column.7 スタート！
メジャーのキャンプに思うこと
さて、話は変わりますが、今ぼくたちがいるサプライズ。なーんにもないところ。でも、気候はいい。朝晩こそ一枚上着をひっかけないと肌寒さは感じますが、昼間は半袖でも平気です。空気も乾いていて、過ごしやすいですね。
そんな中、朝の9時や9時半集合で練習が始まります。――ちなみに集合時間は毎日違ってて、前日に翌日の集合時間がボードに書かれます。オープン戦がないときはお昼の12時や12時半には練習が終わってしまいます。短いよね。以前いたオリオールズでも練習時間の短さは感じていたので、アメリカのチームはどこもそうなのかな？ わりと凝縮して練習して、無駄な練習を一切やらない。ぼくにとってはありがたいことです。何せ昼からゴルフに行ける時間がとれるんだから（笑）。
ここで、アメリカ生活4年にして、あらためて日本のプロ野球とアメリカで違う文化を感じたことがふたつありました。
ひとつは朝の活動時間帯。ぼくが宿泊しているホテルから練習場までは歩いて3分くらいの近さ。多少朝はゆとりが持てるかなと思いきや、驚かされましたよ！ アメリカの選手たちは、とにかく朝が早いんです。朝6時くらいからウエイトトレーニングをしているなんて、日本球界じゃ考えられない（笑）。出社前のビジネスパーソンがジムで軽く汗を流して出社するというエクササイズ・スタイルがあるようですが、まさにそんな感じですね。
もうひとつは、キャンプの際も、団体行動という概念がない。もちろん練習などは一緒にやるんですけど、それ以外は完全に個人の自由。たとえば宿泊施設でも、ぼくみたいにホテルをとる人もいれば、一軒家を借りる人もいたりと、人それぞれなんですよ。そんな中で、個人個人がシーズンに向けて、それぞれの調整をしているという感じですね。
あとは調子を上げていくのみ！
まだオープン戦なのでシーズン途中のような気持ちの盛り上がりはないのですが、ぼくもじわじわと調子を整えてきているところです。
そして、チームとしても、シーズンが近づくにつれて、しっかり締まってきていますよ。ぼくの持論ですが、いいチームには必ずいいリーダーがいるものです。そういえば、建山もB-plusの取材で、似たようなことを話したって言ってたな。
建山がどんな話をしたかは彼の記事を読んでもらうとして、いいリーダーは、まさにウチのマイケル・ヤングみたいな人だと、ぼくは思うんですよ。
リーダーが選手である場合、当然ながら実力や実績がともなっていないと誰も聞く耳を持ってくれませんが、その点、ヤングの場合はまったく問題なし。実力も実績も申し分ない。そのうえで「自分がチームをまとめる」という意識を強く持っているから、皆が信頼していくんですよ。
たとえば、ヤングがリーダーとして素晴らしいと思えるのは、チームが勝っているとき。どうしてもチーム全体が浮かれがちになってしまう時に、ヤングはもう一度きちんとチームを引き締め直してくれる。まさに「勝って兜の緒を締めよ」という諺どおりなんですよね。それが結果につながっていくから、ぼくらもヤングについていこうと思えるんです。
ともあれ、おかげさまでチームの仕上がりは順調。これから開幕まであっという間でしょうけど、ケガなく、密度の濃い練習をして、とにかくきちんと投げられる状態で臨みたいですね。
では、また次回！
（※ 編集部注） 建山投手は4月1日公開のB-plusスペシャルインタビューに登場予定です。ご期待ください！
執筆者プロフィール
上原浩治 Koji Uehara
テキサス・レンジャーズ投手
経 歴
大阪府出身（出生は鹿児島県）。東海大学付属仰星高校から大阪体育大学に進学し、大学3年時に日本代表に選出。1997年に出場したインターコンチネンタルカップ決勝では、当時国際大会151連勝中だったキューバから先発勝利をあげ、注目された。ドラフトで読売ジャイアンツに1位指名（逆指名）を受け、1999年に入団。ルーキーイヤーに20勝投手となり、最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の4冠を獲得し、新人王と沢村賞も受賞。翌2000年は肉離れのため登録抹消となるなど、ケガに苦しむシーズンを送るも、2002年に再び17勝をあげ、優秀選手賞を受賞。2004年にはアテネオリンピック野球日本代表に選出され、銅メダル獲得に貢献。2006年のワールド・ベースボール・クラシックでも日本代表のエースとしてチームを優勝に導いた。2009年にボルチモア・オリオールズに入団し、ベテラン投手の一人としてチームを牽引。2011年途中、トレードによりテキサス・レンジャーズに移籍。
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