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人材から人財に人を磨き上げる 〈後編〉

 
 
 
 さて、ここで『知』を磨くために、知を「知識と知恵と英知」の三つに分けて考察する。
 知識は、本を読んだり、話を聞いたりすれば身につく。小賢しい話のできる人がいるが、実は、無責任なところで小賢しく騒いでいるだけだ。議論の反対側を見つけて、そこを攻めればよいだけのことだ。評論家という人には、こういう人が多くいる。つまり、自分では何もしないで反論のための反論をする。こういう人に言えることは、彼らは賢く見えるが、中身は何もないと言ってよく、知識が見識に高まっていないということだ。
 知識を見識に高めることが重要で、そこに説得力が生まれてくる。団塊の世代から上の年齢のジャーナリストは、一つの取材に命を懸けていたと聞く。今のジャーナリストは、HPや電話取材で終らせようという傾向がある。全てとは言わないまでも、そういうジャーナリストが存在するのは確かだ。
 上滑りのニュースを読まされているのは私たちで、物事の真意を汲み取ることなく瑣事瑣末なことに流されているのが現実である。
 こういう記事から得たものは単なる知識だ。知識が必要ないのではなく、得た知識を活用し、行動に移し、苦労して実践する中から知恵が身についてくる。つまり見識と知恵は同義語だと言ってよい。
 知識と知恵が身につくと失敗することがなくなるということが不思議だ。これを幾度となく繰り返していくと、英知という真理・真髄が理解できるようになる。
 英知とは、見えないものが見え、聞こえないものが聞こえることである。つまり、人間の五官に感じられないものが感じられるようになる。第六感・勘と言えるもので、これを胆識と言ってよい。つまり、「(はら)が坐っている」とか、「肚ができている」とかいうものだ。
 そういうものができてくると、インスピレーション、閃きが生まれる。悩みや苦労がなくなって、いつもインスピレーションのようなものに包まれるようになる。
 それが英知というものである。
 たとえば、植物は二酸化炭素を吸収して光合成をして酸素を大気に放出する。この自然界の摂理を誰が作ったのであろうか、人間には、生き物である植物の種すら作ることはできない。
 こういうものは、何処から生まれてくるのであろうか、このような生成化育を行っている根本に、大気中の気(エネルギー)があるとするならば、その気(エネルギー)を自分の体の中に取り入れることができないか、そうすることができれば自由自在の人生が送れるようになるのではないだろうか、とするのに疑問を抱く余地はない。
 
 

人間を磨くこと・人を育てること

 
 そこで、人間が持つ力を八つに分けて考える。
 先ずは観察力、次いで直観力、発想力、想像力、判断力、決断力、実行力、反省力が身につけば、人生堂々と生きられる。
 さらに考察を深めていく。
 人という中には、客もいれば、社員もいるしサプライヤーもおり、社会の構成をなすのは人であると先述した。
ところが商品やサービスを、すぐに金銭(利益追求だけに終始する)に置きかえてしまう。現代の日本に蔓延(はびこ)る「自分さえよければそれで良い」という利己主義社会がそうさせるのか、それとも、時代の移り変わりとともに、人の心が変化することによるのか、先読みがしにくい。
 デパートの2009年の売上げが、前年比二桁の大幅ダウンをしているが、デパートでモノが売れない原因は、経済の失速によるものなのか、購買層の変化によるものなのか、もしくは時代の変遷によるものなのか、デフレ経済によるものか。その原因は、全てに対してYes,と言えるが、全てがそうだとも断言できない。
 私見を言うと、社会を構成している人々の心理を粗末に扱っているからだとも言える。その答えは、JALの経営実態を見れば理解ができるし、また、トヨタのリコール問題もそうであると言ってよい。
 つまり、日本のモノづくりにサービスの精神がなくなったからだ。
 JALは、サービス業でありながら、はじめからサービス精神の持ち合わせがない。これは論外だが、総じて、利益追求(絶対市場主義)だけの経営をしたツケが回ってきたと言ってよい。
 これまで述べてきたように、サービスを金銭に置き換えて考えてしまうと物事の本質が見えてこない。本質の見えないところに、本物の消費者に喜んでもらえるモノづくりは育たない。
 サービスというのは、人の気持ちを満足させることに尽きる。人の気持ちや心は、地域によって異なる。トヨタなどは品質管理と称して、通り一遍のコスト削減を優先した結果に他ならない。
 
 
 
 

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