EC化率が日本と比にならないアメリカで
さまざまなブランドがリアル店舗に注力していた
象徴的だなと感じたのが、ネット通販で売れている有名ブランドであってもリアル店舗に力を入れていたこと。アメリカはEC化率が日本の比じゃないくらい高いのに、店頭での接客が一種のエンタメととらえられていた。日本の感覚だとこれからは無人化とネットに注力する雰囲気で、今さらリアル店舗のつくり込みに注力して意味あるの? と言いたくなるけど、違うんだなあ。
やっぱり人は人で磨かれるというか、スタッフの“人”の部分で決めて購入したいというか。――で、ここが重要なんだけど、デジタルなりシステムなりオートメーションのほうは、スタッフが対お客さんに集中できるようにするために活かしてるんだよね。
決して楽をしたいためじゃなく、リソースの配分の問題なんだ。決済やら在庫確認やら取り寄せやらといったオペレーションの部分は徹底的にシステム化・自動化して、それでできた余裕を接客に活かそうとしていた。その切り分けが、前回来たとき以上に洗練されていた。
切り分ける意識があるから分業制も発達するし、一人当たり生産性も上がるわけで、日本はどうしてもこの部分は弱い。単一民族で単一言語で、平均的なレベルが高いから、ついつい個人に頼り過ぎてしまい、仕組み化が後回しにされてしまった。結果、人海戦術からなかなか抜けきれなかった。
でも、皆さんも知っての通り、これからは違うよね。政府の方針で労働移民も事実上解禁したし、今後、日本は多民族が共生する国になる。一部ではすでにそうなっている。人件費もグローバル水準を目指すことが決まった。となると、付加価値を生まない作業はどんどん自動化していかないと、これからの商業経営は持たないだろう。
「買い物をエンタテイメントにする」
という商売の基本
アナログといえば、ホテルの玄関には車着きが二つあって、いっぽうは従来からのタクシー用、いっぽうはUberなどのライドシェアを使う用の車着きになっていた。――で、いつもならUberを使うところなんだけど、何日目だったか、たまたま空車のUberが近くになくて、5年ぶりぐらいにタクシーに乗ったら、驚いた。えらい快適になってたんだよね。
アメリカでUberを使った経験がある人はわかると思うけど、あれこそ仕組み化の究極だと思う。配車依頼も行き先指定も決済も、全部スマホアプリ上で完結する。乗った後は運転手も乗客もお互い一言もしゃべらなくてもOK。こんな楽なことはない。
――けど、そこで“自動運転マシン”になるのを選ぶか、乗車中の時間をお客さんに楽しんでもらうためいろんな配慮や工夫をするかで、運転手として一流になるか普通で終わるかが変わってくる。
Uberは確かに便利だが、便利さにかまけて楽ばかりしていると“人”の部分が上達しない。それよりは、システム化によって浮いたエネルギーと得たデータを活用して、接客に回すべきなんだ。
「youどっから来たの? Japan? どう、ラスベガス楽しんでる?」ぐらいの会話なら、逐一言葉の意味がわからなくても雰囲気でなんとなく通じるだろう。通じてコミュニケーションが成立したらそれはやっぱり旅のワンシーンとして相手の記憶に残るわけで、そうやって自分の(自車の)価値を上げていくことも、商売の基本だと思う。
再開第一弾は大成功!
来年も乞うご期待!
それにまた、ライドシェアが普及したからこそ、従来のタクシーも旧態依然とした商売を続けられなくなったわけでね。
昔は現地のタクシーといえば、メーターをごまかすやら、わざと長距離ルートを走るやらで、観光客はよくぼったくられた。今そんなことをしていたらUberに取られて乗客がほんとにゼロになる。また乗客のほうも、運転手がわざと迂回ルートに行こうものなら、後ろからスマホでGoogleマップを見ながら、「ちょっと! 道違うよ!」と指摘できる。だから悪質なぼったくりは基本的にできなくなってきた。
これらは全部デジタルの恩恵だ。そういう見方からはアナログだったりリアルだったりの接客は出番がないと思えるけど、実はそうじゃないぞ、ということを今回の視察で感じた。エンタメ性=付加価値が評価されるようになるぞ、いつまでも利便性で売ってたら遅れるぞ、と。何せ、アメリカ商業の今が、5年10年後には日本の現実になるのを、繰り返し繰り返し見てきたからね。
ちなみに言うと、「アメリカ商業視察セミナー」というツアー形態は、今はなき株式会社商業界が1960年代に有志を募って始めたのが最初で、その講師陣の中でも故・渥美俊一先生は「日本のチェーンストア産業の父」と呼ばれ、「チェーンストア先進国アメリカに学べ」という考えだった。渥美先生を筆頭として、商業界の諸先輩方の教えがあったからこそ、日本全国くまなく、どの地域でも商業者にモラルが備わったし、地方でも都市部に負けない消費文化を享受できるようになったのは事実だ。
そのアメリカ商業視察セミナーを2012年から引き継ぎ、商業界が残した功績へのリスペクトも込めて今後も続けていくつもりだ。今回は再開第一弾だったけど、来年6月はニューヨーク。近づいてきたらこの連載でも必ず告知します。「最先端の商業を勉強してみたい!」と思われる方は、ぜひご参加ください。
事務局 郡上商業開発
■12月7日 富山勝人塾
事務局 滑川ショッピングセンター
https://x.gd/VWITA
■12月13日 大阪勝人塾
事務局 経営コンサルティングアソシエーション
https://x.gd/aDXpN
■12月14日 岐阜勝人塾
事務局 メイクオーヴァ
■12月20日 栃木勝人塾
事務局 日本販売促進研究所
https://x.gd/c6sCA
■日商assist bis 佐藤勝人の地域一番店商法
https://ab.jcci.or.jp/series/6182/
■最新著書「地域密着店がリアルとネットで全国繁盛店になる方法」
https://amzn.to/3EfDs6W
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https://www.youtube.com/channel/UC4IpsvZJ6UlNcTRHPgjellw
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担当/佐藤夏美 contact@jspl.co.jp
vol.85 3年半ぶりにアメリカ商業視察ツアーを再開! ラスベガスで感じたことは
(2023.11.29)
著者プロフィール
佐藤 勝人 Katsuhito Sato
サトーカメラ代表取締役副社長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長
経 歴
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
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