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人と人の間に生きている

 
 前回の内容を、視点を変えて考察する。
 社会は人と人が関りあって構成されて、その秩序のうえに成立している。自分一人では社会は構成できないし、二人でも社会は構成できない。三人以上いて、はじめて社会という核が成立する。つまり三人が最少人数の核となって、社会というものが構成され、生活が営まれるようになる。
 その社会には、必ず上位下位が生まれる。それが秩序となりルールが生まれて、そのルールを円滑に機能させなければ争いが生まれる。円滑な社会は、約束事を履行するという簡単なルールづくりから始まり、人数が増えていくにしたがって、そのルールは複雑になり、その複雑なルールが組織を動かすようになる。
 それまで〈烏合の衆〉的に無秩序状態にあったコミュニケーションを、理路整然と秩序のあるものに変化させ、社会を牽引していくリーダーが、そこで誕生する。
 そこには、リーダーのコミュニケーション能力によって様々な力がコントロールされ、人々が話し合いや申し合わせをする社会の在り方に導かれ、秩序ある組織が作られる。そこにはさらに組織の運営を決定していく機構や機関が必要となり、それらを運営・運用する法制度・約束事を徹底するために新しい組織が生まれる。
 組織内においてルールを円滑に機能させるには、人と人との関りの中で「人の役に立つ」という精神、つまり哲学がなければならない。そうでないと、人は社会や組織の中では通用しない。社会は人と人の関りあいで循環していることが大切であり、止まると腐敗する。実に厄介なものである。
 しかしながら、それが自然界の摂理であり真理というもので、動植物、すなわち生きとし生きる全てが、互いに関りあって生きている。生き物は、生き物の命で生きていて、単体で生きているということはあり得ない。つまり循環である。
 そのような意味で、人間だけが自然界の中において特権的な何かを持っているということはありえない。もし、あるという人がいるならば、その人の驕り昂ぶりであり驕慢にすぎない。
 人間というのは、人と人の間と書く。つまり、人と人の狭間「あいだ」で生きるということである。自分一人で生きることなど「できる話」ではない。つまり、人とのコミュニケーションを取りにくくなるということは、世間を狭くするということに他ならない。
 世間が狭くなるということは、社会生活がしにくくなるということで、組織から疎外される。厳しい言い方であるが、それが世の中で自然界の優しさというものである。
 なぜなら適者生存という事実があるからだ。だから自分を磨いて自分を成長させなければならない。成長なくして人間と言えるかということも自然界の摂理であり真理であり、自分を磨く「磨き方」を学ばなければならない。
 世の中の役に立つということを真剣に学習しなければ、人材が人財に変化するということはない。
 いわゆる自然の摂理、俗な言い方をすれば天から与えられた特権は、考えるという思考能力を持たされたことである。それは、秩序というルールを作り、それに従って生活を営み、社会を構成し、社会を生活のしやすいようにコントロールしているということである。それが、人の役に立つ生き方というわけで、自然界の掟と言ってよい。
 
 

天地自然の理を知り、学ぶ

 
 本題に入ろう。私が言いたいのは、天地自然の理を知ることであり、学ぶことである。
 「人間が万物の霊長と言われるのは〈知〉があるからだ。この知を磨くことで、誰でも、見えないものが見え、聞こえないものが聞こえるという神がかり的なことができるようになる」こう言えば耳を傾けてくれるだろうか。
 「こういう霊能力者のようなことを掌中にすることで、世の中・社会が求めるもの、また人が欲しがるものを商品化できたり、またサービス化できる。誰もが悩むことを悩むことなく、いとも簡単に富を手に入れることができる」と書けば、その本はベストセラーになるだろうか、そのような安直な方法があるだろうか。
 この世の中に、そういう神がかり的なことはある訳がないし、あってはならないとも思う。
 前回書いたように、素直に謙虚になって人の話に耳を傾けなければならない。苦労して、ノウハウを身につけなければならない。
 そうしなければ、苦難の壁にぶち当たったときに、その壁から弱い自分の逃避癖が出るからだ。それが、前回書いたテスト勉強のスケジュールの話になる。
 さて、我々人間が万物の霊長であるのは「知」「思考」があるからだと書いた。その「知」は誰にでも備わっており、それを磨くか、磨かないかは一人一人の心構えにかかっている。
 つまり功利的な心を捨てて、純粋に「人の役に立つ」こと、いつ如何なる時も、それを実践している心=気構え=精神を持っていなければ本当の「知」=『知』は磨かれることはない。それが最低条件であり、人としての基礎・基本である。 
 
 
 
 
 
 

橋本英夫,ハッピー,イノベーション基礎学

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