物語の要である玉之丞。猫が侍になる映画・・・ではありません!
かつて“鬼”とも恐れられた寡黙で強面の浪人剣士・斑目久太郎と、愛くるしく自由気ままな白猫・玉之丞の触れ合いを描いた異色の時代劇『猫侍』。全国19局ネット、BSフジなどで放送され「癒される」と人気を博したドラマが、豪華新キャストを迎えスクリーンに帰ってきました。――猫派と犬派が敵対する江戸。里に家族を残して貧乏浪人として過ごす久太郎の元に舞い込んだのは、猫派である相川一家親分の愛猫・玉之丞の暗殺依頼! しかし、玉之丞に心奪われた久太郎はこっそり長屋に連れ帰るが――。3匹の猫たちとタッグを組み、主人公・久太郎を熱演した北村一輝さんが『猫侍』を語ります。
◆ユルくて、笑えて、癒される!
異色の剣客エンターテイメント
北村一輝/徹底した役づくりで多彩なキャラクターを演じ分け、
多くの監督から信頼を集める。2014年公開の主な出演作には
『劇場版トリック ラストステージ』、主演作である『KILLERS』、
『テルマエ・ロマエⅡ』などがある
「猫侍」というタイトルを初めて見た時は、インパクトに笑いがこぼれました。いざ本を読むと、顔が怖くて、周りに優しくしても人が逃げていくような侍が、猫と出会うことで変わっていくという内容で、わかりやすいし、誰にでも楽しんでもらえる作品だと感じましたね。仕事が忙しい人も、テレビや映画をあまり見ない人も、時代劇が苦手な人も、猫好きじゃない人も、パッと見て笑える“娯楽”作品を目指しました。ただ、顔が怖いという設定について「どうしたら怖くなるかな?」と周りに相談したら、「そのままで大丈夫です」と言われたことは未だに腑に落ちていませんが(笑)。
映画でヒロインを演じたのは人気若手女優・蓮佛美沙子さん
今回の映画はオリジナルストーリーで、久太郎の人物像も少し違います。これは、制作サイドが初めて猫侍という作品を見る子供やお年寄りを意識した作品だからこそできたこと。実は当初、映画はもっと真面目で固めなテイストで初号まで進んでいましたが・・・見たら何だか物足りない。テレビは、時代劇の敷居を下げたユルさが魅力の一つでしたが、「そこをなくしてしまっていいのか?」という話があり、結局、時間がない中でもギリギリまで編集し直し、ナレーションも入れ、ぼくは歌まで歌わされました(笑)。テレビと映画が同時に進んでいたこともあり、睡眠時間2~3時間という近年稀に見る忙しさでしたが、こうして妥協せずに真剣に考えた作品が仕上がったことは、本当に誇りに思えます。
◆殺伐とした世の中だからこそ
癒しと休憩の大切さを見直す
ツンデレな玉之丞に、久太郎のみならず誰もが萌えること必至!
玉之丞は、あなご・さくら(若)・さくら(大人)という3匹の猫が演じています。演技プラン以上の、想像もしないようないい動きをしてくれることも多くて、「かわいいな~」と、正直たまらなくなりました。猫に合わせて役者もスタッフも動く猫中心の撮影でしたが、おとなしくて本当にかわいい。一緒にいる時間が長かったあなごとは、相性もよかったんですよ。立ち回りのシーンでも、ぼくの懐でウトウトしていました。安心してくれていたのか、本当にかわいかったです。
久太郎については、監督と話し合いながら人物をつくっていく中で、「時代劇だけど、現代人の感覚でいいのではないか」という話になりました。たとえば、昔は仇討ちがありますが、現代では許されない。侍だけど、「斬る相手にも家族がいるし・・・」というような「現代の普通の感覚」を持った男ですので、時代劇が苦手な人にも親しみやすいと思います。また、彼は仕事を探すために家族をほったらかしにしていたわけですけど、今の世の中も、仕事中心に考えないといけないような風潮があり、家族やプライベートをないがしろにしてしまっている。そもそも、仕事を頑張っている理由が自分の趣味や家族のためだと忘れてしまいがち。ひと呼吸ついて休憩を入れることで、見失ったり見逃したりしたものを再確認して、客観視できますよね。
敵役には、名優・寺脇康文さん。迫力ある立ち回りは見逃せない
日光江戸村の全面協力によるリアルな江戸の町で、侍が萌える!
自分も30代は休まず突っ走ってきました。そのおかげで今がありますが、やっぱり見失った部分も多くありますね。走り続けていると、休んで遅れをとることが怖くなりますが、休む大切さも忘れずにいたい。この『猫侍』には、そういうメッセージが詰まっています。久太郎と同世代の人たちにもこの映画を見ていただき、かわいい猫の姿に癒され、そして物語を通して「自分は何のために一生懸命やっているんだろう」と、日々を見つめ直すきっかけになれば嬉しいですね。
| 猫侍 監督:山口義高 製作総指揮:吉田尚剛 原案・プロデュース:永森裕二 脚本:永森裕二/山口義高/城定秀夫 企画・配給:AMGエンタテインメント 出演:北村一輝 蓮佛美沙子 浅利陽介 戸次重幸 洞口依子 温水洋一 津田寛治 横山めぐみ / 斎藤洋介 小野寺昭 / 寺脇康文 |
(この情報は2014年3月1日現在のものです)