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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

 
プロフィール 神奈川県出身。大学卒業後、1980年日本ビクター(株)に入社。業務用の映像や音響システムの営業を担当し、様々な案件を手がける。2002年に退社後、いくつかのベンチャー企業で役員を経験する中で起業への思いが高まり、2011年に(株)ATSを設立した。現在は電気通信、電気工事、消防設備、機械器具設置の4つの資格を取得し、建設業も手がけるなど、活躍の幅を広げ、全国を飛び回っている。【ホームページ
 
 
 
テーマパーク、イベント会場、企業の会議室、博物館など、あらゆる場所に映像・音響システムを構築するプロフェッショナル集団――それが株式会社ATSだ。代表取締役の松信章一氏は、日本ビクターを皮切りに音と映像一筋に生きてきた。仲間と共に仕事を楽しみ、顧客が顧客を呼ぶ優れたシステムをつくり続ける秘訣。それは徹底した現場主義と、「誰もできないことを実現する」という固い信念にあった。
 
 
 

あらゆる場所に映像・音響システムを構築

 
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インタビュアー 前園真聖(サッカー元日本代表)
前園 水族館や博物館の他、ショールームやイベント会場などに、映像・音響システムを構築するATSさん。松信社長は長年、日本ビクターに勤務していらっしゃったそうですね。
 
松信 ええ。1980年に入社以来、映像や音響システムの営業をしてきました。納入先は音楽ホールやテレビ局の編集システム、保険会社の社員教育スタジオなど様々。葛西臨海水族園のオープン時は、園内の音楽や映像制作を全て手がけたんですよ。
 
前園 おもしろそうなお仕事ですね! 思い出深い事例を一つ、教えていただけますか。
 
松信 東京モーターショーで、スバルさんのブースを担当したことですね。ステージに「レガシィ」の実物大模型を設置して、上から巨大クレーンを降下させる。ボディをつかんで吊り上げると、内装とシャーシとエンジンがむきだしになって、さらに下から油圧で上げるとエンジンのヘッドカバーが開き、ピストンの動きが見えるんです。そこに背景のCGを合わせると、まるで模型が自走しているような迫力がある。・・・と、こんな楽しいことをしてお金をいただいていました(笑)。
 
前園 聞いているだけで、松信社長が楽しみながら働いていたことが伝わりますよ。その後、独立のきっかけは?
 
松信 2002年にビクターを退社して、いくつかのベンチャー企業で役員や代表を務めました。でも、雇われ役員は制約も多く、物足りない。やはり、自分の資金で事業を始めようと2011年に起業したんです。
 
前園 独立後はどのような案件を手がけてきたか、紹介していただけますか。
 
松信 例えば、愛知県常滑市にある、「めんたいパークとこなめ」の展示はおもしろいですよ。明太子の老舗・かねふくさんが運営する明太子工場のテーマパークなので、床に映像でスケソウダラを泳がせました。その上にプロジェクターとセンサーを設置し、浮き上がってきたスケソウダラを踏むと、マスコットキャラクターの「タラピヨ」に変身して喋るんです。