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スポーツ 建山義紀の「ココだけの話」 vol.2 AAA、厳しすぎる現実 建山義紀の「ココだけの話」 テキサス・レンジャーズ投手

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建山義紀の ココだけの話

 

AAAはザ・格差社会?

 
 マイナーリーグであるAAA (トリプルエー) では、そうした悪循環が惰性になりがちなので、気を付けなくてはいけません。信じられない話なんですが、ミスをしてもボールを追いかけない、ツーベースで収められるところが、タラタラしたプレイによってスリーベースになってしまう。そういう緩慢さがあるのもAAAなんです。その雰囲気に流されてしまうと、いつまでたってもメジャーには上がれません。ワンプレーをきっちり正確にこなせるように練習を重ねて、その積み重ねがメジャーへつながると、僕は信じています。
 
 ちなみに、AAAとメジャーの違いって、どんなところにあると思います? 実はね、環境の厳しさとか、待遇面とか、まさに 「ザ・格差社会」 と言われるような大きな違いがあるんです。極端な話をすると、メジャーよりもAA (ダブルエー) よりも、クビになることが圧倒的に多いんですよ。
 メジャーだとクビになっても、契約年棒ぶんのお金は支払われますけど、AAAでクビになると、その日以降のお金は一切カット。職を失ってしまうだけなんです。あとね、日本のルーキーとAAAのルーキーは、環境面がまるで違います。日本だと高校卒業のルーキーでも生活に困らないだけの年棒は保障されるでしょうし、育ち盛りの子を寮で預かって食事の面倒を見ることが一般的です。保険だって、自分で入らなくても球団が手配してくれる。でもAAAは、コンビニでがんばってバイトしたほうが身入りがいいんじゃないかというくらい給料が低くて、毎日朝昼晩とハンバーガーで済ませる若手も多いから、別名 「ハンバーガーリーグ」 と呼ばれてるんです。それでがんばっても、メジャーに上がれる権利はなかなか手にできない。
 
 

一日一日を締めていく

 
 
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私服で他球場入りした際のレアカット。球場は
エンゼルス・スタジアム・オブ・アナハイム
 それでも野球への情熱を失わず、選手のことを考えて指導する監督やコーチもいます。そんな姿を見ると、自分がメジャーに戻ることで、彼らの誇りを守っていきたいなと思えるんですよね。僕はメジャーに上がれる権利も持っているし、給料も固定で入ってくる契約になっている。がんばらなあかん理由が、そこにもあるわけです。
 だから、いつ上に呼ばれてもいいように、気持ちの面でもコンディションの面でも、一日一日の過ごし方をすごく大事にしています。練習中に突然呼び出されて、シャワーも浴びずに着の身着のまま、メジャーのグラウンドへ行けと言われることもよくありますから。実際に、ウチのチームでいえば、メジャーとAAAの拠点との間は車で2時間半くらい。AAAでは、ナイターが終わったあと、朝の3時半に起床して移動するなんてことも珍しくない。だから体が休まりにくい環境なんですが、「疲れているからメジャーでは投げられません」 なんて言い訳は通用しませんからね。
 
 登板していても、していなくても、一日一日を “締めて” 過ごしていく。大変ですけど、がんばっていきますので、応援してくださいね!
 
 
 
ではまた次回!
 
 

 執筆者プロフィール 

建山義紀 Yoshinori Tateyama

テキサス・レンジャーズ投手

 経 歴 

1975年、大阪府出身。中学時代からボーイズリーグにて野球を始め、現在のピッチングを支えるサイドスローを確立。東海大仰星高校ではエースとして君臨。1998年にドラフト2位で北海道日本ハムファイターズに入団すると、ルーキーイヤーの1999年にいきなり先発ローテーションへ定着。2002年から2004年にかけてセットアッパーとしての才覚を表すと、リーグ最多の13ホールドを記録し、最優秀中継ぎ投手を獲得。その後、先発・リリーフともに計算できる投手としてチームに貢献した。2010年に海外FA権を行使してのメジャー挑戦を表明、テキサス・レンジャーズとの契約を勝ち取った。サイドスローから繰り出す角度のある速球と、ダルビッシュ有選手をして 「球界最上」 と言わしめたスライダーが武器。

 ツイッター 

http://twitter.com/tatetatetateyan

 
 
 
 

 

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