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年平均17.8%で市場が拡大

 
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Anastasiia Zabolotna / PIXTA
鼻洗浄用品が増えています。「ハナノア」「ハナクリーン」「サイナス・リンス」。「鼻ぴゅあ」「鼻美盛」「チクナイン鼻洗浄器」。幼児向けでガチャピンが容器になった「らくらく鼻洗浄器(スッキリガチャピン)」なんていう商品もあります。
 
富士経済が昨年12月12日に発表した調査レポートによれば、「鼻洗浄用品」の昨年の国内市場規模は38億円。前年比プラス11.8%です。今年は4億円アップの42億円、2022年比プラス23.5%の予測です。世界的に見ても鼻洗浄装置の市場は拡大を続けており、医療機関用も含めると、2031年までの年平均成長率(CAGR)は17.8%に上るそうです。
 
鼻洗浄(鼻うがい)は今、急速に一般化しつつあります。富士経済のレポートは国内の状況について次のように分析します。
 
主に花粉症対策として使用されてきたが、ウイルス対策として鼻うがいがメディアで紹介されたことで認知度が高まり、使用が習慣化したユーザーも現れたことで2020年に前年比40%近い成長を遂げた。その後感染症対策需要は落ち着いたものの、春先を中心とした需要から通年商品として広がりがみられ、参入企業も継続的なプロモーションで認知度向上を図っているため、市場は拡大が続いている。
 
2020年に前年比40%増えたにもかかわらず、2022年からさらに23.5%増ですから、コロナ前はいかに一部の人しか鼻うがいの習慣がなかったかということですね。
 
 

鼻うがいの歴史東西

 
日本でコロナ禍対策としての鼻うがいが知られるようになったのは、日本でコロナ後遺症(Long Covid)患者を一番多く診ているとされるヒラハタクリニックの平畑光一医師など、複数の医師たちや感染症専門家が、自宅でできる安価で効果的な感染・重症化予防策として鼻うがいを紹介してからだと思います。
 
この鼻うがい、文献で裏付けがないので確実には言えないらしいのですが、起源をインドの伝統医術であるアーユルヴェーダまで遡るそうで、実に1500年以上の歴史があります。ヨガにも「ジャラネティ」という鼻ヨガの技法があり、ジャラ(Jala)はサンスクリット語で水、ネティ(neti)は鼻で、鼻うがいと同様のことをするのだとか。
 
なお、西洋医学で鼻うがいの効果が確認されたのは1902年の『ランセット』誌上です。以来120年以上の歴史があるのですから、正しく行えば充分信頼のおけるアプローチだと言えそうです。
 
 

~閑話休題 鼻うがいのやり方とポイント~

 
ではここで、筆者が調べて実践している鼻うがいのやり方のポイントと、注意点をご紹介しましょう。
 
〈やり方のポイント〉
1. 前かがみになり、頭を適当な角度まで横にし、上になったほうの鼻の穴からネティポット等で洗浄水を流し込む。水は反対の鼻の穴や口から排出する
 a_ 頭を横にせず、反対の鼻の穴を指でふさいで「ぅえー」と声を出しながら容器を押して水を流し込むやり方もある。水は口から排出
 b_ 同じく頭を横にせず、片方の鼻の穴を指でふさぎ、開いたほうの鼻から吸気の代わりに水を吸うやり方もある。水は口から排出。※上級者向け
2. 水を排出しきったら前かがみのままティッシュ等を鼻に当て、ゆっくり長く鼻をかむようにして息を鼻から出しながら体を起こす
 a_ 排出のときの前かがみは逆立ちレベルで、肘が膝に付くぐらい前かがみになって始動するのも良い。(上顎洞に水が回っていた際に排出しきるため)
3. 体を起こした後、再び前かがみになるなどして上体の角度を変え、鼻や喉に垂れてきた水を排出する。(前頭洞や篩骨洞に水が回っていた際に排出しきるため)
 
〈注意点〉
◆ 水は市販の生理食塩水か、自作する場合はきれいな水道水を5分以上煮沸した後の湯冷ましを使う。温度は人肌に
◆ 塩分濃度は0.9~3%程度に。水500mlに対し塩5g~15g弱(小さじ1杯~3杯弱程度)
◆ 必ず前かがみで行う。上体が立っていると水が耳に入って中耳炎の危険がある
◆ やり過ぎは鼻の粘膜を傷つけるので一日に2~3回まで
◆ 洗浄水や器具を他の人と使い回さない。使用後の器具はアルコールで拭いたうえよく乾燥させ、できれば直射日光に当て紫外線消毒も
 
なお、行う前は石鹸等で手をきれいに洗うことはもちろんです。筆者の場合、公共交通機関を利用した日*1や飲み会に参加した日は帰宅後に鼻うがいを行っています。シチュエーションによっては器具を持参して、散会後すぐ行うこともあります。
 
 

オンライン診療と鼻洗浄

 
筆者は医師ではないので、本記事は鼻うがいを他人に奨励ないし指導するものではありません。その点ではオンライン診療に期待がかかるでしょう。先述した鼻洗浄装置の世界市場データの出典であるBusiness Research INSIGHTSレポート*2には、次のように書かれています。
 
患者も医療専門家も軽度の病気の治療に遠隔医療を選択しました。医療専門家は、新型コロナウイルス感染症患者に対し、鼻詰まりを軽減するために鼻洗浄器を利用するようアドバイスした。(ブラウザの自動翻訳による)
 
日本でオンライン診療が普及したのもコロナ禍がきっかけでした。もともと2018年春から、一部の疾患で条件を満たす場合に、「電話等再診」の他にオンライン診療が保険診療に入りましたが、2020年春の緊急事態宣言以来、感染防止のため多くの人が医療機関の受診を控えたため、このままでは国民の健康が損なわれるということでオンライン診療が全面解禁されました。
 
その後も、オンライン診療が必要かつ有用であると思われる場面に関しては基本的に規制緩和の方向で議論が続いています。
 
直近で、政府の規制改革推進会議健康・医療・介護ワーキンググループの第4回会議(昨年12月18日)では、厚労省は昨年5月の「医療アクセス機会が少ないへき地において特例的に公民館等に医師非常駐の診療所を設置することを認める」方針を転換し、各都道府県が必要性を認めた場合はへき地以外都市部でもオンライン診療のための診療所を開設してよいことにしました。
 
一般の感覚からは、「オンラインなのに、なぜ診療所の場所が議論になるの?」と思いますが、解禁されたといっても医師はまだ通信環境は診療所内に置かなければなりません。自宅のネットから患者を診ることは認められていないのです。
 
とはいえそれは公的医療の話です。現実には、「鼻うがいぐらいは自分で調べてキットを買ってきてやってみる」という人が大半だろうと思います。
 
年明けから日本でも再びコロナが急増しています。人によってはそろそろ花粉も気になり始める季節です。市場の拡大を受け、メーカーも従来品の形状を改良するなど努力を続けています。今年は鼻うがいが来そうですね。
 
*1 マスク着用です
*2 レポートID:BRI106598
 
 
(ライター 横須賀次郎)
(2024.2.7)
 
 

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