やってきたのは、神奈川県横浜市の井土ヶ谷。実はナポリタン、戦後間もない頃にホテルニューグランドの入江シェフが最初に考案したとされ、横浜が発祥と言われているんです！　その横浜からナポリタンを盛り上げるべく2009年9月に発足したのが 「日本ナポリタン学会」。なんと、2013年6月15日から毎週土曜日に、ナポリタン学会直営のカフェがオープンするとのことで、本格オープンに向け準備中の田中会長を訪ねました。田中会長、今ナポリタンが再注目され、人気が上昇しているのは、どうしてなんでしょう？　「それはもちろん、日本ナポリタン学会の活動の成果です（笑）。というのはさておき、要は原点回帰でしょうね。1980年代前半まで続いた喫茶店ブームを知る層にすれば、ナポリタンの味はとても懐かしいもの。その後も喫茶店や洋食店、そして家庭の味としても根付いてきました。ナポリタンて、シンプルゆえに、ケチャップの種類や油、具の違いで個性が出るんですよ。そういったおもしろみが新たな世代のファンも獲得し、盛り上がってきているんじゃないでしょうか」。

　なるほど！　ちなみに、ナポリタンの定義ってあるんですか？　「けっこう自由度が高くて、具や麺はわりとなんでもいいんですよ。玉ねぎはマストで欲しいところですけど、一番重要なのは、トマトソースもしくはケチャップで麺を炒めて絡めること！」 え？　麺はスパゲティじゃなくてもいいんですか！？　「そうなんです。うどんでも、ソフト麺でも、中華麺でも、ナポリタンになります（笑）。形態も、ノーマルなナポリタンの他、鉄板焼きで卵を敷いた名古屋流ナポリタンもあって、最近注目されていますよね。味付けも、ケチャップの味を利かせた喫茶店系、トマトソースにこだわる洋食店系というように違いがあるんですよ。」　う～ん、奥が深い！　

　これほどナポリタンを知り尽くした田中会長が手がけるナポリタン、気になります。「店では、日本最古のパスタメーカー・ボルカノの2．2mmのスパゲティを使い、もちっと仕上げます。味付けは、日本最初の国産ケチャップである清水屋のケチャップをベースにブレンドしているんです。ちなみに、清水屋さんも横浜のメーカーなんですよ」。日本最古・・・国内初･･･由緒正しいナポリタンなんですね。実際に食べてみると、もっちり太麺にまろやかで甘いケチャップがしっかりと絡んで、なんだか懐かしい味わい・・・！　自宅でもこんなふうにおいしくつくるコツがあれば、教えてもらえませんか？　「鉄鍋を使って強火で炒めると、少し焦げができて懐かしい味に仕上がりますよ。普通のフライパンでつくる際に大事なのは、とにかくケチャップは惜しみなく使うこと！　ただ、ベチャッとしないためにも、ケチャップを先にしっかり炒めて水分をとばすこと。加熱することでトマトの甘味も引き立ちますし、濃厚なのにベチャッとしませんよ。オススメの具は、シンプルに玉ねぎ・ピーマン・マッシュルーム・ベーコンですね」。　さっそく試してみたいと思います！　ブームもあって、今後も日本ナポリタン学会の活動が楽しみです。「2012年には、イタリア・ナポリに日本の食文化を伝えるべくナポリタンを紹介し、ナポリ市長から “ボーノ” というお言葉もいただきました（笑）。今後は、認定店を増やしていくとともに、横浜の他の食材とのコラボも進めていきます。現段階では、ナポリタンケーキの他、コラボによるあられが販売中です。まずは6月15日に学会の直営店がオープンするので、ぜひナポリタンを食べに来てください」。