正社員のみの採用をされていますが、採用や組織づくりについて教えてください。
 
創業から一昨年までは、ほとんどが中途採用。店舗でも随時「入りたい人はどうぞ」という感じで募集をしていました。「フォーナインズ」には面接後、3ヶ月間の「導入期間」があります。その3ヶ月で会社の体質やブランドについて知ってもらいます。それで、本当にウチの会社でいいのかどうかを見極めてもらう。僕たちもその人をじっくり見て、3ヶ月後に役員面接で話し合って、やれると思ったら正社員としてやってもらおうと決めるわけです。面接を通った人のうち、90%以上は残りますね。98%くらいかな。
スタッフをアルバイトではなく正社員として採用するのは、お店で接客する以上、アルバイト・正社員の区別なくお客様から見れば同じ「フォーナインのスタッフ」だからです。だから中途半端な気持ちじゃなく、会社やブランドのことについて、きちんと知ってほしいんです。でも、会社には正社員でないと知ってはいけないことがありますよね。僕らは会社内部のことも全部さらけ出してオープンにしたいから、やはり正社員じゃないと。身内意識というか、いっしょにやっていく意識をもって仕事をしてほしいから、社員として採用します。
 
――最近は新卒採用をされていらっしゃるようですが、何か変化はありましたか?
 
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昨年が7人、今年は16人の新卒者を採用しました。彼らの研修期間が終わったときに、その感想を一人ずつ発表してもらったんです。その場で「OJT期間中指導をしていただいた先輩には、毎日感謝していました」とか「先輩のおかげで今の自分があります」という感謝や尊敬の言葉を聞くことができたのは、大きな収穫でした。「今いるスタッフがすばらしいんだ」ということを、改めて感じることができた。僕らの視線と新入社員の視線は全然違う。「まっさらな立場」の新人から先輩たちに対して感謝や尊敬の言葉が出るというのは、今のスタッフの仕事に対するまじめさ、前向きさが本物だという証拠。それはお客様からメガネを評価されることに匹敵する喜びでした。
 
 

カバンを持ってお店をまわる営業スタイルはやめよう

 ――「フォーナインズ」の営業スタイルについて教えてください。
 
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創業メンバーは全員メガネ店で販売を経験しています。当時の営業は、担当者が月1回くらいカバンを持ってお店にやって来て、その場で注文をとっていくというスタイルでした。そのスタイルで店の側から感じていたのは「わざわざお店まで来てもらったのに発注しないと申し訳ないな……」ということ。注文も「じゃあこれとこれを」という感じで、いわゆる「情」の営業だったんですね。でも「これでいいのかな?」という気持ちは常にあった。だから、自分たちでやるのなら「カバンを持ってまわる営業はしない」ということを決めました。付き合いとか、情に訴えるだけでは長続きしないと思ったからです。初期の営業は、まだスタッフも10人くらいだったので、営業トークというより社内ミーティングでみんなが集まってガンガン話していたことを、そのままお店のスタッフの方々に話していた感じですね。
 

 

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