◆日本の焼き物に新時代到来
フレンチ×有田焼!?
日本の外食産業は多様化し、近年ではイタリアンやフレンチも、ずいぶん身近な存在になってきました。とは言っても、レストランに足を運ぶ際に私たちが求めているのは、料理の味はもちろん、食器やインテリア、サービス全てが相まって生み出す 「非日常」。愛されている銘店や人気店こそ常に進化し、訪れる人々に 「食」 というエンターテイメントを提供しています。「フランス料理はフランスの食器で提供するのが当然」 というスタイルは、もはや昔の話なのかもしれません。
フレンチに、日本・佐賀県の伝統工芸である有田焼の器を採用する――。2000年初頭、そんな大胆なアイディアを実際に取り入れたのは、本場フランスで名を馳せるシェフ、ドミニク・ブシェ 氏でした。採用したのは、佐賀県にある窯 「照右ェ門窯 株式会社カマチ陶舗」 の有田焼の器です。伝統の技法と質にこだわりながらも型にとらわれないモダンなデザインは、「どんな料理に合わせるか?」「どんな空間で、どのように見せたいのか?」 さらには、食べる際にフォークをどのような角度でいれるかまで綿密に考えられており、そのレストランにのみマッチするもの。レストランの顧客の満足度まで追求した器に創作意欲を掻き立てられるシェフは、2013年現在も増え続けています。
◆有田焼の特性を尊重しながら
大胆不敵に発想を転換
もともとカマチ陶舗は1990年代後半頃までは日本料理店をはじめとする顧客のオーダーメイドで器をつくっていました。先代社長の死去により代替わりする中、窮地に立たされたこともあったと言います。そんな時も顧客に支えられながら乗り越え、需要に対して飽和状態だった業界から目線をシフトし、思いついた市場が 「洋食」 でした。「日本の器のバリエーションは世界TOPレベル。でも、ヨーロッパでは日本の器は知名度不足だったので、日本の優れた技術をPRしたかった」 と、新たな市場の立役者である蒲地勝社長は語ります。しかし、斬新な発想はなかなか受け入れられず、苦戦の日々。そこであきらめず、考えついたのが 「本場フランスへのダイレクトな提案」 でした。
そしてフランスでドミニク・ブシェ 氏と出会い、器を製作したことによってフレンチ界、そして有田焼の業界にも新たな道が拓けたのです。器は、料理を一目見た瞬間に 「おいしそう!」 という感動の一端を担う大切な要素。料理だけ、器だけ、空間だけではレストランは成り立ちません。「器だけではちょっと物足りない、というくらいでちょうど良い」。これぞ、カマチ陶舗の器づくりの姿勢。あくまでも 「お客様のプラスになる器」 にこだわるのは、どんな時も信頼し、支えてくれた人々への感謝の現れなのでしょう。
◆世界に羽ばたく
新基準の有田焼
カマチ陶舗の器は天然陶石を使用しているため、形をつくるのが難しいとされるいっぽうで、鮮やかな発色が特長です。有田焼としてブレないことを大事にしながら、様々な伝統技法を取り入れ、そこにいかにフレンチのエッセンスを加えるか、と葛藤の日々。何気ないシェフとの雑談や従来の視点では失敗と捉えるようなことも新たなアイディアに換え、料理人たちの創作意欲を掻き立て続けています。縁がアーチを描いた円盤型の皿や、まるで金属のような質感を持つもの、光の当たり方によって全く異なる表情を見せるもの・・・従来の有田焼のイメージを良い意味で裏切る食器ばかりです。
現在、カマチ陶舗では、ドミニク・ブシェ 氏とのコラボによる 「D.B Kamachi」 シリーズをはじめ、多くのミシュランシェフに愛用される伝統を意識したモダンなデザイン 「Kamachi Arita, Japan」 シリーズ、高級和食用オーダーメイドライン 「照右ェ門」 シリーズ、シンプルな有田焼 「照右ェ門ジュニア」 シリーズをプロ仕様として展開し、有名ホテルや2つ星、3つ星レストランで愛用されています。また、熱烈なオファーにより個人客向けの 「&K モダンライフ」 シリーズも人気。料理の魅力を何倍にも増幅させる、“ネオ有田焼” の今後の快進撃からも目が離せません。
照右ェ門窯 株式会社カマチ陶舗
本社
〒849-2303 佐賀県武雄市山内町三間坂12885-7
TEL 0954-45-3581(9:00~17:00)
定休日 土日祝
東京オフィス
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(この情報は2013年9月1日現在のものです)