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勝人流「移民受け入れ論」

 
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7月の栃木「勝人塾」より
皆さんこんにちは。佐藤勝人です。先月の連載はぺヤング販売再開のニュースから、イノベーションについて話をしました。月が変わって第4回目。よろしく!
 
いやー、暑いですね。あっちいあっちい。先日は群馬の館林で最高気温39.3℃を記録したって? ビックリですよね。「39」って、気温の数字かっての(笑)。これだけ暑いと、ビールがすすむ方も多いんじゃないでしょうか。そういえばちょっと前に、サッポロビールと国税局の話をニュースで見ました。サッポロさんがいわゆる第3のビールとして売り出した「極ZERO」(編集部注;2013年6月発売の旧・極ZEROのこと)について、国税局がそれより税率の高い発泡酒じゃないのかって疑いを入れて、サッポロ側がとりあえずそうだった時に未納になる酒税の115億円を納付してたんだけど、製法を再確認して第3のビールだって確信が持てたから115億円の返還を求めてた件。あれに国税局が返還しない旨を回答したっていうニュース。
 
でもさ、もとはと言えば、国が酒税を上げるってからメーカーが発泡酒を出して、発泡酒の売れ行きが伸びたら国はそっちの税も上げるって言いはじめて、それで出てきたのが第3のビールでしょう。いくら税収を確保したいからって、ちょっとやりすぎじゃないか。6月から始まった自転車の道交法違反取り締まりの強化もそうだ。公安委員会が違反者に受けさせる講習、結構いい値段取ってますよ? 国税も公安もセコイっての! さも良さそうな正義を掲げてやってるあたりも、個人的に気に入らない。
 
そもそもなんでこうなるんだ? 人口が減って国にお金がないからか。パイが増えない中での取り合いになってるからか。だから若者に「早く結婚しろ!」、女性には「もっと子どもを産め!」なんて言って、実際にそういう政策を進めてる。
 
それよりも、移民を受け入れたらどうだろう。こう言うとすぐ「治安が悪くなる」とか「肌の色が違う人が一緒にいるのはちょっと・・・」みたいな反応が起こるけど、どこの国だってまともな人はまともですよ。だから一定の基準を決めて、クリアした人は移民してきてもらうといいよ。で、その時の基準は「教育」にすべきだ。お金じゃなくてね。諸外国の場合は、とどのつまりはお金なんです。我々はそこじゃない。日本人は頭と腕前(スキル)が欲しいんだ。だから、祖国で一定水準の教育を受けた人の移民はどんどん受け入れようというのが私の主張。
 
さらに言えば、日本に来て最初に就く仕事としては、タクシー運転手とか飲食店員とか、仮に賃金は低くても地域の日本人と接する場面が日常的にたくさんある職種を解放するべきです。毎日自宅と工業団地の往復で、休憩時間に職場の何人かと話すぐらいしか日本人と接しないんじゃ、そりゃあ、日本の文化や習慣も覚えられないよ。彼らが日本に溶け込めないのは我々のせいでもある。我々が変わるべきだ。
 
 

「日本ならではのクリエイティブ」を目指せ

 
それらが徐々に変わりつつあると感じている材料は、東京オリンピックです。新国立競技場がどうなるのかって話はともかく、円安のおかげもあって、すでにもう、外国人の観光客がかなり増えています。昔は外人が道を歩いてるのを見たらギョッとしたもんだけど、いつのまにかなくなりましたよね、あの感覚。電車に乗っても、日本で出生した二世の子なんかがもう普通にいて、日本人の子どもたちと一緒に騒いでる(笑)。移民を受け入れられる土壌はできてきています。きっと、オリンピックが終わった後は「どこから来たの?」「フィリピンから来て、日本人になりました」なんて人が増えると思う。これはもう、一部の保守系政治家が言うような、大和魂がどうなるこうなるという話じゃないんだよね。
 
しかも、商業に限らず、それは日本全体にとってすごくいいことのはずなんだ。
なぜそう思うか。1つには、移民してくるということは日本を評価しているということだから、自分たちに自信がつくんです。今来てる観光客からだって、日本の食べ物や街や文化を褒められれば素直に嬉しいでしょう。身内からの目だけだとダメなんだよ、やっぱり。「自分たち結構頑張ってるんだな。素晴らしいんだな」ってことを、他者の視点から保証してもらえないと。
 
もう1つは、日本しかそうなれないような、すごくクリエイティブな国を目指せるかもしれないから。この話をする時に私が必ず思うのがアメリカです。アメリカは世界で最もクリエイティブな国ですが、もとからクリエイティブだったわけじゃない。でも、アメリカは移民国家です。移民してきた人たちの中には優秀すぎて祖国を追われたような人もいて、彼らがアメリカ人になってアメリカを強くしてきたし、もとからのアメリカ人に刺激も与えたし、そうやっていろんな文化や発想が蓄積された結果、国としてクリエイティブになった。同じように日本も、他の国の民族を受け入れたらいいんじゃないか。しかも日本には“物まね文化”があります。前回話した「アジアで初めて欧米の文物を独自に消化・吸収した」という実績のベースになった文化です。多様な文化・発想を持つことによる創造性と、古来よりの“物まね文化”。これらがハイブリッドされればどれだけクリエイティブな国になるか。楽しみだ!
 
私、若い頃は「日本はほんとダメな国だ」「これだから日本はダメなんだ」ってずっと思ってたけど、それでアメリカに憧れて向こうのやり方こそ一番だって思ってた時期もあるけど、今はつくづく思うよ。「日本っていい国だよな」って(笑)。日本や日本人は閉鎖的だってよく言うけど、実は違うからね。イタリア人とかアメリカ人とかのほうがよっぽど閉鎖的だからね。彼ら、東京在住者同士でも、勤め先とか宗教の宗派とか、属する社会集団が違ったらまったく交流ないもんね。日本人はそのあたり、いい意味で無節操でしょう。先進国でこれは、逆に考えたらすごい可能性を秘めてるってことだよ。
 
我々は過去に単一民族で成功してきたから多民族国家に変わることに対して臆病になってるだけで、それも徐々に変わってきたのが今の状況です。日本は次のステージに進みつつある。その中で、商業者として何ができるか? さあ、みんなで工夫して、攻めて、攻めて、儲けてみっぺ!
 
 
 
佐藤勝人の 儲けてみっぺ
vol.4 オリンピックに向けた変化

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ代表取締役副社長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長

 経 歴  

栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万?1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。

 オフィシャルサイト 

https://jspl.co.jp/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 YouTube公式チャンネル 

https://www.youtube.com/channel/UCIQ9ZqkdLveVDy9I91cDSZA (サトーカメラch)

https://www.youtube.com/channel/UC4IpsvZJ6UlNcTRHPgjellw (佐藤勝人)

 
(2015.8.5)
 
 
 
 

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