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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 
2019年にドラマに初出演し、俳優デビューに至った玉田さん。さまざまな現場を通じて、どのようなことを学んできたのかをうかがった。
 

役柄が感じたことを表現する

 
自分が演じる役のことは、誰よりも好きになりたいと思っています。それが悪役であってもです。その役を理解するために、自分の中で役の生い立ちなどを考えるようにしています。たとえセリフが一つしかない役柄であっても、出身はどこなのか、何が好きで何が嫌いなのかを考えて理解を深めるんです。
 
そういった役づくりの方法は、レッスンの先生に教えていただきました。私にはとても合っている方法だと感じたので、今でも変わらず実践しています。ただ、考えすぎるとつじつまが合わなくなることもありますし、固定観念が生まれてしまうので、その塩梅は調節しなければいけません。
 
いただいた役のことは、誰よりも考えているという自信を持って現場に出るようにしています。ただ、実際に共演者の方々と演じると、大先輩の演技に圧倒されてしまうこともあります。みなさんのお芝居を見ると、自分の役づくりはまだまだ追いついていないなと気付かされることもありますね。
 
セリフ一つをとっても、さまざまなパターンを考えるようにしています。共演者の方がセリフにのせる感情によって、自分の返答を変化させるんです。ただ、実際に現場に出ると、予想していたものとはまったく別のパターンがあるんですよ。そういうときは、咄嗟に返答するしかありません。ただ、それこそが演じる役が感じるリアルな感情なのかなとも思っています。
 
自分があらかじめ用意していたものは、“頭を使ったお芝居”だと思うんです。私の中から出てくるのではなく、役から出てきたセリフだと感じられたことが、これまでに何度かあります。私は何事も考えすぎてしまうクセがあるので、頭を使ってお芝居をするのではなく、役柄が感じたものをそのままセリフにすることも大切だと考えています。その感覚をしっかり掴んでいきたいですね。
 
 
2020年には、舞台初出演で主演を果たした玉田さん。お芝居を仕事とする中で、その経験が大きな転機になったと語ってくれた。当時のご経験について詳しくうかがった。
 

一つひとつ丁寧に演じる

 
初めての舞台で主演を務めたことは、私にとって大きな転機になりましたし、一番自分を成長させてくれた役だと感じています。主演ですから、最初から最後まで私が関わるお話の中で、考えなければいけないことが本当に多かったです。それまでは、自分の演じる役について考え抜いたうえで現場に立っていました。でも、主演となるとほかの方が演じる役についても理解を深めなければいけないと学んだんです。
 
当時は新型コロナウイルスの影響で稽古時間も限られていました。その中で得なければいけないことが多かったので、集中力も研ぎ澄まされたと感じています。また、映像作品ではシーンごとにカットがかかります。その際に気持ちを切り替えることができるのですが、舞台は一度スタートしたら終わるまで止まりません。その分緊張感も大きかったですし、長時間集中しなければいけないんです。
 
大変な経験も多かったのですが、観客の方々が目の前にいて、真剣に観てくださっていたり、楽しんでくださっていたりするなどの反応がリアルタイムでわかるのがとても楽しかったです。映像作品とは違う、舞台作品のおもしろさを実感しました。最後には感想も聞かせていただく機会があり、とても新鮮でいい経験になりました。
 
今年はすでに3つのドラマ作品に出演させていただきました。その中で『ブルーモーメント』と『マル秘の密子さん』は撮影時期がかぶっていたんです。私にとって複数の作品に同時に参加するのが初めてだったので、学んだことは多かったですね。どちらもしっかり集中して演じなければいけないという責任感も増したように思います。
 
今ふり返ると、反省も多いです。『ブルーモーメント』で演じた役は難しいセリフが多く、現場でもずっと練習するくらい時間をかけなければいけなかったんです。その分、別のところで集中力が足りていなかったんじゃないかと今は思っています。もともと、一つひとつ丁寧に演じていくことは心がけていましたが、今後はもっと意識して丁寧に取り組みたいですね。